ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

つくば豚活用商品の急速冷凍方式の転換による供給量平準化と惣菜メニューの開発

有限会社筑波ハム

この事例のポイント

  • つくば豚を原料とするハムやベーコンは売れ筋だが、豚の供給量に季節変動があり、販売の機会を逸することがあった。
  • 電場過冷却庫を導入し、「電場過冷却庫と既設冷凍庫併用急速冷却システム」の構築に取り組んだ。
  • 電場過冷却冷蔵庫の導入により、つくば豚を使った商品の供給量を平準化できた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社筑波ハム
所在地茨城県 つくば市
業種食料品製造業
従業員数35人
資本金300万円
設立1981年

事業の背景

同社は1981年の創業以来、飼料や飼育環境に工夫を重ね、豚肉本来のおいしさを生かしたハムやベーコンを作ってきた。遺伝子測定技術で選んだ良質の豚から生み出したオリジナルの「つくば豚」は、甘みのある脂肪と均一なうま味が特徴である。ハムやベーコンなどの加工品は夏冬のギフト期に需要が多くなる。同社は加工品に加え、生肉を扱う直売所やレストランを併設している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力つくば豚を原料とするハムやベーコンは売れ筋だが、豚の供給量に季節変動があり、販売の機会を逸することがあった。
  • 人手・技能従業員の労力に合わせたコンスタントな製造ができず、労力の均等な配分が課題だった。
  • 生産能力夏冬のギフト期に需要が増える一方で、仔豚の出産数が少ない季節があり、必要な肉の量が手に入らないことが多かった。
  • 品質・精度通常の冷凍は外側から凍るため細胞が破壊され、解凍時に水分やうま味が流れ出て食感や品質が落ちる問題があった。

やったこと

電場過冷却庫を導入し、「電場過冷却庫と既設冷凍庫併用急速冷却システム」の構築に取り組んだ。電場を発生させた庫内で商品を氷点下の過冷却状態に保ち、氷結晶化と細胞破壊を抑える。約3時間後にマイナス30℃の冷凍庫に移し、商品の内側と外側を同時に短時間で冷凍する。既設の冷凍庫を使えるため、液体窒素を用いる方法よりコストを抑えられた。人気のアイスバインは骨付きのすね肉を凍結しても割れや骨からのはがれが起きない冷凍を目指した。

加工機電場過冷却庫

新しい製品・サービス:温めるだけですぐに食べられる高級惣菜

事業の効果

電場過冷却冷蔵庫の導入により、つくば豚を使った商品の供給量を平準化できた。ハムやベーコンなどの製造を安定させ、従業員の労力を均等に配分できる体制を整えた。急速冷凍によって解凍時のドリップがなく、食品の鮮度と風味を保てるようになった。アイスバインなど冷凍商品の品質を保ち、常時販売できる商品や惣菜の開発に本格的に取り組めるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の豚肉品質へのこだわりと『つくば豚』開発の経緯が書かれ、一貫性はうかがえるが経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    夏冬のギフト需要や豚の出産数の季節変動に触れ、直売所・レストランを併設する強みは書かれているが、競争優位の定量的根拠は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    豚の供給量の季節変動と販売機会の逸失という課題が明示され、電場過冷却庫による供給量平準化と惣菜開発で解決を図る構成になっている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    供給量の平準化は示されるが、付加価値額や賃上げの数値目標は記載されておらず、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制2

    従業員35人や体制整備の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    アイスバインなど人気商品の品質維持という価値と、常時販売できる商品へのニーズ、消費者への食べ比べ宣伝の方針が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    今後は生肉や惣菜にも冷凍技術を広げる方針と、消費者の冷凍肉イメージ改善が課題として示されているが、スケジュールは不明確。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    冷凍食肉の品質を保つ急速冷凍方式は今まで難しかったとあり、同分野で高水準の差別化がうかがえるが、普及度の数値根拠はない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    畜産の盛んな茨城で製品のダブつきや品薄を緩和する必要性に触れるが、地域経済波及や雇用創出の具体的数値はない。

  • 費用対効果2

    既設冷凍庫を使えてコストを抑えられる点は書かれているが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    電場過冷却という技術の活用は書かれるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    つくば市の地元豚と地元野菜を活用し、茨城の畜産振興を視野に入れる記述があり、地域特性の活用はうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は、アイスバインのみならず生肉や惣菜にも急速冷凍技術を広げ、より豊かな食品を提供していきたいとしている。消費者の冷凍肉のイメージを変えるため、食べ比べなどの宣伝活動に力を入れる考えである。

事業者の声

ギフト商品が落ち込む今の経済状況において、常時販売できる商品に力を入れていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。