ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

用途別非破壊検査用磁粉の生産化に向け、既存粉砕法の見直しとスプレードライヤ法の新導入

栄進化学株式会社

この事例のポイント

  • 粉砕法で作った磁粉は精密検査用途に適する傷の検出性を持つが、耐久性で劣り、磁粉探傷のJIS規格の耐久性試験に合格するのが難しかった。
  • スプレードライヤを改修し、細かい磁粉を作るためにバグフィルタを改良した。
  • スプレードライヤ法で直径10ミクロンの一般検査用蛍光磁粉を安定して製造できるようになり、耐久性と輝度が高い製品ができた。

事業者のプロフィール

事業者名栄進化学株式会社
所在地茨城県 常総市
業種その他の製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数68人
資本金7,200万円

事業の背景

同社は磁粉探傷や浸透探傷などの非破壊検査に使う薬剤や機器を製造販売している。非破壊検査は原子力発電や航空機部品、遊園地の遊具の定期検査など幅広い分野で使われ、安全のために欠かせない。一般検査用の蛍光磁粉は現在スプレードライヤ法が主流だが、同社は粉砕法での製造しか持っていなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度粉砕法で作った磁粉は精密検査用途に適する傷の検出性を持つが、耐久性で劣り、磁粉探傷のJIS規格の耐久性試験に合格するのが難しかった。
  • 新製品・新技術スプレードライヤ法で作る磁粉は直径10〜20ミクロンが限度で、細かい磁粉を作れなかった。
  • 新製品・新技術粉砕法の耐久性を保ちながら精密検査用の蛍光磁粉を開発することが、数年来の重要課題となっていた。

やったこと

スプレードライヤを改修し、細かい磁粉を作るためにバグフィルタを改良した。鉄粉などの原材料がだまなく分散するよう噴霧原液調製用の分散攪拌機を導入し、噴霧原液調製から噴霧、乾燥、分級、品質検査までの試作を繰り返した。その結果、スプレードライヤ法の磁粉は規格の色彩、粒子径、蛍光係数などの試験項目でJISの要求内容をほぼ満たし、直径10ミクロンの一般検査用磁粉を安定して製造できることを確認した。粉砕法では配合を工夫し、微粉砕後に処理をすることで耐久性を高めた。超音波付振動篩を導入したことで、粒度の細かい製品で篩の網が目詰まりしていた分級が可能になり、直径40ミクロンを超える粗大粒子も分級できるようになった。送風定温乾燥機を導入し、粉砕後の粒子の乾燥に用いた。

加工機スプレードライヤ
加工機噴霧原液調製用分散攪拌機
加工機超音波付振動篩
加工機送風定温乾燥機

新しい製品・サービス:用途別非破壊検査用磁粉(一般検査用はスプレードライヤ法、精密検査用は粉砕法で製造)

事業の効果

スプレードライヤ法で直径10ミクロンの一般検査用蛍光磁粉を安定して製造できるようになり、耐久性と輝度が高い製品ができた。他社製品と比べて蛍光輝度は25%明るく、品質も同等以上とされた。粉砕法も配合と後処理の工夫で耐久性を高めた。両製造法を持ったことで、精密検査用から一般検査用までの磁粉を製造できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    60年の経験とノウハウの蓄積があり、磁粉探傷剤の製造方法を見直すきっかけになったと書かれているが、過去の取組との一貫した位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    他社製品と品質比較し蛍光輝度が25%明るく、品質は同等以上で業界トップの磁粉製造に成功したと書かれ、強みは読み取れる。市場動向の記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    粉砕法は耐久性で劣り、JIS耐久性試験に合格しにくいという課題を認識し、配合や微粉砕後処理で耐久性を高めたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化の目標値や数値は示されておらず、輝度25%向上は実績であって目標値の記述ではないため、実現可能性の判断材料は少ない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    一般検査用は耐久性・輝度が高く、精密検査用は検出性に優れるなど用途ごとの特徴は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試作作業を繰り返し直径10ミクロンの磁粉を安定製造できたと確認し、今後は両法併用で品質を高め海外へ売り込むと書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    同分野で高輝度・高耐久の製品を作り、業界トップの品質を目指すと書かれ、同分野内で高付加価値化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    非破壊検査は原子力発電や航空機、遊具の検査など安全に不可欠と書かれているが、波及効果や雇用創出の具体的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    非破壊検査は産業の安全を支える分野と書かれるが、市場成長や構造転換との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は販売を拡大するとともに磁粉の品質をさらに高め、両製法を併用してトップの品質を持つ製品ラインアップを作り、将来的には海外へ売り込みたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。