ものづくり補助金平成25年度製造業栃木県

レトルト殺菌技術を活用した、「作りたての味 調理済ゆば」の開発

株式会社けっこう漬本舗

この事例のポイント

  • 既存の味付ゆばは醤油で味付けしており、レトルト機で加熱すると醤油が劣化して変色し、ゆば本来の色から程遠いものになった。
  • レトルト殺菌器を工場に設置し、配管、配水、配電を施した。
  • レトルト化により、ゆばを常温で持ち運べる商品になり、ギフトや観光土産としての販路を広げられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社けっこう漬本舗
所在地栃木県 日光市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数50人
資本金1,000万円
設立1962年

事業の背景

日光の観光土産を代表する素材がゆばで、観光客のほか海外からの旅行者や海外在住者にも訴求できる商品である。一方、他地域の観光客は味付ゆばの料理法を知らず、正月料理として食卓に上るものの家庭での調理が難しいのが現状だった。当社の既存商品は冷凍の味付ゆばが中心で、味付けはほとんどが醤油である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存の味付ゆばは醤油で味付けしており、レトルト機で加熱すると醤油が劣化して変色し、ゆば本来の色から程遠いものになった。
  • 新製品・新技術当社に経験のないレトルト商品の開発が必要で、常温で扱える「作りたての味 調理済みゆば」をどう作るかが課題だった。
  • 販路・情報発信ゆばは冷蔵で消費期限が約4日と短く、旅行者や遠方の客が持ち運べず、敬遠されていた。

やったこと

レトルト殺菌器を工場に設置し、配管、配水、配電を施した。レトルト化用の専用パックトレーと、耐熱専用のフィルムを用意し、トレーは巻き数の少ない小ぶりなものとして味の浸透と煮崩れを防いだ。殺菌器の温度と時間は日本サムソン東京支社で試験し、安全性と味、色、触感を加味した設定をつくった。タレは醤油、白醤油、塩、そばの出汁、たまり醤油などでパターンを試作し、白醤油で色の劣化がないことを確認した。豆乳は凝固を防ぐため量を極力減らし、揚げ時間は通常の1分から45秒、30秒と15秒単位でテストした。栃木県産業技術センターでマイクロプレートリーダーを使い、40℃で1カ月の常温保存試験を行った。

加工機レトルト殺菌器
その他レトルト化用の専用パックトレー

新しい製品・サービス:作りたての味 調理済みゆば(常温で持ち運べるレトルト商品)

事業の効果

レトルト化により、ゆばを常温で持ち運べる商品になり、ギフトや観光土産としての販路を広げられるようになった。40℃で1カ月保存した試験では、色、味、触感に変化がなく、一般細菌も検出されなかった。白醤油の採用で色の劣化も防げ、想定以上の味・触感・外観・色が得られた。検査機関でも菌の発生や酸化による劣化は見られず、一定の成果が得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性40%
  • これまでの取組との一貫性2

    既存の漬物・ゆば製品からの延長でレトルト化に取り組んだことはうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    観光土産や海外旅行者向けの需要に言及し、味付けに漬物のタレを使う点から自社資源の活用がうかがえるが、競争優位の分析は示されていない。

  • 課題の認識と解決2

    冷蔵4日の消費期限や醤油の変色という課題が書かれているが、高付加価値化の具体的計画は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    5年間の売上高が46万円から50万円(単位万円)へ推移する計画が示されているが、付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社員数50名の会社で手作業が多いことは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    常温で持ち運べるギフト需要や家庭の味に近い味付けという価値は書かれているが、顧客ターゲットの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試験運転、40℃1カ月の保存試験、今後の店舗での紹介など段階的な進め方が書かれているが、中長期の検証の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    常温保存の作りたての調理済みゆばという、普及していない分野の商品を開発している点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    日光の伝統料理であるゆばの維持と普及に必要という社会的意義が書かれているが、経済波及の規模は示されていない。

  • 費用対効果2

    試作の効率や試供品の価格など一部の数字はあるが、補助金投入額に対する費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    日光の観光土産や地域のゆば文化を活かす取組であることが書かれているが、雇用や地域成長への効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2015年秋より、直売店2軒と東武宇都宮百貨店のテナントで商品紹介を増やす。東京幕張のスーパーマーケットトレードショーでの全国バイヤー、レストラン、ホテル、日光や鬼怒川の宿泊施設への売り込みも進める。ギフト向けには高品質にふさわしい美しいデザインを採用し、6個入り1,000円での販売を目指す。紹介時には500円程度の試供品を配り、味を知ってもらう。冷凍のゆばと新商品の両立を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

群馬県製造業平成29年度

冷凍マグロ専用刺身醤油の試作開発

鰹節の厚さと抽出温度を管理するため、ガス式スチームコンベクション、小型鰹節削り機、プレハブ冷蔵庫、冷蔵ユニット、小型軽量充填機、打栓機を導…

効果:製造ロット 32.5kg→65kg

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。