ものづくり補助金平成25年度製造業栃木県

静電塗装による粉体と溶剤の可変ライン構築を核とする新たな高品質塗装体系の開発

株式会社星秀社

成果平均塗着率 20%→70%

この事例のポイント

  • 既存の塗装ブースは設備の周りに囲いがなく給気装置もなかったため、工場内の浮遊ゴミが被塗物に付着して外観不良の原因となっていた。
  • 粉体静電塗装設備と溶剤静電塗装設備を導入し、同一塗装ラインで塗装仕様の異なる粉体塗装と溶剤塗装の両方を製造できるようにした。
  • 平均塗着率 20%→70%。同一塗装ラインで粉体塗装と溶剤塗装の両方が製造可能となり、多様な仕様の製品に対応できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社星秀社
所在地栃木県
業種金属製品製造業
技術分野表面処理

事業の背景

株式会社星秀社は多品種・小ロット・短納期に対応できる生産体制を強みとし、80年近くにわたり富士通㈱を主要とする通信機器産業を中心に事業を展開して地域雇用にも貢献してきた。近年は顧客要求の多様化や環境問題への意識の高まりから溶剤塗装から粉体塗装への移行が進んでいる。粉体塗装分野では国内各電力会社向けの開閉器と電気自動車用充電設備を中心に受注しており、充電設備は排気ガスを出さない点から普及が予想されるものの、充電インフラの整備が今後の課題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存の塗装ブースは設備の周りに囲いがなく給気装置もなかったため、工場内の浮遊ゴミが被塗物に付着して外観不良の原因となっていた。
  • コスト・採算既存のエアースプレーガンは平均塗着率が20%弱で、80%強の塗料が塗着せず損失となり、廃棄物の全体量が増えて生産コストの上昇を招いていた。
  • 人手・技能多様化する顧客要求に対応できる塗装ラインが不足していた。
  • 生産能力既存の粉体塗装ラインは有効塗装寸法がW800×L600×H1700、コンベアの総耐荷重600kg、均等耐荷重20kgであり、大型製品の塗装や量産生産に対応できない状態だった。

やったこと

粉体静電塗装設備と溶剤静電塗装設備を導入し、同一塗装ラインで塗装仕様の異なる粉体塗装と溶剤塗装の両方を製造できるようにした。導入した各塗装機器は静電塗装方式で、塗着率は70%程度に上がることが確認された。補正ブース、粉体塗装ブース、溶剤塗装ブースには給気装置を装着したプッシュプル型塗装ブースを導入し、ブース全体を囲い込んで給気と排気のバランスを取ることで外部からのゴミや粉塵の侵入を排除した。塗装ブース天井には高性能フィルターを敷き詰めて空気を塗装ブース内に落下させる仕組みとし、上部から水膜(ウオーターカーテン)も整備した。

その他粉体静電塗装設備
その他溶剤静電塗装設備
その他プッシュプル型塗装ブース
その他給気装置

事業の効果

  • 平均塗着率 20%→70%

同一塗装ラインで粉体塗装と溶剤塗装の両方が製造可能となり、多様な仕様の製品に対応できるようになった。塗着率の向上により塗料の損失と廃棄物が減り、塗料・シンナー等の使用量削減とともにVOCの削減など環境負荷の低減にも効果が確認された。プッシュプル型ブースと天井フィルターにより塗装室内の作業環境が向上し、外観不良の原因だった浮遊ゴミの付着が抑えられて品質の向上も可能となった。新たな静電塗装体系により競争力を強化し、新規需要の開拓を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    80年近く富士通㈱などの通信機器産業を支えてきた実績があり、粉体塗装への移行を新規需要の開拓の柱として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    多品種・小ロット・短納期の強みを活かし、粉体と溶剤を同一ラインで扱えるようにして顧客要求の多様化に対応する方針が示されている。

  • 課題の認識と解決5

    既存ブースの浮遊ゴミ付着や平均塗着率20%弱、耐荷重600kgといった課題を数字で示し、塗着率70%程度への改善を図っている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    事業終了後3年間で60%増、年間生産高8,000万円、5年後に1億円という具体的な売上目標が設定されている。

  • 事業を進める体制2

    事業を遂行する人材や事務処理体制について、事例からは具体的な記述を読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    電気自動車用充電設備や国内各電力会社向け開閉器を主要顧客とし、排気ガスを出さない点が普及需要につながると説明している。

  • 事業化までの道筋3

    実施スケジュールに対する取組状況の項目はあるが、遂行方法や課題解決の具体的な手順は事例文からは十分に読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    粉体と溶剤の両方を同一ラインで製造できる点を、他社では導入していない差別化要素として説明している。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    CO2やNOxの削減に寄与する電気自動車充電設備の需要拡大と、地域雇用への貢献について言及がある。

  • 費用対効果4

    塗着率が20%弱から70%程度に向上し、塗料・シンナーの使用量と廃棄物・VOCの削減効果が確認されたと記載されている。

  • イノベーションへの貢献2

    静電塗装設備の導入は示されているが、デジタル技術の活用やサプライチェーン全体への波及は事例からはうかがえない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    電気自動車の普及に伴う充電設備の需要増加を見込み、粉体塗装分野への移行を進める点が示されている。

  • 地域経済への波及2

    地域雇用に貢献してきたことは示されているが、地域の特性を活かした成長戦略の具体性は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。