ものづくり補助金平成25年度製造業群馬県

ダイカスト製品の耐食性及び硬度を飛躍的に向上させる表面処理体制の確立

上毛電化株式会社

成果既存取引先からの受注を2020年4月期に2,000万円と見込む

この事例のポイント

  • アルミニウムダイカスト(ADC材)は表面処理性が悪く、耐食性と硬度が不足している。
  • 真空にした処理層内でダイカスト製品の巣穴に樹脂系の含浸剤を強制的に充填し加熱硬化させ、巣穴を埋める含浸ラインを導入した。
  • 既存取引先からの受注を2020年4月期に2,000万円と見込む。含浸処理とアルマイトを組み合わせた表面処理体制を構築し、ADC製品の耐食性と硬度の向上を目指した。

事業者のプロフィール

事業者名上毛電化株式会社
所在地群馬県 藤岡市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数26人
資本金1,500万円
設立1981年

事業の背景

アルミニウムダイカストは軽さ、強さ、さびにくさなどから様々な分野で採用が伸びているが、表面処理性の悪さが欠点となっている。アルミニウムは本来表面処理性が良い金属だが、ダイカスト組織の多数の巣穴により表面処理性が悪化する。当社は既存分野である自動車、電気機器、光学機器の実績向上に加え、医療や航空・宇宙、鉄道(リニア)など先端産業への採用拡大を狙っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度アルミニウムダイカスト(ADC材)は表面処理性が悪く、耐食性と硬度が不足している。
  • 生産能力ダイカスト製品の巣穴が表面処理を妨げ、アルマイト皮膜の膜厚や硬度を十分に得られない。

やったこと

真空にした処理層内でダイカスト製品の巣穴に樹脂系の含浸剤を強制的に充填し加熱硬化させ、巣穴を埋める含浸ラインを導入した。含浸処理はいかなる形状の製品にも対応でき、微細な巣穴にも処理液が染み込み、金属表面上に処理液が滞留せず寸法精度に影響しない。アルマイト処理は当社既存の量産ラインを用いた。最も普及しているダイカスト材ADC12において、硬膜25μm、硬度HV300を目標として試作開発を行った。試作品の分析では皮膜の膜厚が2.3〜4.4μmと目標を大きく下回り、硬度は測定不能だった。一方、未処理品に含浸処理を施した試験品は、最低膜厚が厚くなりバラツキが著しく減少した。

加工機含浸ライン

新しい製品・サービス:アルマイト皮膜にエポキシ系含浸処理液を浸透させた、高耐食性・高硬度のダイカスト表面処理技術。

事業の効果

  • 既存取引先からの受注を2020年4月期に2,000万円と見込む
  • 取引の無かった分野での2020年4月期の売上を1億5,000万円と見込む

含浸処理とアルマイトを組み合わせた表面処理体制を構築し、ADC製品の耐食性と硬度の向上を目指した。目標達成度は55%で、硬度と硬膜の厚さは改善が必要だが、最低膜厚の向上とバラツキの減少は成果とした。今後の改良で高耐食性・高硬度を実現し、建築資材、自動車、マリンスポーツ、フィットネス器具などの業界から受注拡大と新分野への売上を見込む。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    アルマイト技術と含浸処理を融合させる既存の得意分野を活かした取組と読み取れるが、過去の取組との一貫性を示す具体的記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    当社が得意とするアルマイト技術や既存分野(自動車・電気機器・光学機器)の実績に触れており、強みは読み取れるが、市場動向との対比は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ADC材の表面処理性の悪さという課題を明示し、含浸とアルマイトの組合せで耐食性・硬度を高める解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    硬膜25μm、硬度HV300、2020年4月期の受注2,000万円・売上1億5,000万円と数字つきで目標が示されている。

  • 事業を進める体制2

    試作開発に臨んだ記述はあるが、人材や事務処理能力など遂行体制についての記載はほぼ見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ADC材が軽さ・強さ・さびにくさで普及しているが表面処理性が欠点という顧客ニーズと、耐食性・硬度向上の価値が具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋3

    膜厚やアルマイト電解電圧・液温の見直し、改良を続けるという方針は示されるが、スケジュールや遂行方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    含浸とアルマイトの組合せで従来困難だったADC製品の耐食性・硬度を高める点が、既存の高水準の処理を超える新規性として読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    アルミ製品の需要増と産業界の省コスト化への貢献が述べられるが、経済波及や雇用創出の規模は具体的に示されていない。

  • 費用対効果3

    受注見込みや売上見込みは示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    先端産業(医療・航空・宇宙・リニア)への提案が意図されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は記載が薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    アルミ需要の増加や先端産業への進出意図はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

電解電圧や液温度などの見直しを行い、今後も改良を続けて目標値のクリアを目指す。改良により2020年4月期に既存取引先からの受注2,000万円、新分野での売上1億5,000万円を見込む。

  • 目標:硬膜 12μm→25μm
  • 目標:硬度 180HV→300HV

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。