ものづくり補助金平成24年度滋賀県

新素材・新材料に対応した、分析・解析のための切削加工技術の開発

株式会社アイテス

この事例のポイント

  • 電子関連の製品・部品や材料の分析対象が薄膜化・多層化し、高度な分析装置でも空間分解能の限界から単一層の分析が困難になっていた。
  • 多層膜の解析のため、傾斜切削ツールを導入して斜め切削技術を立ち上げた。
  • 斜め切削により分析可能領域を広げ、切削角1度で分析可能面積が約60倍に広がるなど、表面分析装置の空間分解能の限界を補えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイテス
所在地滋賀県 野洲市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野切削加工
従業員数93人
資本金1億円
設立1993年

事業の背景

スマートフォンやタブレット端末用のディスプレイ製品や部品は高機能化に伴い、小型化・薄型化が進み、使用される材料は年々薄膜化、多層化、硬軟素材の複合化が進んでいる。事業の一つである電子関連の製品・部品や材料の精密な分析・解析サービスは、分析対象の薄膜化・多層化により非常に困難になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度電子関連の製品・部品や材料の分析対象が薄膜化・多層化し、高度な分析装置でも空間分解能の限界から単一層の分析が困難になっていた。
  • 新製品・新技術新材料・新素材に対応する分析・解析のための試料加工技術が不足していた。
  • 品質・精度水や水蒸気の影響を受けやすい有機材料では、水を使う一般的な切削加工が適用できなかった。

やったこと

多層膜の解析のため、傾斜切削ツールを導入して斜め切削技術を立ち上げた。薄膜多層膜の表面から浅い角度で斜めに切削することで分析可能領域を広げ、膜厚dの層をd/sinθ倍に広げられる理屈で、切削角1度の場合は分析可能面積が約60倍に広がることを示した。水を使えない素材向けには、精密小型ダイヤモンドワイヤーソーを導入し、乾式での切断による水無し加工技術を確立した。QFPの断面加工では、アイソメットとワイヤーソーを比較し、ワイヤーソーは顕微鏡下で位置合わせができ、目的のピンを無傷で切り分けられることを確認した。有機系フィルムを水性接着剤で貼り合せたエポキシ基材パネルでは、湿式の研磨では接着層が抜け落ちたのに対し、乾式のワイヤーソーとイオンミリングで接着層を残して観察できた。

  • 加工機傾斜切削ツール精密小型ダイヤモンドワイヤソー

事業の効果

斜め切削により分析可能領域を広げ、切削角1度で分析可能面積が約60倍に広がるなど、表面分析装置の空間分解能の限界を補えるようになった。水無し加工技術により、水に弱い有機材料の断面も接着層の状態を観察できる精度で作製できるようになった。有機EL素子に適用して構成するすべての層を明確にでき、分析・解析の能力向上と質のよい技術サービスの提供が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の電子顕微鏡の試料作成技術の知見を基に新手法を立ち上げたと書かれ、事業との一貫性はうかがえるが戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    薄膜化・多層化で分析が困難になっている市場動向と、既存の精密加工知見があることは読み取れるが、競争優位の定量的な記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    分析対象の薄膜化・多層化による課題を明確に認識し、斜め切削や水無し加工で解決する具体的手法が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、分析能力向上と技術サービス品質向上という定性的な効果のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制2

    従業員93名や知識と経験による技能が必要と書かれているが、補助事業を遂行する体制や人材配置の具体は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    有機EL製品解析という顧客ニーズと、斜め切削で分析可能面積が約60倍に広がるという効果が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    2段階のプロセスで切削技術を検証し、今後の課題として条件導出方法や併用による有効性検証を挙げている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    有機EL解析向けの斜め切削と水無し加工を組み合わせた手法で、分析が極めて困難な分野での高度化が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    電子関連製品の分析困難という産業上の課題はうかがえるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由の記述はない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額は記載がなく、費用対効果を判断する数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    ダイヤモンドワイヤーソーによる乾式加工という新技術を導入しており、サプライチェーンへの貢献は間接的にうかがえる。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    薄膜化・多層化が進む電子部材分野への対応という点で成長分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

斜め切削と水無し加工(ワイヤーソー)の併用は、最終完成品から解体する試料では必要と想定しており、今後その有効性を検証していく。また、試料数や切削エリアが限られる場合にも対応できるよう、切削条件の導き出し方を検討する必要がある。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。