ものづくり補助金平成24年度滋賀県

有害物質(VOC、オゾン、NOx)の選択的吸着分解機能を備えた粒子およびそれを用いたデバイスの開発

株式会社中戸研究所

この事例のポイント

  • シリカ多孔性粒子と光触媒の複合材料を実用化するには、有害物質の吸着分解などの特性をさらに向上させる必要があった。
  • TiO₂を分散させて光触媒と複合化し、吸着分解性能を高めた。
  • 住宅メーカーの建物用空気清浄機のフィルターに採用され、実用化が始まった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社中戸研究所
所在地滋賀県 大津市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野高機能化学合成
従業員数6人
資本金4,000万円
設立1979年

事業の背景

当社は「ゾル-ゲル法」をベースに自社オリジナル技術の研究を続け、シリカ多孔性粒子とTiO₂光触媒を複合化したVOC吸着分解材料をすでに開発していた。主要製品は機能性多孔質粒子、機能性薄膜、化粧品用途の中空粒子である。従業員は6人、資本金は4000万円である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度シリカ多孔性粒子と光触媒の複合材料を実用化するには、有害物質の吸着分解などの特性をさらに向上させる必要があった。
  • 新製品・新技術粒子を川下の需要に合ったクリーニングブラシやフィルターなどのデバイスに仕立てて事業化する必要があった。

やったこと

TiO₂を分散させて光触媒と複合化し、吸着分解性能を高めた。銀、銅、パラジウムなどの助触媒を担持して有害物質の除去性能を向上させ、シランカップリング材で粒子表面を修飾してNOxの吸着分解を実現した。従来の吸着機構に光触媒による分解機構を加えて耐久性を大きく向上させた。多孔性MnO₂とオゾンガスを併用し、高効率なVOC分解を実現した。さらに、OA用途ブラシへの担持によるクリーニング性向上と有害物質除去、ペレットやガラス繊維への担持によるフィルター化を行い、高濃度のVOCにも対応できることを確認した。

新しい製品・サービス:粒子の塗料化、粒子担持フィルター(光触媒フィルター)、粒子担持フィルター内蔵モジュールの3製品。

事業の効果

住宅メーカーの建物用空気清浄機のフィルターに採用され、実用化が始まった。VOC吸着分解に優れた粒子を担持したフィルターの開発にも成功し、粒子の塗料化、粒子担持フィルター、内蔵モジュールの3製品について製品化と事業化を進めている。粒子は粉砕品と違い均一で比重が軽く、球状・中空などの形態・サイズを実現できるため、幅広い応用が期待できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性3

    ゾル-ゲル法による自社オリジナル技術の研究を基に開発を進めたと書かれ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは記載がない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    市場や顧客動向、競合との比較は記載がなく、川下のニーズに適したデバイス化を目指すという記述のみで、競争優位性は読み取りにくい。

  • 課題の認識と解決2

    現状の課題の記述は乏しく、高機能化・低コスト化を進めるという今後の方針が示されるにとどまり、事業計画の実効性は判断できない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。付加価値額や賃上げの目標値は記載されていません。

  • 事業を進める体制2

    従業員数6人とあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置の具体的な記述はなく、わずかにうかがえる程度です。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    住宅メーカーの空気清浄機フィルターに採用され実用化が始まったこと、VOCやNOx除去性能が具体的に示され、製品の価値とニーズの裏付けが読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    耐久評価や製品化の段階(塗料化、担持フィルター、内蔵モジュール)は示されるが、スケジュールや課題解決方法の具体的な記述は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。資金調達や財務状況の記載はありません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    光触媒とシリカ多孔性粒子の複合化による高効率なVOC分解や、NOx吸着分解の実現など、同分野で高水準の性能向上が具体的に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    室内の有害物質除去やガス・水浄化への応用が示され社会的意義はうかがえるが、雇用創出や波及効果の定量的な記載は乏しい。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は記載されておらず、わずかにうかがえる程度です。

  • イノベーションへの貢献3

    ゾル-ゲル法を基盤とした新機能材料で、活性炭フィルター代替などの応用が示されるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は具体性が薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    環境・エネルギー分野の製品開発であることはうかがえるが、日本経済の構造転換への寄与を示す記述はわずかにとどまる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。地域特性を活かした取組や地域経済への波及の記載はありません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

これまでの技術とデバイス化の成果を基に、高効率・高機能・低コスト化を進め、フィルターデバイスの事業化を図る。展示会への出展やホームページでの情報発信を積極的に行い、製品化に関心を持つ企業と連携して事業化に取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。