ものづくり補助金平成24年度岩手県

脳深部刺激用光・電気ハイブリッドガラス電極実現のための石英ガラスと金属の複合化

株式会社中原光電子研究所

成果引き延ばし後のガラス管外径の変動値 25→10

この事例のポイント

  • 脳神経への電気刺激、光刺激、試薬注入はそれぞれ単機能のプローブで行われており、同じ神経の同じ場所に複数の刺激を同時または周期的に与えることが難しい。
  • 石英ガラスの母材(長さ200mm、直径50mm)に超音波ドリルで複数の穴を開け、電気炉内の熱加工で直径2mmのガラス管に引き延ばした。
  • 引き延ばし後のガラス管外径の変動値 25→10。光損失がきわめて少なく、光ファイバの先端まで届く光はほぼ100%に近くなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社中原光電子研究所
所在地岩手県 花巻市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野切削加工
従業員数5人
資本金800万円
設立2003年

事業の背景

当社は医療、バイオテクノロジー、分析、光通信、半導体産業など向けの高精度石英ガラス管の製造・販売を手がけている。東北大学医学部からの依頼を受け、電気刺激電極と光刺激電極を1本にまとめたハイブリッド電極の開発に着手した。平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業による委託研究(平成25年に終了)の成果を基に、本事業で製品化を目指すこととした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術脳神経への電気刺激、光刺激、試薬注入はそれぞれ単機能のプローブで行われており、同じ神経の同じ場所に複数の刺激を同時または周期的に与えることが難しい。
  • 新製品・新技術研究機関では各種の刺激を1本で行える電極が強く望まれているが、国内にあるこれらの電極のほとんどは外国製で、研究者ごとの仕様を満たす電極の入手も難しい。

やったこと

石英ガラスの母材(長さ200mm、直径50mm)に超音波ドリルで複数の穴を開け、電気炉内の熱加工で直径2mmのガラス管に引き延ばした。そこにタングステンの金属細線を挿入し、レーザーで再加熱してガラス管と一体化させながら、直径0.3mmまで引き延ばした。引き延ばしの際にガラス管が歪む課題に対しては、母材の把持部に中心を保てる微動機構付きチャックを取り付け、引き延ばし部の温度分布が均一になるよう改善するとともに、ガラス管の構造も見直した。外径の変動に対しては、引き延ばし速度を自動制御するソフトウェアと機器を独自に開発し、断面切断機(ファイバーソー)を導入して断面を観察しながら速度にフィードバックして調整した。さらに、延伸後に光ファイバを入れる半円形の溝を設ける新構造にして、ネックダウン部での光の反射による損失を解決した。

  • 加工機超音波ドリル電気炉レーザー加熱装置
  • その他微動機構付きチャック
  • ソフト引き延ばし速度自動制御ソフトウェア
  • 加工機断面切断機ファイバーソー

新しい製品・サービス:脳深部刺激用の光・電気ハイブリッドガラス電極

事業の効果

  • 引き延ばし後のガラス管外径の変動値 25→10

光損失がきわめて少なく、光ファイバの先端まで届く光はほぼ100%に近くなった。外国製品に比べて低コストで製造できる見込みがあり、性能の高い製品を安く提供できると見込まれる。試作品は現時点で量産には至っておらず、ガラス管の歩留まり向上が引き続き課題である。ハイブリッド電極を使う研究機関は国内外で800カ所以上あり、市場は小さくないと想定されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    東北大学医学部の依頼を受け、平成23年度の戦略的基盤技術高度化支援事業の成果を基に製品化を目指すとあり、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    外国製は高額で光損失が大きいが、試作品は低価格かつ高性能になりうるとあり、強みと市場の競争優位性がうかがえる。国内外800カ所以上の利用機関という数字もある。

  • 課題の認識と解決3

    ガラス管の歩留まり向上が課題と認識され、引き延ばし速度の自動制御などで解決を図っているが、高付加価値化・成長に直結する事業計画の記述は薄い。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    量産化の時期や付加価値額、賃上げの目標値は書かれておらず、試作品は量産に至っていないとあるのみで実現可能性は判断しにくい。

  • 事業を進める体制3

    開発体制として従業員5名の企業で、研究を継続していることは読み取れるが、人材や事務処理能力の具体的な確保状況は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は研究機関に限られ、ハイブリッド電極を使う研究機関が国内外800カ所以上あると示され、ターゲットと市場ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋4

    歩留まり向上が直面する課題とされ、ガラス管の熱温度分布の不均一性が原因と特定され、検討と試作を続ける方針が具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    外国製は高額かつ光損失が大きい中で、光損失がほぼ100%近く到達する新構造の電極を開発し、高付加価値化を図る点が具体的に示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    脳神経研究や健康・QOLへの貢献が述べられ、金属とガラスの一体化技術が他分野へ応用可能とあるが、雇用創出や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や費用対効果の数値は書かれていない。低コストで量産できる見込みが示される程度である。

  • イノベーションへの貢献2

    先端的な医療研究機器の開発に取り組むとあるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    医療・バイオ分野の研究機器として成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述はない。

  • 地域経済への波及4

    岩手県花巻市の企業が、岩手発の技術で世界的な研究に貢献すると明記されており、地域の特性を活かした事業であることが読み取れる。

今後の展望

量産化も含めて技術を確立することが当面の課題で、将来的には研究内容に合わせたオーダーメイドのハイブリッド電極を手がけることを目指している。

事業者の声

量産化も含めこの技術の確立が当面の課題である。将来的には、研究内容に合わせたオーダーメイドのハイブリッド電極を手がけられるようになることを目標

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。