ものづくり補助金平成25年度医療、福祉千葉県

連通孔構造をもつ緻密質β -TCP セラミックス人工骨の商品開発と評価

株式会社福山医科

この事例のポイント

  • 既存の骨インプラント材料(チタン合金製、HAP製、PEEK製)は骨類似の強度があるものの、生体吸収による骨再生や骨との親和性に欠ける。
  • 千葉工業大学の橋本和明教授の特許に基づく連通孔構造をもつ緻密質β-TCPセラミックスを素材として、骨の再生を促進する人工骨インプラントの試作品を製造した。
  • 工業的な製造工程の技術を確立し、医療機器である人工骨インプラントの試作品を製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社福山医科
所在地千葉県 千葉市
業種医療業
技術分野複合・新機能材料
従業員数80人
資本金1,000万円
設立1982年

事業の背景

株式会社福山医科は千葉県千葉市で医療機器の製造販売を行う医療業の企業で、医療機器製造販売業を得意分野としている。整形外科では骨折や加齢、骨腫瘍などによる骨損傷に対し、人工関節置換術や人工骨補填材を用いた修復術、椎弓形成術などが行われている。人工骨インプラントと人工椎体などの現状の市場は約60億円とされ、対象患者は年間約20万症例の変形性関節症と約30万症例の脊椎手術症の要治療患者に及ぶ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の骨インプラント材料(チタン合金製、HAP製、PEEK製)は骨類似の強度があるものの、生体吸収による骨再生や骨との親和性に欠ける。
  • 品質・精度β-TCP製の骨補填材は生体吸収性と骨伝導能をもつが、多孔体で脆弱なため骨類似の強度に欠ける。
  • 新製品・新技術骨類似の強度と骨親和性を併せもつ新素材の人工骨インプラントを医療機器として製品化するには、工業的な製造工程の確立と非臨床試験による評価が必要である。

やったこと

千葉工業大学の橋本和明教授の特許に基づく連通孔構造をもつ緻密質β-TCPセラミックスを素材として、骨の再生を促進する人工骨インプラントの試作品を製造した。素材の物性試験として走査電子顕微鏡(SEM)による観察と三点曲げ強度試験を行い、結晶は約2〜5μmの緻密な結晶で、気孔率の低下による高い緻密性が確認された。バナジウム固溶化β-TCP焼結物(β-TCP-V)は三点曲げ強度が約60及び100MPaを示した。生物活性試験として、ウサギ大腿骨への埋植後の病理評価(H.E.染色や蛍光標識)と毒性試験を行い、骨への親和性と吸収性、骨の再生促進を確認した。椎弓スペーサなどの各種試作品も製造した。

新しい製品・サービス:連通孔構造をもつ緻密質β-TCPセラミックス人工骨

事業の効果

工業的な製造工程の技術を確立し、医療機器である人工骨インプラントの試作品を製造できるようになった。非臨床試験により、バナジウム固溶化β-TCP焼結物が骨類似の高い機械的強度を持つ素材であることを確認した。ウサギ大腿骨への埋植試験では、骨に親和性を持ち吸収性と骨の再生を促進することが明らかになり、新規の人工骨インプラントの可能性が得られた。医療機器の製造承認取得に向けた基礎的成果も得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の研究(特許・文献)に着目して新素材の人工骨を開発した経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    市場は約60億円、新市場は約300億円、欧米輸出は国内の約20倍と書かれるが、自社の経営資源の強み・弱みとの関係は述べられていない。

  • 課題の認識と解決3

    既存HAP製やβ-TCP製の強度・吸収性の課題を指摘し、新素材で解決する方向は読み取れるが、事業計画の実効性は具体的でない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。強度や市場規模の数字はあるが、事業の目標値とは言えない。

  • 事業を進める体制2

    研究開発・試験を行ったことはうかがえるが、人員や事務処理体制を示す記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    骨類似強度(約60及び100MPa)と骨親和性の両立という優位性、対象患者約20万・30万症例など具体的な数字で示されている。

  • 事業化までの道筋3

    製造承認取得に向けた非臨床試験や今後の製品展開(脊椎スペーサ等)は書かれるが、スケジュールや課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達2

    資金面は「ものづくり補助金の支援」とあるのみで、財務状況や金融機関からの調達見込みは読み取れない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    緻密質β-TCP人工骨は新素材で、既存HAP等と比べ骨親和性と強度を併せ持つ点が数字(約60及び100MPa)とともに示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    国内約20倍の欧米輸出市場や約300億円規模の新市場など、市場拡大の見通しは書かれるが、公的支援の必要性は十分に述べられていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材による骨再生という新しい製品の方向性はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    高齢化等による骨障害の治療需要や医療分野での新市場は示唆されるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

開発した連通孔構造をもつ緻密質β-TCPセラミックス人工骨は、整形外科領域の骨損傷をもつ要治療患者向けの製品である。人工骨インプラントと人工椎体の約60億円の現状市場に加え、脊椎スペーサ、棘間用の棘突起スペーサ、皮質骨用スクリュウなどの新商品により、約300億円規模の新たな代替市場の獲得が期待される。国内の約20倍とされる欧米への輸出市場も期待できる。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。