ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

民間航空機エンジン部品の国産化に向けた熱処理技術の確立

多摩冶金株式会社

この事例のポイント

  • 熱処理関連設備の老朽化により、熱処理加工の結果分析が十分にできず、エンジンメーカーの信用を得られない。
  • 最先端の設備を導入し、設備とノウハウを組み合わせて熱処理の最適条件の確立を目指した。
  • 設備導入により、エンジン部品を生産・量産するために必要なエンジンメーカーの認証を取得できた。

事業者のプロフィール

事業者名多摩冶金株式会社
所在地東京都 武蔵村山市
業種金属製品製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数49人
資本金1,250万円
設立1965年

事業の背景

当社はリーマンショック以降、今後は航空機業界が拡大すると見込み、航空機業界へ参入した。2009年に航空機部品を熱処理するための認証を取得し、航空機の機体部品の熱処理を行ってきた。その後エンジン部品の熱処理の加工ニーズが出始めたが、対応には新たな供給者認証が必要だった。海外の民間航空機エンジンメーカーの要求を満たす国内熱処理専門会社は少なく、非常に高い優位性を得られると考えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熱処理関連設備の老朽化により、熱処理加工の結果分析が十分にできず、エンジンメーカーの信用を得られない。
  • 人手・技能エンジン部品の熱処理に対応するため、新たに供給者認証を取得する必要があるが、保持している設備では認証を得るのに不十分である。
  • 品質・精度エンジンメーカーから真空度管理の適切さを証明する提出を求められていたが、精度の高い真空計がなかった。
  • 生産能力既存のサブゼロ装置は老朽化が進み、1度に1個しか処理できず、量産に対応できない。

やったこと

最先端の設備を導入し、設備とノウハウを組み合わせて熱処理の最適条件の確立を目指した。ガス窒化処理では3D測定レーザー顕微鏡を導入し、材料の欠陥を確実に確認できるようにした。真空熱処理、サブゼロ処理、ガス浸炭処理では、精度の高い真空計システムを導入して定期的に校正を行い、1度に6個処理できるサブゼロ処理装置を導入した。また、同じ顕微鏡を導入して詳細な検査を可能にし、引張試験用の伸び計とつかみ具、大型製品に対応するため改造した硬さ試験機、規定の洗浄方法と製品の大きさに合った洗浄装置と導電率検出器付きの排水処理装置を導入した。

検査測定3D測定レーザー顕微鏡
検査測定真空計システム
加工機サブゼロ処理装置(1度に6個処理可能)
検査測定3D測定レーザー顕微鏡(真空熱処理・サブゼロ処理・ガス浸炭処理用)
検査測定引張試験用計器(伸び計・つかみ具)
検査測定硬さ試験機(ビッカース、改造)
その他アルカリ洗浄槽及び排水処理装置

事業の効果

設備導入により、エンジン部品を生産・量産するために必要なエンジンメーカーの認証を取得できた。日本国内でこの認証を受けて熱処理部門のエンジン部品を生産している熱処理会社はまだなく、競争力を得ることが期待できる。航空機エンジンの需要は年々伸びる傾向にあり、今後は売り上げの増加を期待している。顧客の要求を満たす検査・加工が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業60年の熱処理実績と2009年の航空機部品認証取得を背景に、エンジン部品参入を進める一貫した流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    航空機業界は熱処理企業が少なく、幅広い熱処理に対応できる点を強みとして、競合に対する優位性が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    エンジンメーカーの認証を得られない課題を設備導入で解決し、認証取得後に量産を開始する実効性の高い計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    売り上げ増加や国内で唯一となる可能性は述べられているが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    創業60年の技術力と厳正な品質保証体制に触れているが、人材や事務体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    エンジンメーカーの要求を満たす高品質な熱処理を強みとし、航空機エンジン需要が年々伸びる点で顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    認証取得、量産開始、今後すべての認証取得に向けた準備という段階は示されるが、具体的なスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内で航空機エンジン部品の熱処理を手がける企業はいないとされ、同分野で高水準の付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    国内サプライチェーンの中核になる目標は示されるが、雇用創出や波及効果の具体的な数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    設備投資額や付加価値額の増加など、費用対効果を示す数値は書かれておらず、うかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献2

    3D測定レーザー顕微鏡による検査強化は記載があるが、デジタル技術によるサプライチェーン全体のイノベーションまでは書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    民間航空機エンジン市場という成長分野への進出が明示され、構造転換への寄与がうかがえるが、政策的な位置づけは書かれていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

まもなく量産化できる見込みであり、競合他社に追随を許さない競争力を得ることが期待できる。今後すべての認証を受けるために準備を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。