ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

医療分野向け高性能クロムめっき生産プロセスの試作実用化

八幡鍍金工業株式会社

この事例のポイント

  • 医療精密機器の表面処理が亜鉛めっきからニッケルめっきへ変わりつつあるが、外観・耐食性の面で問題がある。
  • 基材の前処理として、ニューマブラスターSFK-1で基材に表面改質を施し、めっきに適した表面状態にした。
  • 基材の欠陥を表面改質で修復する工程を導入し、前処理工程の能力を向上させて基材表面の洗浄・活性化を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名八幡鍍金工業株式会社
所在地東京都 東京都江戸川区
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数36人
資本金1,000万円

事業の背景

創業以来90年以上、首都圏近郊を中心に約500社のお客様と取引してきた。ダブルニッケル、クロム、黒クロム、黒ニッケル、本金めっき、無電解ニッケル、PTFE複合めっきを手がけ、クロムやニッケルは大型ラインを持ち都内屈指の生産量を誇る。近年は電子部品の小型化・軽量化・高集積化に伴うウィスカ問題から、亜鉛めっきからニッケルめっきへの仕様変更が進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度医療精密機器の表面処理が亜鉛めっきからニッケルめっきへ変わりつつあるが、外観・耐食性の面で問題がある。
  • コスト・採算ニッケルめっきへの仕様変更が進む中で、価格競争力の面でも問題がある。
  • 生産能力精密部品のめっき処理では作業条件が安定せず、現状の作業状態では高性能めっきを実現することが困難である。

やったこと

基材の前処理として、ニューマブラスターSFK-1で基材に表面改質を施し、めっきに適した表面状態にした。あわせてボイラーや処理槽を新設し、基材表面を適正に洗浄・活性化できるようにした。めっき処理には半光沢ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、クロムめっきの3種類を用い、ダブルニッケルの上にクロムめっきを施した。めっき被膜の酸化を防ぐコーティング材は5種類を準備して耐食性試験を行い、2種類の有機系コーティング材が耐食性に優れていることを確かめた。さらに高耐荷重装置と高耐荷重油圧ユニットを生産ラインに導入し、新技術の生産工程を既存の汎用ラインに組み込んだ。

加工機ニューマブラスターSFK-1
その他ボイラー
その他処理槽
その他遠心式油水分離機WF型
その他高耐荷重装置
その他高耐荷重油圧ユニット

新しい製品・サービス:高性能クロムめっき

事業の効果

基材の欠陥を表面改質で修復する工程を導入し、前処理工程の能力を向上させて基材表面の洗浄・活性化を実現した。めっき工程の処理能力も向上し、安定しためっき被膜を実現できた。コーティング材の選定により被膜の耐食性が高まり、新技術の生産工程を汎用ラインに組み込んで標準化したことで、価格競争力と高い付加価値を持たせることができた。生産原価の34%のコストダウンを実現したことが大きな成果である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業90年以上・約500社との取引や亜鉛からニッケルへの仕様変更という流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    都内屈指の生産量、一級技能士10名、職人の技術のデータ化など強みは具体的だが、市場動向との関係での競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ウィスカ問題や外観・耐食性・価格競争力の3つの課題を明示し、高付加価値化と価格競争力の解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産原価の34%のコストダウンという数値目標・実績が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    一級技能士10名や社内教育プログラムの記載はあるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ウィスカ対策として亜鉛からニッケルへ仕様変更が進む中で、耐食性と外観を備えた高性能クロムめっきの顧客ニーズへの対応が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    5つの技術課題と克服の流れは示されているが、中長期の検証計画やスケジュールは記載されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    クロムめっきに耐食性を加えた高性能仕様で、従来の亜鉛めっきより高付加価値・高価格化を図る点が示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    ウィスカによるショート防止という電子機器の信頼性への寄与はうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果4

    新技術導入で生産原価の34%削減、イニシャルとランニングコストの低減という費用対効果の数値が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    表面改質や洗浄の設備導入は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明確でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    電子部品の小型化・高集積化への対応という成長分野との関わりがうかがえるが、構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    東京都江戸川区の篠崎工場で都内屈指の生産量を持つ点は地域性を示すが、地域経済への波及は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。