ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

航空宇宙分野における需要の急拡大を見込んだ社内基幹システムの再構築

山王テクノアーツ株式会社

この事例のポイント

  • 航空機メーカーからの量・質の要求水準が高まる中、生産計画や工程の負荷が見えず、生産性を抜本的に改善する必要があった。
  • 大塚商会が開発・販売する繰返・量産加工型生産管理システム『生産革新Ryu-jin BS』を導入し、当社の要求仕様に合わせてカスタマイズした。
  • 生産管理システムの導入により社内の見える化が進み、品質保証体制が確立された。

事業者のプロフィール

事業者名山王テクノアーツ株式会社
所在地東京都 八王子市
業種印刷・同関連業
技術分野情報処理
従業員数49人
資本金4,500万円

事業の背景

当社は鉄道車両の銘板や航空機のプラカード・デカールなど、主に屋外で使う工業用ラベル・ステッカーを長年製造し、各業界から信頼を得てきた。近年は新興国を中心に世界的な航空機需要が急拡大し、新型旅客機の開発・製造が急ピッチで進んでおり、当社は航空機内の各種表示物を全面的に受託している。日本航空機開発協会の市場予測では2032年までに32,348機の新型機の製造が見込まれ、成長が期待できる業界である。一方で航空機メーカーからは事故時の原因究明のため厳格なトレーサビリティが求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空機メーカーからの量・質の要求水準が高まる中、生産計画や工程の負荷が見えず、生産性を抜本的に改善する必要があった。
  • 品質・精度投入資材の材料ロット管理と品質保証体制が不十分で、トレーサビリティ要求に応えられない状態だった。
  • 人手・技能納品に添付する品質記録文書を社内の各システムを見比べながら手作業で作成しており、多くの人員と時間を要していた。
  • 人手・技能生産管理はライン長が勘と経験で頭の中で策定しており、情報共有が難しく一人に負担が集中していた。

やったこと

大塚商会が開発・販売する繰返・量産加工型生産管理システム『生産革新Ryu-jin BS』を導入し、当社の要求仕様に合わせてカスタマイズした。Ryu-jinは同じ品目ごとに総量でまとめて生産管理する『総量管理』の手法で適正在庫をコントロールするものである。工程ごとの在庫や負荷を考慮した柔軟な生産計画の立案、ロットおよびトレースによる品質管理を可能にした。システムは2014年12月に導入し、2015年5月の本格始動を予定していたが、現行システムからのマスター登録等の移行作業に時間を要し、本格稼動は2015年11月にずれ込んだ。

ソフト生産革新Ryu-jin BS(生産管理システム)

事業の効果

生産管理システムの導入により社内の見える化が進み、品質保証体制が確立された。在庫削減と納期遵守率の向上も導入メリットとして挙げられている。社内のルール化や社員教育には苦労しているものの、製品の生産準備は着々と進んでいる。今後はAS9100認証の取得を進めており、海外の航空機メーカーに対しても品質を保証できる体制を目指している。これにより国内唯一の航空宇宙産業に特化した印刷会社としてブランディングし、売上のさらなる拡大を狙う。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    長年の鉄道銘板・航空機ラベル製造の実績と、航空機業界への参入強化が記載されている。経営戦略上の位置づけは明示が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    航空機需要が2032年までに32,348機と予測されている点と、熟練者・製版設備・自社工場内加工という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業での品質記録文書作成や、勘と経験に頼る生産計画という課題が具体的に示され、基幹システム再構築で解決する計画になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上目標や利益率拡大を目指すとあるが、数値目標は示されておらず実現可能性の根拠も乏しい。

  • 事業を進める体制3

    導入ベンダーとの共同開発や社内ルール化・教育に苦労している旨はあるが、体制の具体的な人員構成は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    航空機メーカーからのトレーサビリティ要求や長期取引実績という選ばれる理由は読み取れるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    2014年12月導入、2015年5月本格始動の予定に対し、移行遅延で2015年11月に始動したという経緯とAS9100取得準備が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    航空宇宙産業に特化した国内唯一の印刷会社としてのブランディングが示されるが、普及度や高水準の高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    航空機需要の拡大と国内の専門ラベル会社の役割は書かれるが、波及効果や雇用創出の具体的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    在庫削減や納期遵守率向上を狙うとあるが、投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    生産管理システムによる見える化とトレーサビリティ確立が書かれ、サプライチェーンの品質保証に関わる内容がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    成長分野である航空宇宙分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    八王子の地域特性への言及はなく、地域経済や雇用への波及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

AS9100認証を取得し、海外の航空機メーカーとの取引拡大と売上の一層の拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。