偽造防止・個別化印刷を自動化実現するデジタル印刷システム

石川県の印刷を手がける製造業が、ものづくり補助金でデジタル印刷システムを導入し、偽造防止印刷を自動化した採択事例です。

株式会社橋本清文堂

この事例のポイント

  • 偽造防止加工は複雑で、高コスト・納期長期化しやすい。
  • 補助事業では、偽造防止・個別化印刷を自動化できるデジタル印刷システムを導入しました。
  • 偽造防止技術は、想定していた鉄道機関の機密製品の提供を超えて、入場チケット、名刺、証明書など少量の幅広い製品で利用され、「お手軽セキュリティ印刷」という分野が当社に根付きました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社橋本清文堂
所在地石川県 金沢市
業種印刷・同関連業
技術分野デザイン,情報処理
従業員数19人
資本金1,000万円
設立1956年

事業の背景

当社は1956年の創業以来「正確かつ精度の高い品質で、人々の安心をつなぐ情報伝達をサポート」という経営理念のもと、「安心繋ぐ印刷屋」と位置付けて、地域金融機関・鉄道機関の機密性の高い重要印刷物を中心に、官公庁や地元企業の印刷物全般を取り扱ってきました。電子化の進展により情報伝達が多様化し、印刷物の在り方が問われるとともに、当社の存在価値も問われるようになりました。

当時のコロナ禍では、取引にデジタル技術を利用した非対面の対応も求められていました。主要取引先は地元金融機関・鉄道機関・地元企業・団体です。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算偽造防止加工は複雑で、高コスト・納期長期化しやすい。
  • 生産能力印刷設備の殆どは大量生産でメリットを生む原理で作られており、多品種少量印刷は苦手である。
  • 人手・技能設備は人の作業技術に頼るもので、遠隔操作ができない。

やったこと

補助事業では、偽造防止・個別化印刷を自動化できるデジタル印刷システムを導入しました。このシステムはフルカラーの4色に加え、白色、透明色、蛍光3色(黄・赤・ピンク)、金、銀の7つの特色を装備しています。

コピーなどで復元できない偽造防止技術を有し、色域が広がったことで高品質も実現します。デジタル印刷特有の段取り替えが不要なため、大幅なコストダウンと納期短縮が可能になります。

併せて、AIやIoT技術を取り入れた印刷業務管理システムを導入し、業務全体の管理、業務プロセスの効率化、作業の自動化を実現します。これにより非対面業務ができ、特定の技術者に頼らず、コロナウイルスなどの外部環境の変化に左右されず安定供給が可能になります。

新しい製品・サービス:偽造防止・個別化印刷を自動化するデジタル印刷システム

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

偽造防止技術は、想定していた鉄道機関の機密製品の提供を超えて、入場チケット、名刺、証明書など少量の幅広い製品で利用され、「お手軽セキュリティ印刷」という分野が当社に根付きました。多品種少量生産は短納期に加え、企画提案の試作品にも有効活用され、新規受注が大幅に増えるきっかけになりました。

コロナやインフルエンザ、大雪などで出社できない状態でも業務を止めずに済み、顧客からの信用が深まりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性金融・鉄道機関の機密印刷で培った正確さと、偽造防止・多品種少量への対応力を強みとし、競合の大量生産型設備では難しい領域で優位性を示している。
  • 4
    課題の認識と解決偽造防止の高コスト・納期長期化、大量生産設備の多品種少量の苦手、遠隔操作不能の課題を整理し、設備導入で解決する計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け地元金融機関・鉄道機関の顧客ニーズを4点に整理し、偽造防止や試作品活用による新規受注増の実績で、選ばれる理由が明確になっている。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値、労働生産性の数値目標は記載がなく、達成見込みを判断する材料が薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の「安心繋ぐ印刷屋」理念のもと、機密印刷を中心にした既存事業を踏まえ、デジタル印刷導入とグッズ事業への展開が連続していると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    金融・鉄道機関の機密印刷で培った正確さと、偽造防止・多品種少量への対応力を強みとし、競合の大量生産型設備では難しい領域で優位性を示している。

  • 課題の認識と解決4

    偽造防止の高コスト・納期長期化、大量生産設備の多品種少量の苦手、遠隔操作不能の課題を整理し、設備導入で解決する計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値、労働生産性の数値目標は記載がなく、達成見込みを判断する材料が薄い。

  • 事業を進める体制3

    従業員19名の体制で、既存の印刷業務やデザイン部門の試作対応の実績があり、導入設備を運用する体制は一定程度確認できる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    地元金融機関・鉄道機関の顧客ニーズを4点に整理し、偽造防止や試作品活用による新規受注増の実績で、選ばれる理由が明確になっている。

  • 事業化までの道筋3

    導入設備の機能と今後の方向性は示されているが、スケジュールや課題解決の遂行方法の具体的記述は限られる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    フルカラー加えて白・透明・蛍光3色・金・銀の7色特色や、複製不可の偽造防止技術を備え、高付加価値の差別化がある。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    機密性の高い金融・鉄道の重要印刷物を地域で担い、偽造防止の用途が入場チケットや証明書などに広がり、社会的な信用基盤に資する点が読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    AIやIoTを搭載した印刷業務管理システムで非対面業務や作業自動化を実現し、外部環境に左右されない供給体制を示している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    印刷物の在り方を模索する状況に触れ、グッズ事業など幅広い製品への展開を述べているが、日本経済の構造転換との関連は薄い。

  • 地域経済への波及4

    地元企業や団体向けのオリジナルグッズ事業を立ち上げ、地元金融機関・鉄道機関と取引する地域密着の事業として、地域需要の創出が読み取れる。

今後の展望

今後は、お客様に幅広く製品やサービスを提供できる印刷会社として確立していきたいと考えています。

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。