ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

スクリーン印刷による電極バイオセンサーチップの開発と量産化

株式会社吉田製作所

成果印刷面積 1倍→6倍

この事例のポイント

  • 現在市販のバイオセンサーチップは材料費が高く、使い捨てなのに1個約500円と高単価で、研究開発に使いにくい。
  • バイオセンサーチップの電極設計は、実績のある有限会社バイオデバイステクノロジーと協力して行った。
  • 印刷面積 1倍→6倍。高精度の大型印刷機の導入で印刷精度と印刷スピードが向上し、コストダウンできた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社吉田製作所
所在地東京都 葛飾区
業種印刷・同関連業
技術分野測定計測
従業員数92人
資本金9,500万円

事業の背景

株式会社吉田製作所は、家電製品(携帯・スマホ、タッチパネルなど)や自動車の車載品(カーナビなど)の部品をスクリーン印刷で製造してきた。バイオセンサーチップは医療、ウイルス検出、食品の安全確認、環境モニタリングなど応用範囲が広く、潜在的に大きな市場を持つ。一方で市販チップは1個約500円と高く、研究開発が進みにくい分野だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算現在市販のバイオセンサーチップは材料費が高く、使い捨てなのに1個約500円と高単価で、研究開発に使いにくい。
  • 生産能力バイオセンサーの開発を積極的に進めるには、チップの生産コスト低減と利便性の向上が欠かせない。
  • 新製品・新技術バイオセンサーチップを安価で高品質に量産する方法が確立されていなかった。

やったこと

バイオセンサーチップの電極設計は、実績のある有限会社バイオデバイステクノロジーと協力して行った。ペーストはカーボン、銀/塩化銀、レジストの3種類で試験し、印刷可能枚数と生産性を基準に、安価で印刷品質の良いカーボンペーストと銀/塩化銀ペーストを候補にした。基材は実績のあるガラスエポキシ樹脂から、安価で耐熱性のある同等の樹脂に変更したところ、平滑性に問題はあったが印刷仕上がりと機能性は同等だった。印刷版は寸法精度の高いステンレス製を検討したが、ペーストの添付量が少なく失敗したため、従来のテトロン製で量産する方針に変えた。印刷機は画像位置決め半自動スクリーン印刷機を導入し、支柱4本のスライド式でインキの偏りを抑え、CCDカメラで位置決めを行えるようにした。評価は印刷の位置ずれを見る『モデル評価』と電極部の電圧を見る『CV評価』の2種類を実施した。

加工機画像位置決め半自動スクリーン印刷機

新しい製品・サービス:スクリーン印刷による電極バイオセンサーチップ

事業の効果

  • 印刷面積 1倍→6倍
  • 印刷可能枚数 1倍→10倍

高精度の大型印刷機の導入で印刷精度と印刷スピードが向上し、コストダウンできた。CCDカメラによる位置決めで作業時間が短縮した。印刷面積が従来の6倍になり生産性が上がった。ペーストの選定で印刷可能枚数が約10倍になった。これらにより、バイオセンサーチップの量産に必要な生産能力向上とコストダウンを実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    スクリーン印刷業界での家電・車載品の部品製造実績があるとされ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    家電や車載品の製造環境・品質管理の徹底や、トータルコストダウンへの取組が書かれ強みはうかがえるが、市場動向との関係は示されていない。

  • 課題の認識と解決2

    従来のバイオセンサーは1個約500円と高単価という課題は書かれているが、事業計画としての高付加価値化・成長への道筋は読み取れない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。印刷可能枚数が約10倍になったという実績のみで、目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    協力先の㈲バイオデバイステクノロジーとの連携や、評価検査の実施が書かれているが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    血糖値測定など用途と、医療や分析への潜在市場は書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    ペースト選定、基材選定、印刷版開発などの課題解決過程は書かれるが、今後の量産に向けた抜き加工の課題と注力方針が示されるにとどまる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の1個約500円から低コスト化を目指し、印刷面積6倍・印刷可能枚数約10倍と、同分野で高水準の生産性向上を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    バイオセンサーは医療や食品安全、環境モニタリングなど社会的役割が広いと書かれるが、雇用や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    コストダウンや印刷枚数の向上は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高精度の印刷機とCCDカメラによる位置決め導入は書かれるが、デジタル技術を活用した新ビジネスモデルや地域への貢献は読み取れない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    バイオセンサーの潜在的な大きな市場に言及があり、新分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換との関連は書かれていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は本格的な量産と販売に向けて、加工しやすい基材の選定と、印刷以外の加工・管理の一元化に取り組む。印刷したチップの抜き加工が量産には必要である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。