ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

老人性難聴に音を取り戻すミライスピーカーの開発・製造・販売

株式会社サウンドファン

この事例のポイント

  • 補聴器の普及率が著しく低いため、補聴器とは別の方法で難聴者に聞こえる製品を新しい形で市場開発したいと考えていた。
  • 曲面の振動板には、硬度があって質量の少ないカーボン樹脂繊維を含んだ平板を曲面にして使う方式を採用した。
  • ミライスピーカーは通常スピーカーと比べ、難聴者の単音認識率が平均30%以上向上し、濁音も聞き取りやすくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サウンドファン
所在地東京都 台東区
業種情報通信機械器具製造業
技術分野機械制御
従業員数15人
資本金1.156億円

事業の背景

社長自身の親族が難聴になったことをきっかけに、難聴者向けのスピーカー開発に取り組んだ。実験の結果、蓄音機のラッパの原理を活かすと難聴者に聞こえやすいことがわかり、この原理をもとに商品開発を進めた。高齢化が進むとともに加齢性難聴も増加傾向にあるが、日本の補聴器の普及率は著しく低い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術補聴器の普及率が著しく低いため、補聴器とは別の方法で難聴者に聞こえる製品を新しい形で市場開発したいと考えていた。
  • 人手・技能解明されていない理論や研究すべき課題が多く残っており、開発を進める体制が必要だった。
  • コスト・採算新商品の研究開発を進めるための開発資金が必要だった。

やったこと

曲面の振動板には、硬度があって質量の少ないカーボン樹脂繊維を含んだ平板を曲面にして使う方式を採用した。平面的な音波を発する振動板を駆動するアクチュエーターは、新しい発想の薄型平板構造と、振動ストロークを取るための磁気回路を新規に設計した。難聴域補正回路を内蔵したアクチュエーター駆動用デジタルパワーアンプと聴感補正調整回路を組み合わせ、アンプを製品に内蔵した。国立医療福祉大学耳鼻咽喉科と名古屋学院大学リハビリテーション学部と連携し、老人ホーム4ヶ所の難聴者60名に約2ヶ月間、日本聴覚学会の明瞭度試験CDを用いて通常スピーカーと比較する実験を行った。さらに大学生89名に日本語単音節理解度試験を教室で実施した。製品は W140mm×H260mm×D260mm、重量3.5kg、再生周波数100Hz〜15kHz、出力82dB SPL、消費電力100V 0.5Aである。

新しい製品・サービス:ミライスピーカー(SF-MIRAIS-1)

事業の効果

ミライスピーカーは通常スピーカーと比べ、難聴者の単音認識率が平均30%以上向上し、濁音も聞き取りやすくなった。大学生の試験では後列ほどミライスピーカーの明瞭度の優位性が高まり、距離による減衰が少なく小さい音でも聞こえることがわかった。従来のスピーカーは縦波のみだったが、横波が付加されたことで聴覚上の効果が生まれた。2016年9月時点で銀行9行や羽田空港、証券会社等への納入実績があり、個人消費者への販売実績も上がっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    蓄音機のラッパの原理を活かした難聴者向けスピーカー開発を2013年から継続しており、過去の研究の延長線上にあることがうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢化と加齢性難聴の増加、補聴器普及率の低さに触れ、既存電気産業が手がけなかった技術と特許取得を挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    補聴器普及率が著しく低いという課題を示し、老人ホーム60名の明瞭度実験で単音認識率30%以上向上という数字で有効性を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    銀行9行、羽田空港、証券会社などへの納入実績が示されており、事業化の進展は読み取れるが、賃上げや付加価値額の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員15人、社長の関与、大学との連携は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    難聴者や老人ホーム、区役所・病院のアナウンス、公共避難誘導などターゲットと用途が明確で、実験データがニーズの裏付けになっている。

  • 事業化までの道筋3

    本事業終了後は事業化が進んでいると書かれているが、中長期の課題検証やスケジュールは具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    開発資金や開発体制が必要になったと書かれているのみで、財務状況や金融機関からの資金調達見込みは読み取れない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の電気産業が手がけなかった独自構造の横波・平面波スピーカーで、補聴器とは別の新市場を開拓する内容と読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    公共避難誘導やパラリンピック時の公共放送など、バリアフリー環境の提供という社会的意義が示されている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額や費用対効果を示す数字は書かれておらず、読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    独自のアクチュエーター駆動デジタルパワーアンプを開発し、社会インフラ的な用途へ展開する点はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    高齢化への対応やバリアフリー環境の実現に触れているが、日本経済の構造転換に資するという記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

老人性難聴者のニーズがあり、家庭での補聴器の代替や公共施設でのアナウンス、避難誘導、パラリンピック時の公共放送などへの展開を見込んでいる。事業化が着々と進んでおり、外国の難聴者にも英語の子音が聞き取りやすいことから、世界市場への進出も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。