ものづくり補助金平成25年度製造業富山県

特殊シリンダの新分野開拓のための生産、品質体制の構築

株式会社田村製作所

この事例のポイント

  • 旋盤からフライス加工へ移す際に作業員が材料を手作業で脱着しており、その衝撃でシャフト表面に傷がつき、ピストンロッドの不具合につながっていた。
  • NC複合旋盤を導入し、2014年12月に工程や工場内のレイアウトを変更した。
  • 2工程を1工程にしたことで、フライス加工時の脱着による破損がなくなり、製品の品質が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社田村製作所
所在地富山県 富山市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数24人
資本金1,500万円
設立1957年

事業の背景

創業時から油圧シリンダを手がけ、大手メーカーの下請けとして標準品を中心に作ってきた。現在は顧客の要望に応じた受注生産で、多品種少量の特殊油圧シリンダを製造している。特殊油圧シリンダは一般の油圧シリンダ製造業者が手がけない分野で、県内では優位な立場にある。ただし特殊品の生産割合はシリンダ全体の10%以下で、市場は非常にニッチである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度旋盤からフライス加工へ移す際に作業員が材料を手作業で脱着しており、その衝撃でシャフト表面に傷がつき、ピストンロッドの不具合につながっていた。
  • 人手・技能フライス加工に使う汎用フライス盤は熟練技術が必要で、今後の技術伝承も課題となっていた。
  • 生産能力多品種の同時進行で工程管理が複雑になり、機械の待ち時間や段取り時間が生じていた。

やったこと

NC複合旋盤を導入し、2014年12月に工程や工場内のレイアウトを変更した。2015年1月から、旋盤加工とフライス加工の2工程をこの1台で行う体制にした。この機械はNC加工が可能で、数値を合わせれば経験の浅い作業員も操作できる。対象はピストンロッドのシャフト部分で、シャフトとブッシュ部の隙間は20~30ミクロン程度と小さい。

加工機NC複合旋盤

事業の効果

2工程を1工程にしたことで、フライス加工時の脱着による破損がなくなり、製品の品質が向上した。旋盤・フライス工程の生産効率は20%向上し、製造オーダーから完成までの期間も大幅に短縮されて、目指してきた短納期に貢献した。NC加工により熟練作業員への依存度が下がり、多能工化と多品種少量生産への対応がしやすくなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業時から油圧シリンダを手がけ、特殊油圧シリンダ分野で県内優位と記載あり。ただし事業戦略との位置付けの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特殊油圧シリンダの分野で県内で非常に優位な立場、短納期が特長、多品種少量生産体制を確立と、強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    旋盤・フライス間の移動による傷や脱着破損、待ち時間の課題を認識し、2工程を1工程に統合して生産効率を20%向上させた。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    旋盤・フライス工程の生産効率20%向上や製造期間の大幅低減は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    従業員24人、作業員が多能工となる体制を確立したと記載あり。事務処理能力や補助事業の推進体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    特殊油圧シリンダの一点物受注、短納期、アフターメンテナンスでの顧客トータルコスト削減など、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    2015年1月に複合機の稼働を開始したと時期は示されるが、中長期の検証や遂行スケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    特殊油圧シリンダは一般的な製造業者が手がけない分野で、同分野で高水準の高付加価値化を図る内容と読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    県内での特殊油圧シリンダ分野の優位性や顧客のトータルコスト削減への貢献がうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    生産効率20%向上や製造期間の大幅低減、長寿命化による顧客コスト削減など費用対効果の方向性は示されるが、投入額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献2

    NC複合旋盤の導入や熟練依存度の低下はうかがえるが、サプライチェーン全体への波及やイノベーションの記述は限定的。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    富山市の県内で優位な立場にあるとの記載はあるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への言及は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

機械の進化や効率化で生まれたゆとりを使い、企画や提案、アフターメンテナンスの充実を進める。使用条件や頻度に合わせたメンテナンスで長寿命化し、顧客のトータルコスト削減に貢献する。「人にしかできない新しい価値の創造」を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。