ものづくり補助金平成25年度製造業富山県

将来の需要増を見据えた、建築・橋梁作業用大型油圧ジャッキ生産体制の確立および新製品開発

和泉工業株式会社

成果生産性を30%向上

この事例のポイント

  • 部品点数の多い大型の油圧ジャッキ製造の受け入れが追い付かず、部品の約半数を協力工場に加工依頼していて、社内生産性の向上が課題であった。
  • 補助事業で5軸制御立形マシニングセンタ(VARIAXIS I-800)を2015年1月に導入し、100%自社加工対応を可能とする社内生産体制を確立した。
  • 生産性を30%向上。5軸マシニングセンタの導入で1台あたりの加工時間が5時間から3時間に短縮し、生産性が30%向上した。

事業者のプロフィール

事業者名和泉工業株式会社
所在地富山県 南砺市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数12人
資本金1,000万円
設立1977年

事業の背景

1977年創業の和泉工業は、建設・橋梁工事で使われる超高圧の油圧ジャッキと油圧ポンプを製造し、主に国内の大手ジャッキ販売・リース会社から受注している。国内では建設後50年を超える橋梁が増えており、2033年には67%に及ぶ見込みで、修繕工事や架替工事が急務になると予想されている。さらに震災復興や公共工事の増加で油圧ジャッキへの引き合いが増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力部品点数の多い大型の油圧ジャッキ製造の受け入れが追い付かず、部品の約半数を協力工場に加工依頼していて、社内生産性の向上が課題であった。
  • コスト・採算大型で受注単価の良い部品を協力工場へ加工依頼せざるを得ない実情があり、外注費削減が求められていた。
  • 生産能力旧来の設備ではテーブルサイズや最大積載ワーク寸法が小さく、大型部品の加工ができなかった。
  • 納期・工程震災復興や公共工事の増加で油圧ジャッキ生産への引き合いが増え、短納期と低コストが求められていた。

やったこと

補助事業で5軸制御立形マシニングセンタ(VARIAXIS I-800)を2015年1月に導入し、100%自社加工対応を可能とする社内生産体制を確立した。この設備は鉄軽金属の重切削から非鉄金属の高速切削まで幅広い切削が可能で、工事現場から要望の強いアルミ製大型軽量油圧ジャッキの研究、試作開発にも取り組むことにした。導入機で自社製品ER-7油圧ポンプの実生産を想定したテスト稼働を行い、生産比較した。1チャックで5面加工でき、加工精度を大幅に向上させた。

加工機5軸制御立形マシニングセンタ(VARIAXIS I-800)

新しい製品・サービス:アルミ製大型軽量油圧ジャッキ

事業の効果

  • 生産性を30%向上
  • 加工時間(1台当たり) 5時間→3時間
  • 導入後の出荷数は1カ月に10~15台と倍増
  • ポンプに圧力をかけた際の油の排出量が平均3%向上
  • 内製化は現段階で80%以上

5軸マシニングセンタの導入で1台あたりの加工時間が5時間から3時間に短縮し、生産性が30%向上した。導入後の出荷数は1カ月10~15台と倍増した。多面同時加工により品質面でも面精度・角度精度が向上し、油の排出量も平均3%向上した。部品の外注加工が減り、組立作業で生じていた不具合手直し作業も減少した。内製化は80%以上に達し、外注費を削減できた。ジャッキ分野以外の新規取引先2社から部品納入を獲得し、受注増につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業1977年から建設・橋梁用の超高圧油圧ジャッキを手がけてきた経緯が書かれ、一貫性はうかがえるが経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内トップクラスの超高圧特殊製品、長年の組み上げ技術、2033年に橋梁の67%が建設後50年超という外部環境が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    部品の約半数を協力工場に外注していた課題に対し、5軸加工機導入で内製化80%以上を実現する方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1台5時間を3時間に短縮し生産性30%向上、出荷数が1カ月10~15台と倍増と数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員12人の会社であることはわかるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    震災復興や橋梁修繕需要、短納期・低コストへの要望、工事現場の要望が挙げられ、顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    2017年8月の本格生産、2019年8月の新設備導入など時期は示されているが、課題解決の方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    アルミ製大型軽量油圧ジャッキは製品との差別化を目指した新製品で、既存品との違いが明確に示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    震災復興と橋梁の修繕・架替需要の増加、公共工事による社会インフラ維持という国の補助理由が数字つきで示されている。

  • 費用対効果4

    生産性30%向上、出荷数の倍増、油の排出量3%向上など、投資効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    多面同時加工など加工技術の改善は書かれているが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの波及は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    南砺市の所在地は書かれているが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

震災復興や2020年の東京五輪を控えて公共工事がさらに増え、橋梁の修繕・架替工事も伸びるとみている。今後も内製化を進めて収益向上と顧客対応の改善を図りたい。事業終了後の3年目(2017年8月から)に本格生産に入り、5年目(2019年8月から)には新たな設備を導入して生産体制を強化し、本格受注を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。