ものづくり補助金平成25年度製造業石川県

製造環境の全体最適化を通じた「糀」及び発酵食品の高品質化

株式会社髙木糀商店

成果従業員の作業人数 4人→2人

この事例のポイント

  • 石室内は多湿で結露しやすく、経年で石の表面に凹凸が生じて雑菌が繁殖しやすい状況である。
  • 石室の壁面及び天井について、石とステンレスの長所を活かした「ハイブリッド室(むろ)」に改善し、石の蓄熱性とステンレスの清潔性を両立させた。
  • 従業員の作業人数 4人→2人。ハイブリッド室の導入により石室内及び製品の菌数が減少し、機械装置としての品質向上が明らかになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社髙木糀商店
所在地石川県 金沢市
業種食料品製造業
従業員数2人
資本金3,000万円
設立1825年

事業の背景

当社は天保年間の創業以来約190年間、糀及び糀に関連する発酵食品を専門に扱ってきた食料品製造業である。製造する社屋は金沢市の指定保存建造物となっている藩政期末期の町屋建築で、創業の20年後に建設され築約170年である。流通業者からは「食の安全・安心」、特に製造環境の衛生管理と(生)菌数の低減を求められてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度石室内は多湿で結露しやすく、経年で石の表面に凹凸が生じて雑菌が繁殖しやすい状況である。
  • 品質・精度糀を取り出してから保管するまで平均1時間程度を要し、特に気温30度を超える夏季は雑菌数が増加する。
  • 品質・精度流通業者から求められている菌数の低減(高品質化)と、発酵環境の両立が課題である。

やったこと

石室の壁面及び天井について、石とステンレスの長所を活かした「ハイブリッド室(むろ)」に改善し、石の蓄熱性とステンレスの清潔性を両立させた。これにより石室内を糀にとって最適な温度・湿度に保ちつつ、従来と比較して菌数の低減を図った。また石室内に空調設備を導入し、壁面及び天井の結露発生を抑制した。製造環境の全体最適化として、糀及び糀を使用した発酵食品の菌数低減と伝統的な製法の両立を図った。

その他ハイブリッド室(むろ)(石室の壁面・天井改修)
加工機石室内空調設備
その他制御盤

新しい製品・サービス:塩糀など多様な糀加工品、味噌づくりキット、詰め合わせ贈答用商品

事業の効果

  • 従業員の作業人数 4人→2人

ハイブリッド室の導入により石室内及び製品の菌数が減少し、機械装置としての品質向上が明らかになった。作業時間が短縮され、作業が必要な工程の人数は4人から2人になった。首都圏を含むスーパーマーケットや百貨店への販路が拡大し、かぶらずしは糀・甘酒ともに品質が向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業約190年の糀専門店として蓄積したノウハウ、伝統製法、材料へのこだわりを強みとし、石室とステンレスを組み合わせた改善が事業の延長にあると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    流通業者から食の安全・安心、特に菌数低減を求められてきたという外部要請と、強みの伝統製法を結びつけているが、市場動向の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    石室内の多湿・結露、表面凹凸による雑菌繁殖、取り出しから保管まで平均1時間という課題を具体的に示し、ハイブリッド室で解決する計画になっている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    菌数低減や作業時間短縮、4人から2人への省人化は述べられているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数2人の小規模体制であることはうかがえるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    菌数低減と伝統製法の両立という価値、百貨店や有名食料品店への販売は読み取れるが、顧客ターゲットの定量的な裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    ハイブリッド室の改善と空調導入は示されているが、スケジュールや課題解決の具体的な遂行方法は記載がない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    糀の製造に特化した伝統的発酵食品で、菌数低減による高品質化を図るとあるが、同分野での高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    金沢市指定保存建造物の町屋での発酵文化の継承や地域性はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    従業員数の削減や作業時間短縮はうかがえるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    石室内の空調導入や温湿度管理はうかがえるが、先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記載されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    金沢市の町屋や伝統的発酵食品という地域性を活かした事業と読み取れるが、雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ポストコロナ時代を見据え、今は踏みとどまっている時期と考えている。海外を含め観光客の来訪と購買は大きいと感じており、インターネット販売の促進も進めていく。

事業者の声

製造はすべて知恵と技術を次の世代に渡していきたいと考えている。発酵文化というものの継承を担っている誇りを堅持したい。ただ、発酵する環境と衛生環境の実現は両立しないといけない。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。