ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

室戸海洋深層水製塩工場の高効率化と化石燃料の削減を目的とした設備投資

室戸海洋深層水 株式会社

成果塩分濃度(逆浸透膜による濃縮) 3%→10%

この事例のポイント

  • 従来の蒸気釜による一次濃縮は製造日数が長く、製造量が少なかった。
  • 海水濃縮用蒸気釜の前段に逆浸透膜(RO膜)を導入し、エネルギーを使わずに供給海水の塩分濃度を3%から10%まで濃縮できるようにした。
  • 塩分濃度(逆浸透膜による濃縮) 3%→10%。ヒートポンプ方式減圧濃縮装置の導入で、燃料コストを削減しながら生産量も増やせた。

事業者のプロフィール

事業者名室戸海洋深層水 株式会社
所在地高知県 室戸市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数18人
資本金5,900万円
設立1998年

事業の背景

会社設立当初は流下ネット方式と天火による製塩で、製造量が少なく製造日数は約1ヶ月かかっていた。化石燃料を大量に消費するため製造コストも高く、会社を継続・発展させるにはエネルギー費用を中心とした製造コストの削減と生産性の向上が必須となった。当社は製塩に2段階濃縮を採用しており、一次濃縮の蒸気釜3台(1トン)と製塩用530L蒸気釜3台の計6台で製塩していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の蒸気釜による一次濃縮は製造日数が長く、製造量が少なかった。
  • コスト・採算化石燃料を大量に消費するため製造コストが高く、燃料価格の高騰で市場競争力が低下していた。
  • 生産能力一次濃縮の蒸気釜が事業所全体の燃料使用量の6割を占めており、工程の改善が急務となっていた。

やったこと

海水濃縮用蒸気釜の前段に逆浸透膜(RO膜)を導入し、エネルギーを使わずに供給海水の塩分濃度を3%から10%まで濃縮できるようにした。高知工科大学と協力し、従来の蒸気釜からヒートポンプ方式減圧濃縮装置への転換に取り組み、転換前後で成分が変化しないことを連続濃縮テストと成分分析で確認した。スケール(硫酸カルシウム)対策として、膜技術で硫酸イオンを除去する技術を開発し、食品製造機器専用の洗浄剤を用いた洗浄試験をメーカー試験機で行い、容易で確実なスケール除去を実証した。ヒートポンプ方式減圧濃縮装置を導入し、従来の蒸発釜3台(計2.4トン/日)の処理能力を4トン/日まで増やした。

加工機ヒートポンプ方式減圧濃縮装置
その他逆浸透膜(RO膜)

新しい製品・サービス:焼塩の商品化を進めている。

事業の効果

  • 塩分濃度(逆浸透膜による濃縮) 3%→10%
  • 濃縮水の処理能力 2.4トン/日→4トン/日
  • 生産効率が上がり製造量が1.7倍にアップ

ヒートポンプ方式減圧濃縮装置の導入で、燃料コストを削減しながら生産量も増やせた。濃縮水の処理能力が増え、製造量は1.7倍になり、安定的に製品を供給できる体制ができた。人材を商品開発や営業に振り向けられ、新たな雇用にもつながった。廃熱を利用した濃縮で大幅な省エネルギー化も実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    従来の蒸気釜からヒートポンプ減圧濃縮装置への転換が、海洋深層水製品を守る製造コスト削減という一貫した課題に沿って位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    燃料高騰で市場競争力が低下したと記すが、競合や市場動向との比較は示されず、強みの裏付けは限定的である。

  • 課題の認識と解決5

    一次濃縮の燃料使用量が事業所全体の6割と明記され、処理能力2.4トン/日から4トン/日、製造量1.7倍と数値で効果が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    原単位が2.13L/kgから0.51L/kgへ下がる見込みと、製造量1.7倍・ほぼ計画通りの達成が数値で示されている。

  • 事業を進める体制2

    高知工科大学や電力会社、メーカーと協力した体制はうかがえるが、事務処理能力や担当人材の配置は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    製品は海洋深層水のみを使う無添加の自然塩で、品質管理室の活用に触れるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    メーカー試験機での連続濃縮テストや洗浄試験、概ね5年後の晶析装置導入など、段階的な課題解決と時期が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    製塩の一般的な製法に対し、海洋深層水の成分を保つ連続濃縮の転換を示すが、普及度や高水準の高付加価値化の度合いは明示されていない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    地域の海洋深層水製塩の高効率化は示されるが、雇用創出については人材を商品開発へ回し新規雇用につながったとの記述にとどまる。

  • 費用対効果5

    原単位が2.13L/kgから0.51L/kgへ大幅に下がり、生産量増加と燃料費削減を両立したと数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    廃熱の再圧縮や減圧による低温化、フルオートメーション生産ラインへの展望が示され、技術革新への貢献がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    室戸の海洋深層水を活かした地域ブランドの製塩と雇用への言及があるが、地域経済成長への牽引度は具体的に示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成28年度は省エネ大賞にエントリーしている。今後は析出工程についても高知工科大学と基礎調査を行い、概ね5年後をめどにヒートポンプ方式減圧晶析装置の導入を目指す。使用電力の3分の1程度を自家発電で賄えるようソーラーパネルの導入も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。