ものづくり補助金平成25年度製造業石川県

軽金属溶接技術の導入による軽量かつ高剛性の防災用運搬台車の試作開発

株式会社森山鉄工

成果製品重量 8.5kg→5.3kg

この事例のポイント

  • 軽量化と高剛性が求められていたが、従来の台車は強度が必要な接合箇所にステンレスを使わざるを得ず、重量増加が問題になっていた。
  • デジタルインバーター溶接機(アルミ用溶接機)及び専用溶接治具を導入し、軽金属材料の溶接加工を実現した。
  • 製品重量 8.5kg→5.3kg。1台当たりの製品重量を従来品の8.5kgから30%軽い5.3kgにし、目標としていた軽量化を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社森山鉄工
所在地石川県 加賀市
業種輸送用機械器具製造業
従業員数20人
資本金4.5億円
設立1988年

事業の背景

当社は自社製品として3つ折り構造の折り畳み式台車を開発・製造・販売していた。この台車は収納性・利便性が評価され、さいたま市消防局から消防車両搭載向けの運搬台車の開発依頼を受けた。展示会のアンケートでは軽量化を求める意見が多数あった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術軽量化と高剛性が求められていたが、従来の台車は強度が必要な接合箇所にステンレスを使わざるを得ず、重量増加が問題になっていた。
  • 生産能力チタンやアルミなど軽金属に対する溶接技術・機材を持っていなかった。
  • 品質・精度アルミ材の接合部にネジやリベット構造を用いていたため、ガタが生じやすく、剛性や操作性に課題があった。

やったこと

デジタルインバーター溶接機(アルミ用溶接機)及び専用溶接治具を導入し、軽金属材料の溶接加工を実現した。ステンレス部の溶接には専用溶接機を導入し、スパッタや酸化被膜の発生を抑制した。接合部はネジやリベットから一体構造への変更と溶接に切り替え、使用部品点数を削減した。ステンレス部分をアルミに切り替えて軽量化を図り、耐熱(120℃前後)・耐水・耐油性に優れ、60度の傾きでも滑り落ちない環境に優しい滑り止めシートを採用した。折り畳み式台車(MTカート ウィング)を16台試作し、実物強度試験と金属疲労試験を石川県工業試験場で実施した。

加工機デジタルインバーター溶接機(アルミ用溶接機)
加工機専用溶接治具
加工機専用溶接機(ステンレス部用)

新しい製品・サービス:折り畳み式台車(MTカート ウィング)。強度部品にジュラルミンを採用したモデルを新たに開発し市場投入した。

事業の効果

  • 製品重量 8.5kg→5.3kg

1台当たりの製品重量を従来品の8.5kgから30%軽い5.3kgにし、目標としていた軽量化を達成した。実物強度試験と金属疲労試験では破断等は見られず、耐荷重200kgをクリアした。滑り止めシートの採用などで機能性・デザイン性も向上し、防災関係の市場に加え一般市場でも広く使用できる台車になった。さいたま市以外の全国の消防局でも採用され、受注実績は確実に増加している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来品の台車を開発・販売しており、その延長で軽量化や高剛性化に取り組んだと読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    展示会アンケートで軽量化要望が多数あったことや、防災市場以外の一般市場にも広く使える点から市場ニーズを踏まえたことはうかがえるが、競争優位の分析は記載が薄い。

  • 課題の認識と解決3

    溶接技術・機材を持たずステンレスを使わざるを得なかった課題を認識し、アルミ溶接で解決した流れは読み取れるが、高付加価値化や成長への定量的な見通しは書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    従来品8.5kgから30%軽い5.3kgに、耐荷重200kgをクリアと数字で示されており、目標値の達成は具体的に読み取れる。ただし賃上げや付加価値の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員20人の小規模企業であることと、石川県工業試験場で試験を実施したことはわかるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    消防車両搭載向けの依頼や展示会での反響、軽量化・耐熱・滑り止めといった特徴が具体的に書かれ、顧客ニーズと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    一体構造への変更や部品点数削減、強度アップを繰り返す今後の方針は示されているが、スケジュールや検証の進め方は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    アルミ溶接と滑り止めシートの組み合わせで機能性やデザイン性を高めたと書かれるが、分野の普及度や高価格化の具体的根拠は乏しい。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    防災関係の市場や消防局への納入実績が触れられ、防災用途の社会的意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の具体的な記述はない。

  • 費用対効果3

    台車1台の重量を8.5kgから5.3kgへ30%軽量化し、16台試作したと数字で示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    溶接技術の導入や一体構造化は製造面の改善だが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    加賀市の地場企業で石川県の試験場を利用した点はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

MTカート ウィングのさらなる軽量化・剛性向上を目指し、強度部品にジュラルミンを採用したモデルを市場投入した。今後も仕様変更と強度アップを繰り返して品質向上を図り、安定した受注を確保していく。本事業で得た技術とノウハウを使い、お客様のニーズに合った製品開発に取り組んでいく。

事業者の声

新時代のニーズに応えるため人にやさしく、地球にやさしい製品づくりにチャレンジしています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。