ものづくり補助金平成25年度製造業石川県

超高精細印刷技術を確立し3D印刷製品のトップランナーを目指す事業

ハヤシ印刷紙工株式会社

この事例のポイント

  • 3D印刷では色の重ね合わせ精度が低いと色割れが発生するため、これを防ぐことが課題だった。
  • 製版機(CTP機器)の刷版レンズピッチ、使用するレンチキュラーレンズのLPI(1インチ幅のレンズ本数)、試作品のデザイン・サイズ・用途を組み合わせ、10回にわたって試作を行った。
  • 試作を通じて、固定的な最適印刷条件は存在せず、製品のデザイン・サイズ・用途等に応じて刷版データの作成方法やレンズピッチ、LPIを選び、試刷を繰り返す必要があることが明確になった。

事業者のプロフィール

事業者名ハヤシ印刷紙工株式会社
所在地石川県 金沢市
業種印刷・同関連業
技術分野表面処理
従業員数27人
資本金3億円
設立1975年

事業の背景

当社はUVオフセット印刷、高精細FMスクリーン印刷、デジタル色調管理などの設備とシステムを同業他社に先駆けて導入し、高精細印刷を強みとしてきた。近年注目される3D印刷は、レンチキュラーレンズを用いた立体表現や動画表現が可能な印刷物であり、チケット偽造防止など多くの用途で製品化されている。しかし、国内の印刷業者が提供する製品は十分な奥行きや立体感が表現されているとは言い難く、北陸三県では3D印刷に取り組む同業他社はほとんど存在しなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度3D印刷では色の重ね合わせ精度が低いと色割れが発生するため、これを防ぐことが課題だった。
  • 生産能力立体感や奥行きの表現が十分でなく、技術的な向上の余地があった。

やったこと

製版機(CTP機器)の刷版レンズピッチ、使用するレンチキュラーレンズのLPI(1インチ幅のレンズ本数)、試作品のデザイン・サイズ・用途を組み合わせ、10回にわたって試作を行った。3D画像合成ソフトウェア開発元企業と3D印刷アシストソフトウェア開発元企業の担当者立ち合いのもと、製版機と3Dソフトの試運転を行い、問題がないか確認した。試作品の視覚的効果を定性的に評価して改良点を明確化し、試作条件を再設定して再度試作と評価を行った。当社の色調管理技術を適用して3Dを管理するワークフローを確立した。

加工機高精細製版機(CTP機器)

新しい製品・サービス:3Dポストカード(年賀状含む)、コンサートチケット

事業の効果

試作を通じて、固定的な最適印刷条件は存在せず、製品のデザイン・サイズ・用途等に応じて刷版データの作成方法やレンズピッチ、LPIを選び、試刷を繰り返す必要があることが明確になった。3D画像合成ソフトウェア開発元企業等の担当者からは市場投入できる品質レベルに達しているという評価を得た。製品化した3Dポストカードは顧客に好評で一定のリピート需要があり、売上高は伸びている。コンサートチケットの受注もあり、当社3D印刷製品の認知度が高まっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    UVオフセットや高精細FM印刷など先鋭設備を先行導入してきた経緯が書かれ、3D印刷への取り組みも継続性がうかがえるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    北陸三県に同業他社がほとんどないことや色調管理の強みに触れるが、競争優位の定量的な裏付けは示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    立体感や奥行きの表現不足という課題と、色調管理ワークフローの確立による解決は書かれるが、高付加価値化の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上高は伸びていると書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性を判断する数値が不足している。

  • 事業を進める体制3

    高い専門性をもつ人材の育成や、メーカー担当者立ち合いでの試運転が書かれ、体制の一端はうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ポストカードや年賀状に一定のリピート需要があり、お客様に自社を印象付けられると好評を得た点など、ニーズの裏付けが具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋4

    試作を10回繰り返し、刷版レンズピッチやLPIの条件を検証した過程が記載され、課題解決の方法が具体的に読み取れる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    3D印刷は一般的な普及度が低い分野で、市場投入できる品質に達したとの評価や、売上増加の状況が書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域の印刷業として金沢で事業を行うことは書かれるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は読み取れない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    高精細印刷や色調管理システムを先行導入した取組は書かれるが、サプライチェーンへの貢献は具体的に述べられていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    3D印刷という将来性のある分野への進出は書かれるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    北陸三県の同業者がほとんどない中で3D印刷に取り組んだ点は地域特性を活かす取組として読み取れるが、雇用や成長への数字は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も製品バリエーション開発に取り組み、事業化のさらなる進展を図りたい。

事業者の声

市場投入できる品質レベルに達している

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。