ものづくり補助金平成25年度製造業山梨県

天然カットソーODM生産における高品質・短納期・少量生産の試作開発

有限会社 田中洋装

成果縮率 5%→1%

この事例のポイント

  • OEM生産が中心で、取引先の経営に左右されやすいため、自社企画製品を開発・製造して事業の柱をもう一つつくる必要があった。
  • シルクや綿、カシミヤなどの天然素材に刺繍やプリントを施した自社企画製品を開発するため、スポンジングマシンと新型CADシステムを導入した。
  • 縮率 5%→1%。スポンジングマシンの導入で工程数と作業時間が大幅に減り、縮率が安定して高品質な製品をつくれるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 田中洋装
所在地山梨県 南アルプス市
業種繊維工業
技術分野製造環境
従業員数15人
資本金3,000万円
設立1983年

事業の背景

田中洋装は曽祖父が戦前にテーラーを起ち上げて始まり、婦人服の縫製へ転換して現在まで4代続く縫製加工業者である。10年ほど前から婦人用プルオーバー系カットソーの縫製に特化し、取引先からの信頼を得て業績を伸ばしてきた。一方、国内の縫製加工業は中国などアジア諸国からの廉価製品の輸入により市場が縮小し、衰退を余儀なくされている状況にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術OEM生産が中心で、取引先の経営に左右されやすいため、自社企画製品を開発・製造して事業の柱をもう一つつくる必要があった。
  • 生産能力取引先のニーズが商品企画力を問うものへ変化し、素材とデザインが決まった製品を仕上げるだけでは対応できず、OEMから脱却してODM生産を行う必要があった。
  • 品質・精度シルクなど高付加価値の素材は縫製過程で縮みや当たり、ダレが生じやすく、丁寧なスポンジングが欠かせないが、手作業では工程が多く時間もかかっていた。

やったこと

シルクや綿、カシミヤなどの天然素材に刺繍やプリントを施した自社企画製品を開発するため、スポンジングマシンと新型CADシステムを導入した。スポンジングマシンの導入により、これまで手作業のアイロンがけと一晩置く方法で行っていた工程数を大幅に削減し、縮率を5〜10%から1〜2%に安定させた。新型CADシステムの導入により、パターンを1点からでも短納期で作成でき、標準サイズの型紙から大小の型紙を作るグレーディングも短時間で行えるようになった。これらの設備を使い、シルク素材をメインに65型のオリジナルカットソーを試作した。

加工機スポンジングマシン
ソフト新型CADシステム

新しい製品・サービス:シルク素材などの天然素材に刺繍やプリントを施した65型のオリジナルカットソー

事業の効果

  • 縮率 5%→1%

スポンジングマシンの導入で工程数と作業時間が大幅に減り、縮率が安定して高品質な製品をつくれるようになった。新型CADシステムにより短納期でのパターン作成やグレーディングが可能になり、試作品の実績データも蓄積できるようになった。これにより自社企画によるODM生産提案体制の基盤が構築された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    OEM依存からの脱却とカットソー特化の10年前からの流れを明記し、自社企画・ODM生産を新たな柱とする位置づけが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    廉価輸入による市場縮小や、高い技術と信頼が強みという記述はあるが、競争優位性を数値で示す記載は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ODM生産提案体制の必要性と、スポンジング縮率を5〜10%から1〜2%へ改善した課題解決が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、わずかに高品質化の方向性がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    従業員15人で、良会長の経験や2次加工商社のノウハウ活用が書かれ、体制の一端がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高品質・短納期・少量の価値や、取引先の商品企画力ニーズへの対応は読めるが、ターゲットの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    大量生産の効率化とODM拡大を両立させる方針は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細はない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    シルクや天然素材に刺繍・プリントを施す高付加価値化の方向性は読めるが、市場での希少性を示す記述は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内縫製業の衰退に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は記載がない。

  • 費用対効果3

    縮率改善や工程削減、作業時間短縮など効果は書かれるが、補助金額に対する費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    CADシステムの導入で試作や型紙作成が効率化したとあるが、業界全体へのイノベーション貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    縫製業の縮小からODM・高付加価値品への転換は示されるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    made in japanの高品質製品を掲げ地域の縫製業で差別化する方向は読めるが、地域経済への波及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はOEMによる大量生産を効率よく続けるとともに、ODM生産の拡大を積極的に図り、どちらも事業の柱として大きく育てていく方針である。

事業者の声

取引先の経営に左右されることが多いOEM生産だけに頼るのではなく、事業のもう一つの柱を打ち立てていきたい。一般消費者に近いところでも商売をしていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。