ものづくり補助金平成25年度製造業長野県

家庭用燃料電池システムに於ける定期交換不要な水処理装置の開発

株式会社荻原製作所

この事例のポイント

  • 家庭用燃料電池で水処理装置の定期交換が必要なことが、普及を妨げる費用と工数の煩雑さになっている。
  • 処理すべき水の分析と流れの解析を行い、目標達成のための水処理装置の設計条件を整理した。
  • 水処理装置は耐用年数中に交換不要もしくは1回の定期交換で済む性能を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社荻原製作所
所在地長野県 下諏訪町
業種電気機械器具製造業
技術分野接合・実装,複合・新機能材料
従業員数33人
資本金8,100万円
設立1946年

事業の背景

荻原製作所は家庭用ガス給湯器用の循環ポンプで国内トップメーカーである。国内ガス給湯器市場の4割を押さえるメーカー製品の90%以上が同社製である。戦後は小型モーターの量産から始め、1979年にポンプ事業へ移行し、2011年には小型ポンプ生産累計1,700万台を突破した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算家庭用燃料電池で水処理装置の定期交換が必要なことが、普及を妨げる費用と工数の煩雑さになっている。
  • 新製品・新技術産業車両用燃料電池の他分野への展開が課題であり、耐久性を持つ水処理装置の開発が必要だった。

やったこと

処理すべき水の分析と流れの解析を行い、目標達成のための水処理装置の設計条件を整理した。機器の耐用年数(約10年)中に交換不要、もしくは1回の定期交換で水処理が賄える構造を検討し、耐用年数を満たす構造部材を選択した。開発品の振動試験を行い、変形が規格内で機械的強度を確保できることを確認した。量産価格を9,800円とし、メンテナンスが必要な現行品の1.5倍以下の価格で目標コストを達成した。平成24年度からのものづくり補助金により、微粒子測定器、イオン分析器、環境試験装置を導入し、検査・試験環境を充実させた。

検査測定微粒子測定器
検査測定イオン分析器
検査測定環境試験装置

新しい製品・サービス:燃料電池を用いた産業車両のセルスタック冷却用水処理装置

事業の効果

水処理装置は耐用年数中に交換不要もしくは1回の定期交換で済む性能を実現した。構造部材の選択により耐用年数を満足し、コストメリットも確保できた。量産価格9,800円で目標コストを達成した。その結果、本田技研工業、ノーリツ、京セラ、デンソーで搭載に向けた検討が始まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成24年度からの補助金活用や燃料電池用ポンプ・水処理装置の開発継続が記載され、一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    家庭用ガス給湯器用ポンプ国内シェアの90%以上や、NEDOプロジェクトへの参加実績が書かれており強みはうかがえるが、市場動向との関係は詳述されていない。

  • 課題の認識と解決2

    社長が試作や少量生産からの量産化への対応を課題として挙げているが、課題解決の具体的な計画は書かれていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    成果として量産価格9,800円で目標コストを達成し、現行品の1.5倍以下とされた点が具体的に書かれている。付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員33名、グループ会社の一貫体制、10年以上の研究開発実績が書かれており体制はうかがえるが、補助事業の遂行体制として詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    定期交換不要で耐用年数中に交換不要という製品価値や、本田技研工業など4社で搭載検討が始まった点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は採用に向け生産工程や品質保証体制の構築を進めると書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    家庭用燃料電池の水処理装置を定期交換不要とする高効率化が成果として示され、同分野で高水準の価値化が図られている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    家庭用燃料電池の本格普及、地域への貢献、雇用の拡大が目的として明記され、環境・エネルギー分野の政策的意義が読み取れる。

  • 費用対効果3

    現行品の1.5倍以下の価格でコストメリットを出したとあるが、補助金投入額に対する付加価値額や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    燃料電池の水処理装置や振動試験など技術開発はうかがえるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    燃料電池の普及と車両用燃料電池の他分野展開が課題として挙げられ、成長分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    地域への貢献と雇用の拡大が目標として記載されているが、地域の特性を活かした付加価値創出の内容は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は採用に向けて生産工程や品質保証体制の構築を進める。

事業者の声

燃料電池が本格普及し開発製品が大量生産されるようになった時、生産体制でもコストでも対応できる会社づくりが目標。試作や少量生産までは中小企業でもできるが、大量生産になるとほとんど大手にもっていかれる。そこはスッポンのごとく逃がさないぞと(笑)。大きな挑戦ですが、やらなければいけないことが見えてきました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。