ものづくり補助金平成24年度滋賀県

冷凍・空調設備の省エネ・節電を目的とした熱伝導・熱拡散に優れた極薄炭素シート(熱媒体)に補強材を貼り合わせる最適接着工法の確立

株式会社大木工藝

この事例のポイント

  • 炭素シートをアルミ板に貼り合わせる接着層を薄く均一にし、十分な密着性を確保する必要があった。
  • 炭素シート(厚さ0.13mm)とアルミ板(厚さ0.8mm、1m×2m)を貼り合わせる接着機械装置を構想・設計・製作した。
  • 炭素シートを熱媒体としたアルミ複合材を冷凍・空調設備の内壁に使うと、速く冷却されるため冷蔵・空調の使用時間を短縮でき、消費エネルギーと消費電力の削減が期待できる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大木工藝
所在地滋賀県 大津市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数15人
資本金6,000万円
設立1997年

事業の背景

現状、炭素シートは工業用のガスケットやパッキンに使用されているが、冷凍・空調設備の内壁材には使われていなかった。国内市場規模は冷凍車関連が約2,000億円、ビル・住宅関連が約1,060億円、業務用冷蔵庫関連が約1,200億円、家庭用冷蔵庫関連が約3,700億円と大きい。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度炭素シートをアルミ板に貼り合わせる接着層を薄く均一にし、十分な密着性を確保する必要があった。

やったこと

炭素シート(厚さ0.13mm)とアルミ板(厚さ0.8mm、1m×2m)を貼り合わせる接着機械装置を構想・設計・製作した。装置はラミネーター機で最大接着幅1400mm、最大接着厚25mmに対応し、接着工程は分速2mの自動運転で、手作業を含めて1時間あたり6製品を生産できる能力を持つ。接着ローラーにはエステル系ウレタンの接着剤ミニローラー、圧延ローラーには弾力性のあるシリコンゴム製ローラーを採用した。接着剤は「ラミネート用接着剤」「エマルジョン系接着剤」「PVP系接着剤」を試験し、接着層の薄膜化、接着強度、熱伝導特性から総合評価してエマルジョン系接着剤を選定した。製品サイズの試作では、全面塗布では加圧ローラー部で接着剤のはみ出しが起きたため、ストライプ状に塗布する方法に改めた結果、接着層の厚さ10μm、接着強度、シワ、熱伝導特性などが良好となった。

  • 加工機ラミネーター機加圧ローラー組込みベルトコンベア式の接着機械装置
  • その他接着剤ミニローラー

新しい製品・サービス:冷凍庫用内壁熱媒体パネル

事業の効果

炭素シートを熱媒体としたアルミ複合材を冷凍・空調設備の内壁に使うと、速く冷却されるため冷蔵・空調の使用時間を短縮でき、消費エネルギーと消費電力の削減が期待できる。熱伝導性能を保ったまま冷凍庫用内壁熱媒体パネルの本格的な生産が可能になった。補助事業終了後2年目から量産を始め、3年目から本格的に市場へ参入する計画である。冷凍車1台あたり20枚の需要が見込まれ、国内市場第二位のH社への提案を予定している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    冷凍・空調の省エネ向け炭素シート内壁材の開発という方向性は読めるが、これまでの事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    炭素シートが工業用ガスケット等に使われ、内壁材として新用途を開拓すると述べるが、競合や自社の強み・弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    冷凍車等の市場規模を億円単位で示し、課題としての省エネ・節電を挙げるが、課題解決が事業計画にどう結びつくかは具体性が薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    1時間6製品、分速2mの生産能力や量産開始時期は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    熱伝導性と冷却時間短縮による消費電力削減が効果として示され、冷凍車で1台20枚使用の需要想定もあるが、顧客ターゲットの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    小サンプルから製品サイズへの試作、ストライプ塗布による不具合対策、冷熱試験など段階的な検証過程が具体的に記載されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    炭素シートは工業用途に限られていたが冷凍・空調の内壁材として用途を広げる点や、低価格で新素材を展開する点が書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    冷凍・空調の省エネ・節電による消費電力削減の効果が述べられ、国が補助する意義はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    消費電力削減が期待できると述べるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材の内壁材利用で冷凍設備の省エネに寄与する点がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    省エネ・節電が進展する冷凍・空調分野への進出が示され、構造転換への寄与がうかがえるが、政策的な位置付けの記述は薄い。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

補助事業終了後2年目から量産を開始し、3年目から本格的に市場に参入する。市場参入に際して国内市場第二位のH社に提案を予定しており、決まれば冷凍車1台につき20枚の使用が想定される。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。