ものづくり補助金平成25年度製造業岐阜県

超臨界流体クロマトグラフィーを利用した生理活性天然物の分離精製

長良サイエンス株式会社

この事例のポイント

  • 不安定な生理活性天然物を安定に分離精製する技術が必要だった。
  • 超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)及びフラッシュエバポレーターを導入し、不安定な生理活性天然物を迅速・確実に分離精製する技術を開発した。
  • 分離精製が困難だった不安定な生理活性天然物を安定的に分離精製できるようになり、今まで困難だった分離精製が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名長良サイエンス株式会社
所在地岐阜県 岐阜市
業種化学工業
技術分野バイオ
従業員数12人
資本金3,000万円
設立1999年

事業の背景

当社は平成11年に岐阜大学教授の研究成果を基に設立された会社で、和漢薬等に含まれる生理活性天然物を研究用試薬として販売している。茶カテキン類や大豆イソフラボン類などを含む高純度標準品を製造している。近年、研究用試薬は原料の和漢薬植物の入手が容易で人件費や機械装置の安い中国等で大量に生産され、安価に出回っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力不安定な生理活性天然物を安定に分離精製する技術が必要だった。
  • 品質・精度天然物は立体異性体や構造異性体など非常に似た構造の化合物が混ざり、分離精製が困難だった。
  • コスト・採算研究用試薬は中国などで大量生産され安価に出回っており、より高度な分離精製技術による新製品開発・品質向上・生産コスト削減が必要だった。

やったこと

超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)及びフラッシュエバポレーターを導入し、不安定な生理活性天然物を迅速・確実に分離精製する技術を開発した。ミルク由来原料からスフィンゴミエリン(SM)混合物、卵黄由来原料からホスファチジルコリン(PC)混合物及びホスファチジルエタノールアミン(PE)混合物をそれぞれ試作開発した。フラッシュエバポレーターは濃縮時の加熱時間を短縮でき、熱変性しやすい化合物の濃縮に有効であることが分かった。SFCは装置に適した化合物と適さない化合物があるが、それを考慮すれば有効な分離精製法であることが分かった。

加工機超臨界流体クロマトグラフィー(SFCシステム)
加工機フラッシュエバポレーター

新しい製品・サービス:ミルク由来スフィンゴミエリン(SM)混合物、卵黄由来ホスファチジルコリン(PC)混合物、卵黄由来ホスファチジルエタノールアミン(PE)混合物

事業の効果

分離精製が困難だった不安定な生理活性天然物を安定的に分離精製できるようになり、今まで困難だった分離精製が可能になった。フラッシュエバポレーターにより熱変性しやすい化合物の濃縮が効率化された。研究用試薬の種類が増え、受託業務の売上も大幅に伸びた。今後も新規・高純度の研究用試薬を開発し、生命科学の発展に貢献したいとしている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の研究用試薬事業と大学研究成果の活用が一貫しており、分離精製技術を事業の柱にする方向性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    安価な中国製試薬との競合環境に触れ、分離精製が困難な点を強みとして示しているが、競争優位の具体的な数値や比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決2

    分離精製の困難という課題は書かれているが、高付加価値化や成長につながる具体的な事業計画の内容は読み取れない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上増や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性を判断する数値も見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    社員12人の企業規模と大学教授の研究成果活用は読み取れるが、補助事業を遂行する体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    製品約400種類、世界初商品の大半、研究機関や食品会社での利用先など、製品価値と顧客像が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の新規試薬開発や学会発表など方向性は示されるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    製品の大半が世界初商品で、和漢薬成分の高純度分離という高付加価値・高価格分野であることが具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    生命科学や医薬品開発への貢献が述べられるが、雇用創出や波及効果は具体的に示されていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す投資額や付加価値額の数値は書かれておらず、わずかに効果がうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献3

    分離精製技術を生物由来原料全体に広げる方向性は述べられるが、サプライチェーンへの貢献は具体的ではない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    生命科学分野の発展に貢献する意図はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    岐阜の地域企業であることはわかるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への寄与は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

生物由来原料の分離精製技術全体に通じる技術として、今後も新規な研究用試薬や高純度な研究用試薬を開発し、生命科学の発展に貢献したい。また、SFCでは生理活性天然物の分離精製においてHPLCとは異なる興味深い知見が得られ、平成28年3月の日本農芸化学会年会で発表した。

  • 目標:研究用試薬の製造・販売数 300種類→400種類

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。