ものづくり補助金平成25年度製造業岐阜県

岐阜和傘の新市場開拓を目指した小型・高精度和傘部品の試作開発

有限会社長屋木工所

成果傘ロクロの直径 30mm→27mm

この事例のポイント

  • 和傘の軽量化・繊細化の需要に対し、従来の加工機械では傘ロクロの小型化に限界があった。
  • 従来の傘ロクロ旋盤加工機の駆動方式を変更し、軌道モーターを直結したうえでインバーターを取り付けて回転数を変更できるようにした。
  • 傘ロクロの直径 30mm→27mm。新規導入した機械装置により、多様な傘ロクロの生産が可能になり、市場が求める多様な和傘に対応できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社長屋木工所
所在地岐阜県 羽島郡岐南町
業種木材・木製品製造業
技術分野精密加工
従業員数3人
資本金300万円
設立1947年

事業の背景

昭和22年から和傘の骨をつなぐ木製の傘ロクロを製造しており、現在は国内でこの部材を製造する会社が1社のみとなっている。岐阜県内の6業者を含む全国20の和傘業者に納品している。岐阜県内の加工業者は最盛期には200軒以上あったが、現在は1社で職人も1人という状況が続いていた。和傘は需要が減少してきたが、女性の日傘に見られるように良さが見直されてきている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術和傘の軽量化・繊細化の需要に対し、従来の加工機械では傘ロクロの小型化に限界があった。
  • 生産能力従来の加工機械は設計が古く老朽化が進んでいた。
  • 品質・精度傘ロクロの溝に0.2〜0.3㎜の誤差が生じていた。
  • 品質・精度不良率が40%程度(100個中40個前後が不良)と高かった。

やったこと

従来の傘ロクロ旋盤加工機の駆動方式を変更し、軌道モーターを直結したうえでインバーターを取り付けて回転数を変更できるようにした。材料保持部を改良し、打ち込みを手動からエアシリンダーに変えて材料を確実に保持できるようにした。これにより直径27㎜の部品の切削が可能になった。新たにデジタルシーケンサーを用いた傘ロクロスリット加工機を導入し、48本の溝を等間隔に切り込む加工と糸繋ぎの穴あけを行う構成とした。スリット加工と穴開けドリルのモーターはそれぞれ別々に取り付けた。新型傘ロクロの仕様は直径27㎜、スリット数48本とし、原材料には天然素材のエゴノキを用いた。

加工機傘ロクロ旋盤加工機(改造)
加工機傘ロクロスリット加工機

新しい製品・サービス:直径27㎜、スリット数48本の小型・高精度な新型傘ロクロ

事業の効果

  • 傘ロクロの直径 30mm→27mm
  • スリットの誤差 0.3mm→0.1mm
  • 不良率 40%→20%

新規導入した機械装置により、多様な傘ロクロの生産が可能になり、市場が求める多様な和傘に対応できるようになった。スリット加工の精度が上がり、誤差が0.1㎜以内に抑えられるようになった。不良率も大幅に下がった。新型傘ロクロの生産により、和傘の構造を用いた海外向けの照明器具などの分野の成長も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    和傘骨をつなぐ傘ロクロを昭和22年から製造し、全国20の和傘業者に納品している実績が書かれている。経営戦略上の位置付けまでは読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    最盛期200軒以上が現在1社に減ったこと、全国で1社のみの製造という強みが書かれている。市場動向との関係は概略のみ。

  • 課題の認識と解決4

    課題を直径30㎜の限界、スリット誤差0.2〜0.3㎜、不良率40%と数値で示し、改良後は誤差0.1㎜以内、不良率20%程度と書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    不良率40%から20%程度、直径30㎜から27㎜への小型化など結果の数値はあるが、補助事業前の目標値としての提示は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    県立森林文化アカデミーの久津輪准教授や和傘職人と検討したとあるが、事業遂行の人員体制や事務処理能力の記載は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    女性の日傘など軽量で繊細な和傘の需要増、海外向け照明器具への応用など、顧客ニーズと用途が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    新型傘ロクロの仕様検討や機械導入は書かれているが、中長期のスケジュールや課題解決の段取りは読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    和傘の製造は1社のみで、傘ロクロの小型化・高精度化により新市場の開拓を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    岐阜県郷土工芸品や伝統工芸としての和傘の継承、海外向け商品への展開など地域文化への波及は書かれているが、雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタルシーケンサーの導入やステップモーターなど技術導入はあるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    和傘の需要変化や軽量化・海外向け展開は書かれているが、日本経済の構造転換に資する分野の記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    岐阜県郷土工芸品、岐阜県内の業者、エゴノキなど地域資源を活かした和傘の生産が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

和傘の構造を用いた照明器具など海外向け商品の生産が行われており、新型傘ロクロの生産によりこの分野の成長拡大が期待されている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。