ものづくり補助金平成25年度製造業静岡県

溶接レス自動車用マフラーを、リバースエンジニアリングで提供

株式会社平野工業製作所

この事例のポイント

  • 純正マフラーの設計データは入手できず、発注者支給のモックアップ品をもとに採寸・製造しなければならないため、誤差縮小に計測を繰り返す必要があり、製造期間が長期化していた。
  • 非接触式三次元測定機を導入し、当社の極小R多点曲げ加工技術と融合させることで、溶接工程のない複雑形状の多点曲げ加工によるマフラーの設計提案を目指した。
  • 計測作業が熟練者の半日から4時間ほどに短縮され、計測ミスによる再計測も回避できたため、製造期間の短縮が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社平野工業製作所
所在地静岡県 浜松市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工,測定計測,立体造形
資本金1,000万円
設立1965年

事業の背景

当社は1965年に浜松市で精密板金加工業として創業し、現在は四輪自動車用アフターパーツ(足回り、アルミペダル、牽引フック、ストラットタワーバーなど)を主力としている。ものづくりの街・浜松で50年以上培った実績をもとに、全国の四輪カスタマイズショップ向けにオリジナルパーツを提供している。自動車アフターパーツ市場は景気低迷によりかげりも見えるが、嗜好要素の強さから安定的なユーザーを確保している産業である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程純正マフラーの設計データは入手できず、発注者支給のモックアップ品をもとに採寸・製造しなければならないため、誤差縮小に計測を繰り返す必要があり、製造期間が長期化していた。
  • コスト・採算計測の繰り返しにより加工コストが増加していた。
  • 品質・精度レース用マフラーは取付位置の要求精度が通常誤差±10mmから±5mmと厳格である。

やったこと

非接触式三次元測定機を導入し、当社の極小R多点曲げ加工技術と融合させることで、溶接工程のない複雑形状の多点曲げ加工によるマフラーの設計提案を目指した。具体的には、まず測定機と誤差補正を加味して当社の加工機械を調整した。次に、測定機の計測値をもとにプレゼン用の3D設計シミュレーションを作成した。最後に、シミュレーション図案から試作品を製造し、仕様を決定した。

検査測定非接触式三次元測定機

新しい製品・サービス:溶接レス自動車用マフラー(レース用)

事業の効果

計測作業が熟練者の半日から4時間ほどに短縮され、計測ミスによる再計測も回避できたため、製造期間の短縮が可能になった。多点曲げ加工により溶接接合部の凸凹を極限まで減らしたシンプル構造のマフラー製造が可能となり、製品精度も向上した。レース用部品としての高いパフォーマンスを示すことで、消費者への訴求力と市場シェアの拡大を図る体制が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    2018年新工場移転や50年の実績は読めるが、ものづくり事業の経営戦略上の位置づけは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    浜松での50年の実績と四輪アフターパーツ市場の状況は書かれるが、競争優位の根拠となる市場データは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    製造期間の長期化と加工コスト増加を課題と明示し、三次元測定機導入で計測を半日から4時間に短縮したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    誤差を±1mm以内、組立後±5mm以内に改善した数値目標と結果が示されている。付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    熟練者による計測作業や技術の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    レース用部品の高精度ニーズと、顧客への訴求力を高める方針は書かれるが、顧客ターゲットの定量的根拠は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    医療分野への進出など今後の方向性は書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    溶接レス多点曲げ加工によるマフラー製造は、同分野で高精度化を図る取組として具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の街・浜松の実績は書かれるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述はわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    製造期間短縮と誤差改善の効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    非接触式三次元測定機と多点曲げ加工の融合は技術的な革新だが、デジタル技術によるサプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療分野など新分野への進出方針がわずかにうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    ものづくりの街・浜松での50年の実績を活かす取組として読み取れるが、地域経済の牽引効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

レース用部品としての高パフォーマンスを示して市場シェアの拡大を図るとともに、新たな分野として医療分野などの高精度製品の開発も進めていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。