ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

焼成技術の高度化によるセラミック製超耐熱薬膳土瓶の試作開発

有限会社藤総製陶所

この事例のポイント

  • 主要取引先から薬膳をテーマにした新商品の開発要請を受け、オール電化住宅の普及に合わせてセラミックス製土瓶の底部をIH(電磁誘導加熱)クッキングヒーターに対応させる必要があった。
  • 素焼き工程用のガス炉を導入し、熱効率がよく温度分布の均一性が高い焼成を可能にした。
  • 素焼き用ガス炉の導入により焼成時の熱効率が大きく改善し、800℃焼成でも天井部と戸前部の温度差を5℃以内に抑えることができた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社藤総製陶所
所在地三重県 四日市市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数14人
資本金300万円
設立1959年

事業の背景

昭和34年9月に創業した四日市萬古焼の窯元で、急須や軽量食器を中心に土鍋、ご飯釜などを製造している。自社で釉薬を調合し、志野釉・灰釉を施した製品づくりにも力を入れている。現在はオール電化住宅の普及というライフスタイルの変化があり、これに適合する製品が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術主要取引先から薬膳をテーマにした新商品の開発要請を受け、オール電化住宅の普及に合わせてセラミックス製土瓶の底部をIH(電磁誘導加熱)クッキングヒーターに対応させる必要があった。
  • 品質・精度素焼きの焼成時に収縮するセラミックス素材で形状の歪みが出やすく、寸法精度を高めて金属溶射を安定させる必要があった。
  • 生産能力焼成時の熱効率と温度分布の均一性を高め、800℃程度の素焼き工程を制御できる設備が必要だった。

やったこと

素焼き工程用のガス炉を導入し、熱効率がよく温度分布の均一性が高い焼成を可能にした。炉内の3箇所(天井部・戸前部・燃焼部)に温度検知箇所を設け、歪みが判りやすいテストピースの土鍋本体で焼成試験を行い、各部位の温度差と歪みの有無を目視で確認した。超耐熱セラミックス製薬膳土瓶の本体底部については石膏型の試作と改良を繰り返し、専門家から技術指導を受けながら金属溶射の厚みや位置、表面加工を検討した。その結果、溶射面の厚みは高台部位を4mmとし、表面をコーティングする場合は4.5mmとするのが適していることを確認した。

その他素焼き用ガス炉設備

新しい製品・サービス:セラミックス製超耐熱薬膳土瓶(IH対応)

事業の効果

素焼き用ガス炉の導入により焼成時の熱効率が大きく改善し、800℃焼成でも天井部と戸前部の温度差を5℃以内に抑えることができた。焼き上がった試験体には歪みの兆候がなく、どの部位でも品質の劣化を抑えられた。金属溶射技術を確立したことで、セラミックス素材とIH発熱体の複合化によるIH対応を実現した。底部溶射面の厚みの適正値が分かったことで、製品製造時の高台部位の設計を定めることができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    主要取引先からの薬膳テーマの新商品開発要請を受け、四日市萬古焼の窯元として従来の土鍋・食器事業を発展させる位置づけが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自社で釉薬を調合し志野釉・灰釉を施す独自性と、オール電化住宅普及という市場動向への対応が書かれているが、競争優位の定量的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    IH非対応という課題を認識し金属溶射技術の導入で対応する方針は読み取れるが、売上や付加価値の目標は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    専門家から技術指導を受けた点はうかがえるが、人材や事務体制についての記述はわずかである。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    薬膳の生薬抽出に適する点や、競合品との比較で試作品に優位性があると判断した点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    見積9/15、注文、検収3/1のスケジュールと、溶射厚み4mmや4.5mmの検証過程など、遂行方法と課題解決の流れが具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    IH対応の超耐熱セラミックス製土瓶は新規性があるが、普及度や高価格化の水準を示す数字は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    オール電化住宅の普及という社会動向に触れるのみで、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    焼成時の温度差を5℃以内にした成果はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    セラミックスと金属の複合化による金属溶射技術を確立しIH対応を実現しており、技術面の革新性はうかがえる。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    四日市萬古焼の窯元という地域の特色はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への言及はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。