ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

省スペース・高機能な土壌微生物を活用した汚水処理装置の開発

アルコ株式会社

成果土壌浸潤槽の設置面積 1倍→0.33倍

この事例のポイント

  • 既存の土壌浸潤槽は設置に広いスペースを要し、浄化処理能力の低い他社製品が採用されることも多かった。
  • 既存の土壌浸潤槽のテストプラントの3系列のうち1系列を撤去し、その場所に多層式土壌浸潤槽の試作機を設置した。
  • 土壌浸潤槽の設置面積 1倍→0.33倍。多層式構造により土壌浸潤槽の表面積を3倍にし、設置面積を3分の1に縮小した。

事業者のプロフィール

事業者名アルコ株式会社
所在地三重県 津市
業種業務用機械器具製造業
技術分野バイオ
従業員数28人
資本金3,000万円

事業の背景

株式会社アルコは土木建設資材全般を扱うほか、環境保全・省エネルギー・リサイクルをコンセプトに開発した土壌微生物膜プロセスの浄化槽『ソフィール』の提案、設計、販売、施工を全国で展開している。ソフィールは上下水道インフラの未整備地域、特に世界遺産や国立・国定公園などの環境保全が重要な地域で導入実績があり、全国170ヶ所、15年以上の稼働実証を有する。一方、土壌浸潤槽は広いスペースを要するため、省スペース化と高機能化が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の土壌浸潤槽は設置に広いスペースを要し、浄化処理能力の低い他社製品が採用されることも多かった。
  • 生産能力1㎡当たりの汚水浄化能力を向上させ、土壌浸潤槽の省スペース化と高機能化を両立させる必要があった。
  • 品質・精度処理性能の安定性と長期的な耐久性を確保する必要があった。
  • コスト・採算装置のコンパクト化とコストダウンを実現する必要があった。

やったこと

既存の土壌浸潤槽のテストプラントの3系列のうち1系列を撤去し、その場所に多層式土壌浸潤槽の試作機を設置した。土壌浸潤槽の特殊型枠等の製造・加工技術を持つ業者を選定して製作を依頼した。機能強化のためファインバブル発生機などを新たに設置した。さらに三重大学分子素材工学専攻の金子教授に委託し、汚濁物質の除去能力がより高い人造土壌の試作・開発を行った。国内の土壌4種類と沖縄の土壌3種類に脱色素材や土壌改良材を添加した人造土壌10種を試作・実証し、試作した土壌カラムに汚水を添加して三重大学で170日間実証を行った。

その他多層式土壌浸潤槽(試作機)
その他ファインバブル発生機

新しい製品・サービス:土壌浸潤槽の表面積を最大化する多層式土壌浸潤槽(省スペース・高機能な汚水処理装置)

事業の効果

  • 土壌浸潤槽の設置面積 1倍→0.33倍
  • 製造コスト 1倍→0.67倍
  • 処理能力 1倍→3倍
  • 色度は20以下の目標に対し7.9となった。
  • BODは5mg/L以下の目標に対し1.4mg/Lとなった。
  • SSは5mg/L以下の目標に対し1.8mg/Lとなった。

多層式構造により土壌浸潤槽の表面積を3倍にし、設置面積を3分の1に縮小した。ファインバブルの活用で土壌中の微生物活動が活性化し、3倍の水量を処理できるようになった。製造コストは従来型に比べて33%低減し、処理水質も色度・BOD・SSのいずれも目標値を下回った。人造土壌の試作・実証では色度除去率と硝化率が概ね90%以上を確保し、沖縄版の開発や人造土壌の技術輸出にも展開している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の平面型土壌浸潤槽を多層化する開発で、浄化槽『ソフィール』の提案・販売を続ける事業との連続性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    既存技術の省スペース化の必要性や他社製品の高浄化力の低さに触れるが、市場規模や競争優位の数字は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    省スペース化・高機能化の課題を3つ挙げ、設置面積1/3、製造コスト33%低減など数字で成果を示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製造コスト30%以上低減の目標に対し33%達成、色度7.9、BOD1.4mg/L、SS1.8mg/Lなど数値目標と実績が明示されている。

  • 事業を進める体制2

    三重大学への委託や試作の製作先選定は書かれるが、社内の人材や事務処理体制についての記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    上下水道未整備地域や防災トイレ、農家レストランなど具体的な顧客ターゲットとニーズの根拠が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    3つの技術課題ごとに解決方法と試験期間(170日間実証など)を示し、今後の展開も段階的に述べている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    土壌微生物を使う浄化槽は既存分野だが、多層化とファインバブル活用で高機能化を図る点はうかがえる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    世界遺産や国立公園など環境保全が重要な地域の水処理ニーズや、防災トイレとしての公的な価値が具体的に述べられている。

  • 費用対効果4

    設置面積3分の1、コスト33%低減、処理能力3倍と、費用に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    ファインバブル活用や沖縄ソフィールの連携は述べられるが、デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及は乏しい。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    環境保全・水資源循環利用の分野に触れるが、日本経済の構造転換に資するとまでは書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    沖縄の会社2社との新連携事業や糸満市での実証実験など、地域の特性を活かした展開が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

省スペース化とローコスト化により、世界遺産・ジオパーク・国立公園・離島などの狭小スペースでの設置の深耕や、農家レストラン・道の駅・広域防災公園などの新たなマーケットが期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。