ものづくり補助金平成25年度医療、福祉三重県

補綴装置(歯科技工物)の製造工程短縮、切削加工センター事業

KARINTO株式会社(A.C.STUDIO)

成果製造工程時間 5時間→2時間

この事例のポイント

  • 歯科技工では補綴装置の製作に時間がかかり、生産工程を大幅に短縮する必要があった。
  • CAD/CAMシステムの中から生産性、品質、将来性のあるものを選定して設置した。
  • 製造工程時間 5時間→2時間。製造工程は従来の5時間から約2時間でCAD/CAM冠を製作できることが確認できた。

事業者のプロフィール

事業者名KARINTO株式会社(A.C.STUDIO)
所在地三重県 松阪市
業種医療業
従業員数5人
資本金500万円
設立2006年

事業の背景

歯科技工業界は1人事業所が約8割以上を占め、保険内治療の金属冠を中心に過当競争が続いている。保険外の補綴装置は伸びつつあるが、事業所でCAD/CAMを導入している技工所はほとんどなく、必要な場合は大手の加工センターに外注しているのが実態である。同社は保険外の補綴装置受注が売上の大半を占め、比較的高い収益を確保している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力歯科技工では補綴装置の製作に時間がかかり、生産工程を大幅に短縮する必要があった。
  • 品質・精度製作した補綴装置の品質を安定させることが課題であった。
  • コスト・採算CAD/CAMによる加工を大手の加工センターに外注しており、外注費が負担になっていた。

やったこと

CAD/CAMシステムの中から生産性、品質、将来性のあるものを選定して設置した。切削加工では、複数の形の違う模型で反復練習を行い、安定した適合精度を得るために切削加工プログラムの微調整を行った。ジルコニアクラウン・フレームについては、模型製作、ワックスアップまでを行い、自社でスキャナー読み取り、切削加工、焼結までを一貫して行う工程を習得した。外注CADCAMセンターで委託していた技工物と同じものを自社で製作し、適合精度を検証した。

ソフトCAD/CAMシステム
加工機切削加工機
検査測定スキャナー

新しい製品・サービス:ジルコニアクラウン・フレーム

事業の効果

  • 製造工程時間 5時間→2時間

製造工程は従来の5時間から約2時間でCAD/CAM冠を製作できることが確認できた。ジルコニアクラウン・フレームも外注していた技工物と同等の適合精度で製作できるようになった。これにより地域の切削加工センターとしての体制が整い、近隣の技工所や歯科医院からの受注機会の増加と外注費の削減が期待できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業19年の審美修復ワーク得意の技工所で、CAD/CAMを早期導入してきた経緯が書かれ、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    保険適用の金属冠は過当競争、保険外が売上の大半と書かれ、外部環境と自社の強みの関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    製造工程が従来の5時間から約2時間に短縮と数字で示され、課題と解決策の関係が明確に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    工程短縮の数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、目標の具体性が薄い。

  • 事業を進める体制3

    社員5名や反復練習・適合精度検証の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    患者への高品質・短納期提供や地域の切削加工センター化による受注機会の増加など、顧客と選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    段階的な検証を経て外注CAD/CAMと同等の適合精度を確認したと、課題解決の手順が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ジルコニアクラウンやハイブリッドセラミックのCAD/CAM冠は、金属冠と比べ倍以上の単価で高付加価値化を図ると書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    地域の切削加工センター化や外注費削減が書かれるが、波及効果や雇用創出の数字は示されず、国が補助する理由は薄い。

  • 費用対効果3

    工程が5時間から2時間に短縮されるなど効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    口腔内スキャンデータのネットワーク送受信で、歯科医院と技工所の連携を実現すると書かれ、デジタル活用による地域連携が読み取れる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    歯科技工のIT化が先進医療への対応として語られるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及4

    三重県松阪市の地域で、地域の切削加工センターとして近隣技工所からの受注を増やす計画が書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

歯科技工業界は若年層の就職希望者が少なく、高齢者の占める割合が年々増加している。CAD/CAM冠の保険適用拡大により市場は拡大すると見込まれ、将来は直接患者の口腔内をスキャニングして補綴装置を設計・製作する工程へ変化していくと思われる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。