デジタル技術を用いたプロセス改善によるチタン入れ歯の品質向上

奈良県の医療・福祉関連の会社が、ものづくり補助金で石膏模型の計測から切削加工までをデジタル化し、チタン入れ歯の品質向上を図った採択事例です。

有限会社ベルグ

この事例のポイント

  • チタン加工は石膏模型から鋳造方式で入れ歯を作るため、チタンは加熱すると物性(強度)が低下し、長時間の加工・冷却時間(数時間程度)が必要で生産効率が良いとは言えなかった。
  • 石膏模型を手作業で計測しワックス原型を作成して鋳造する従来工程を見直し、切削による生産加工へ移行しました。
  • 石膏模型を高精度スキャナで読み込むことで加工データが自動的に作成でき、NC加工機で直ぐに切削加工を開始できるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ベルグ
所在地奈良県 大和郡山市
業種医療業
技術分野精密加工

事業の背景

当社は歯科治療で用いられる入れ歯やクラウン等の義歯・補綴物を製作する歯科技工所です。チタンやジルコニア等の素材、インプラント加工等の特殊加工にも広く対応しています。

近年はコバルトクロムが2000年代から約2.5倍にまで高騰し、代替素材としてチタンが注目されています。口腔内をスキャナで読み込み3Dデータで補綴物生産を行うケースも増えており、将来性を見据えて設備投資に注力しています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力チタン加工は石膏模型から鋳造方式で入れ歯を作るため、チタンは加熱すると物性(強度)が低下し、長時間の加工・冷却時間(数時間程度)が必要で生産効率が良いとは言えなかった。
  • 新製品・新技術チタン製クラウンが保険適用となり今後チタン加工の需要はさらに増加が見込まれるため、競合他社との差別化を図る高品質で効率の良いチタン製品の生産体制を確立することが喫緊の課題となっていた。
  • コスト・採算コバルトクロムなどの金属素材は価格高騰が著しく、代替素材として生体親和性が高いチタンが注目されていた。

やったこと

石膏模型を手作業で計測しワックス原型を作成して鋳造する従来工程を見直し、切削による生産加工へ移行しました。高精度スキャナ(アイデンティカT710)で石膏模型を読み込み、自動的に加工データを作成しました。

その加工データをNC加工機(ARUM 5X-500)で読み込むことで、物性低下が起きない切削加工を直ぐに開始できる体制を構築しました。併せてミリングマシン(ローランドDWX-51D)も導入しました。

新しい製品・サービス:チタン製の入れ歯・クラウンなど高品質なチタン製品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

石膏模型を高精度スキャナで読み込むことで加工データが自動的に作成でき、NC加工機で直ぐに切削加工を開始できるようになりました。物性低下が起きない切削加工により品質が向上しました。

リードタイムが短縮され、生産効率が飛躍的に向上しました。今後も顧客ニーズに対応できる環境整備を継続していきます。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性従来の鋳造からデジタル技工へ設備投資を続けてきた将来性ある方針が示され、チタン加工の刷新は過去からの一貫した取組と読める。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性金属素材の高騰と競合他社との差別化を課題とし、競合に先駆けたデジタル化で高精度・短納期の強みを作る方針が明確。
  • 4
    課題の認識と解決チタン鋳造の冷却に約十数時間かかる課題を示し、切削加工への移行でリードタイムを短縮する具体的な解決策を提示している。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産効率が飛躍的に向上したとあるが、付加価値額や賃上げの目標値、その数値の根拠は示されていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    従来の鋳造からデジタル技工へ設備投資を続けてきた将来性ある方針が示され、チタン加工の刷新は過去からの一貫した取組と読める。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    金属素材の高騰と競合他社との差別化を課題とし、競合に先駆けたデジタル化で高精度・短納期の強みを作る方針が明確。

  • 課題の認識と解決4

    チタン鋳造の冷却に約十数時間かかる課題を示し、切削加工への移行でリードタイムを短縮する具体的な解決策を提示している。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産効率が飛躍的に向上したとあるが、付加価値額や賃上げの目標値、その数値の根拠は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    歯科技工士の技術を磨きつつデジタル機器を導入し、高品質で安定した生産体制を構築する方針が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    保険適用拡大でチタン加工需要が増えるという市場の裏付けがあり、顧客ニーズに対応する高品質・短納期が選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後も顧客ニーズに対応できる環境整備を継続すると述べるのみで、中長期の遂行方法やスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    デジタル技工に特化し、チタンやジルコニア、インプラントなど高付加価値の特殊加工に対応する点が示されている。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用3

    保険適用範囲の改定による金属加工需要の増加と、金属素材高騰を踏まえた業界全体の課題解決の必要性が示されている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dデータのやり取りやスキャナ、NC加工機を用いた切削加工の導入で、歯科と技工をデジタルでつなぐ生産プロセスを構築している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    デジタル技工への移行が歯科業界の技術発展の流れに沿うとされ、業界の構造転換に資する取組と読める。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

保険適用範囲の改定により高度技術が要求される金属素材の加工需要は更に増加していくと思われるため、今後も顧客ニーズに対応可能な環境整備を継続していきます。

  • 目標:従来は長時間の加工・冷却時間が必要だった

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。