ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

軽さ、絞りやすさ、高吸水性等の高機能を有するタオルの試作開発

おぼろタオル株式会社

成果生産性は200%向上

この事例のポイント

  • 細番手で未晒の特殊糸は、現有のレピア織機や岩間式エアージェット織機では糸切れによる不良発生のリスクが高い。
  • 吸水性と生産性の高い原糸として、ワックス量の少ない原糸8種類の候補から、タオル品質(脱毛率、パイル保持性、肌触り)を満たす4種類を選定した。
  • 生産性は200%向上。新しいエアージェット織機の導入により生産性が200%向上し、品質向上と省エネにも大きな効果が出た。

事業者のプロフィール

事業者名おぼろタオル株式会社
所在地三重県 津市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数62人
資本金2,500万円

事業の背景

同社は1908年に無地タオルの緯糸だけが染まる染色技術「朧染タオル製造法」を開発し、1927年には袋織ガーゼタオルの実用新案を得て、細い糸によるガーゼタオルの量産を国内で初めて始めた。最近は吸収性に優れた新製品「エアーかおる」がヒット商品となっている。製織から晒・染色加工、仕上げ、発送まで一貫生産体制をとるが、織布生産の外注比率は50〜60%と高い。当社製品は細番手で未晒の原糸を使うことから、軽く絞りやすく吸水性が良い点が同業他社に対する優位性となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度細番手で未晒の特殊糸は、現有のレピア織機や岩間式エアージェット織機では糸切れによる不良発生のリスクが高い。
  • 生産能力新たな織組織の製品を広げるには綜絖通しが生産性の阻害要因となり、限界が生じていた。
  • 生産能力織布生産の外注比率が50〜60%と高く、外注企業の高齢化や自社設備の老朽化もあるため、織機1台あたりの生産性向上と内製化比率の向上が喫緊の課題だった。

やったこと

吸水性と生産性の高い原糸として、ワックス量の少ない原糸8種類の候補から、タオル品質(脱毛率、パイル保持性、肌触り)を満たす4種類を選定した。糸切れの少ない高生産性織機として、最新のエアージェット織機を導入した。この織機は現行機種の1.7〜2.5倍の生産性を持ち、低ノズル圧装置や糸切れ処理時の品質異常を防ぐ経テンション調整機能を備える。選定した細番手原糸を使い、回転数、各テンション、ノズルエアー圧などの最適な織り条件を探索した。その結果、40/1パポリスバスタオル、40/1パポリスフェイスタオル、20/1ラミーコットフェイスタオル、40/1SFYフェイスタオル、30/1MYSTIフェイスタオルの5種類の高機能タオルを試作した。

加工機エアージェット織機
その他スクリュコンプレッサー

新しい製品・サービス:軽さ、絞りやすさ、高吸水性を備えた高機能タオル(試作開発品5種類)

事業の効果

  • 生産性は200%向上
  • 従来機に比べエアー吐出量は4%アップ
  • インバーターによる出力制御で使用電力は53%にダウン

新しいエアージェット織機の導入により生産性が200%向上し、品質向上と省エネにも大きな効果が出た。エアー圧の変動がほとんどなくなり、緯糸入れが安定した。試作した5種類のタオルは吸水性(沈降法)が1秒以内となり、今治認定基準の5秒を大きく上回った。脱毛率は0.02〜0.19%で今治認定基準の0.2%以下を満たし、外観と風合も社内基準をすべてクリアした。内製化比率が高まり、最終製品の生産数量の増加も見込める。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    1908年の朧染技術や細番手原糸によるタオル商品化に長年取り組んできた経緯があり、今回の設備導入もその延長として位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    細番手未晒の原糸を使う同業他社に対する優位性や、高吸水性への消費者ニーズが示されており、外部環境と強みを結びつけて説明している。

  • 課題の認識と解決5

    織布の外注比率が50〜60%と高く、外注先の高齢化や設備老朽化が課題と具体的に示され、生産性200%向上や内製化の効果も数値で示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    吸水性や脱毛率などの品質目標は数値で示されているが、付加価値額や賃上げに関する目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制2

    熟練者の有効活用に触れるのみで、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記載はうかがえない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    寝装品、ナイティー、ベビーウェア向けに高吸水性機能を持たせる提案が具体的に示され、顧客ターゲットと製品価値が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は多品種かつ難易度の高い原糸の生産技術確立を急ぐという方向性は示されるが、スケジュールや解決方法の記載は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    試作品の吸水性は1秒以内で今治認定基準の5秒を大きく上回り、パイル品種は基準の約2倍と高水準の機能化が図られている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    内製化比率の向上による最終製品の生産数量増加が見込まれるとあるが、地域経済や雇用創出への波及効果は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産性は200%向上、使用電力は53%減、エアー吐出量は4%増と効果は数値で示されるが、補助金額や投資額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    最新のエアージェット織機による生産技術の向上は書かれているが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    高吸水性機能素材による新たな販路開拓の期待が述べられるのみで、成長分野への進出や構造転換との関係は明確でない。

  • 地域経済への波及2

    今治認定基準への言及はあるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済の成長にはつながる記述が見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は多品種かつ難易度の高い原糸の使用に取り組み、その生産技術の確立を急ぐ。寝装品、ナイティー、ベビーウェア向けなどに高吸水性機能を組み合わせた素材提案を進め、新たな販路開拓を図る。取引先や消費者ニーズに素早く対応できるようになり、他社との競争力強化を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。