ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

肉盛溶接における悪影響の少ない金型の開発、並びに金型自身の品質向上

サンユー技研工業株式会社

この事例のポイント

  • 金型製作時の肉盛溶接でアルゴン溶接(TIG)を行うと、熱による母材の歪みやヒケ(割れ)が発生していた。
  • 新技術であるパルスレーザー光溶接を導入し、アルゴン溶接とレーザー溶接を使い分ける工法を開発した。
  • レーザー溶接の導入により、溶接修正の再溶接や再加工を減らし、工数を40%削減できる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名サンユー技研工業株式会社
所在地三重県 津市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数49人
資本金1,000万円
設立1970年

事業の背景

昭和45年に創業した会社で、大手自動車メーカー向けのエンジン部品およびアルミダイカスト製品の金型を設計・製作している。金型製作能力は125tから3,000tクラスまで対応できる。将来は電気自動車の普及によりエンジン部品が減り、ダイカスト金型の需要が激減する恐れがあるという業界の動きがある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度金型製作時の肉盛溶接でアルゴン溶接(TIG)を行うと、熱による母材の歪みやヒケ(割れ)が発生していた。
  • コスト・採算溶接不具合の修正作業に手間とコストがかかり、修正1回あたり社内コストが平均22万円、月平均20件で月間440万円に達していた。
  • 人手・技能溶接の仕上がりが作業者の技術レベルに左右されていた。

やったこと

新技術であるパルスレーザー光溶接を導入し、アルゴン溶接とレーザー溶接を使い分ける工法を開発した。レーザー溶接機は必要な性能から選定して発注した。アルゴン溶接とレーザー溶接の特徴を社内で検証し、広範囲はアルゴン、巣やヒケの補修はレーザーで行う方針を決めた。レーザー溶接は溶接箇所を10mm×10mm以下とし、材質は母材と共材で行い(形状部はSKD61、アルゴンの場合はMAS1)、ピン角や形状部など熱影響が懸念される部位はレーザーで行うルールを作成した。予熱・後熱の管理、開先量、溶接棒の材質、溶接速度、保管方法などを確認項目として社内ルールと手順書にまとめ、作業者に周知した。溶接者の技量テストを実施し、作業を担当する5名全員が及第点をクリアした。

加工機レーザー溶接機

事業の効果

レーザー溶接の導入により、溶接修正の再溶接や再加工を減らし、工数を40%削減できる見込みである。その結果、月間で176万円のコスト削減が可能と見込んでいる。熱による母材への影響が少ないため、金型のひび割れや劣化を防ぎ長寿命化を提案できるようになった。技術レベルがばらつきにくいレーザー溶接によって品質も安定し、短納期化にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の溶接修正による手間・コストへの課題認識と、金型製作の延長にあるレーザー溶接導入の流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    エンジン部品向けダイカスト金型の需要減少が懸念され、樹脂製品分野への進出を検討すると書かれており、外部環境への認識はうかがえる。自社の強みとの関係は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    月間コスト440万円、平均22万円/回、月20件という数字で課題を示し、工数40%削減・176万円/月の削減を目標としており、課題と解決策が具体的に結びついている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    再溶接等の工数を40%削減し176万円/月のコスト削減を目指すと数値目標が明記されている。ただし実現可能性の根拠は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    作業を担当する5名全員が溶接技量テストで及第点をクリアし、社内ルールと手順書を作成して周知したとあり、体制面の取り組みはうかがえるが、事務処理体制などは読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    金型母材への熱影響が少なく、ひび割れや劣化を防ぎ長寿命化を提案できるという価値は書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    溶接箇所は10mm×10mm以下のルールや確認項目、レーザー技量は及第レベルで今後レベルアップする旨が書かれ、中長期の課題認識はあるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    金型肉盛溶接にレーザー溶接を導入する点は新技術とされるが、普及度や高付加価値化の水準を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    技術の確立やダイカスト金型以外への参入検討など地域や業界への波及がわずかにうかがえるが、国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果4

    投資に対し月176万円のコスト削減、工数40%削減という費用対効果の数値が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザー溶接という先端技術の活用はうかがえるが、サプライチェーンや地域のイノベーションへの貢献は明記されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    電気自動車普及によるエンジン部品減少を受け、樹脂製品分野などへの進出を検討しており、構造転換への意識はうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    津市の地域での雇用創出や地域経済の成長への言及は見当たらず、わずかに地域の事業者であることがうかがえるだけである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は従前のエンジン部品向けダイカスト金型以外の新規業界への参入を検討している。溶接後の表面をきれいに仕上げられることから、車のダッシュボードなど樹脂製品分野への進出も検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。