ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

高精度な自動色彩選別機導入によるアオサの異物除去精度の向上と受注拡大

株式会社福井

成果空間分解能力50μmまで識別できる機械装置により90.3%の除去率を達成した

この事例のポイント

  • 目視と既存の機械による異物選別では、3mm未満の異物を見逃すことがあり、残留異物が課題になっていた。
  • 平成27年2月に高精度な自動色彩選別機を発注し、4月に納品・検収を行った。
  • 空間分解能力50μmまで識別できる機械装置により90.3%の除去率を達成した。自動色彩選別機の導入により、残留異物の除去精度が向上し、食の安心・安全を確保できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社福井
所在地三重県 桑名市
業種食料品製造業
技術分野測定計測
従業員数60人
資本金5,000万円

事業の背景

株式会社福井は三重県桑名市で海苔、青のり・アオサ、昆布、えびなどの海産物を加工・販売し、全国の外食・食品加工企業に供給している。近年はアオサが不漁で、顧客から求められる生産量を確保することが難しくなっている。また食品への異物混入に対する消費者の意識が極めて厳しくなり、顧客の異物除去に対する要求は年々高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度目視と既存の機械による異物選別では、3mm未満の異物を見逃すことがあり、残留異物が課題になっていた。
  • 品質・精度食品への異物混入に対する消費者の意識が厳しくなり、顧客の異物除去への要求レベルは年々高まっている。
  • 人手・技能目視選別は作業者の熟練度によって選別精度にばらつきがあった。
  • コスト・採算目視による異物の識別に人件費がかかり、1kgあたりのコストが300.6円と高くなっていた。
  • 生産能力アオサの不漁により、顧客の求める生産量を確保するため異物の多い原料を使うことが増え、異物除去の負担が増加していた。
  • 販路・情報発信大手メーカーとの取引には品質管理体制の充実が必要で、それが整わなければ積極的に取り組めなかった。

やったこと

平成27年2月に高精度な自動色彩選別機を発注し、4月に納品・検収を行った。検収後、製品仕様内容や外観の確認、試験運転を行った。アオサの異物選別ラインでは、既存の機械で1次選別をした後、目視検査工程を本設備に置き換えて生産性のテストを行った。この機械は空間分解能力50μmまで識別できる。異物除去精度の確認は、テスト用異物31個を1cm²のマス目に置いて写真を撮り、拡大プリントした紙に除去できた異物を同じマス目に並べて測定する方法で行い、同条件で3回実施した。コストダウン検証は実際に30kgの原材料を流して行った。

検査測定自動色彩選別機

事業の効果

  • 空間分解能力50μmまで識別できる機械装置により90.3%の除去率を達成した
  • 処理コスト(人件費+減価償却費) 300.6円/kg→113.8円/kg
  • 62.1%のコストダウン
  • 処理量(1日当たり) 120kg/日→240kg/日
  • 作業人員(1日当たり処理量あたり) 3名→1名

自動色彩選別機の導入により、残留異物の除去精度が向上し、食の安心・安全を確保できるようになった。処理コストは1kgあたり300.6円から113.8円へと大きく下がり、処理量は1日120kgから240kgに倍増した。前工程の社員が本機械の対応を兼任できるため、目視にかかっていた人件費が減り、人手不足の緩和と作業員によるばらつきの解消も実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    海苔・青のり等の加工販売を主力とする事業で、アオサ異物選別の機械化が既存事業の延長線上にあることはうかがえるが、経営戦略上の位置付けは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    アオサ不漁や顧客の異物除去要求の高まりに触れ、外部環境と課題は読み取れるが、競争優位の具体的な根拠は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    目視で3mm未満を見逃すことがある課題に対し、除去率90.3%、処理量120kg/日から240kg/日、コスト300.6円から113.8円/kgと具体的な改善効果が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    除去率90.3%、コスト62.1%削減、処理量2倍と数値目標と実績が示され、目標達成も明記されている。

  • 事業を進める体制2

    担当社員が本機械対応を兼任できる点と人手不足への言及はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    食品の異物混入への顧客要求の高まりを具体的に示し、大手メーカーの引き合いに応えるための選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    発注から納品、検収、試験運転までの時系列はあるが、中長期の課題検証や今後の遂行方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    高精度色彩選別による異物除去は一般的な技術と思われ、高付加価値化の度合いを示す記述は限定的である。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    食の安心安全の確保や大手メーカーとの取引拡大に触れるが、経済波及や社会的インフラへの言及は読み取れない。

  • 費用対効果5

    投資に対しコストが62.1%削減、処理量が120kg/日から240kg/日に増加し、費用対効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    画像認識による色彩選別という先端技術の活用はうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献の記述は具体性が薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    三重県桑名市の海産物加工企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や経済成長への言及は限定的である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

顧客から異物混入を一切なくすことを強く求められており、異物混入は大量の商品回収につながる大きなリスクである。残留異物の除去などの品質管理が徹底されたことで、既に引き合いのある大手メーカーなど新たな販路開拓にも積極的に取り組める。夜間の機械操業も検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。