ものづくり補助金平成25年度サービス業(他に分類されないもの)滋賀県

高機能リサイクルプラスチックペレットの試作開発事業

マスダ商事株式会社 株式会社ガラステクノシナジー

この事例のポイント

  • 機械的物性が劣化した樹脂リサイクルでは、弾性を補うために加えた無機素材を分離することが難しい。ガラス繊維を含んだまま成形すると機械の摩耗が激しくなるため、リサイクルされず廃棄されている。
  • 滋賀県との共同研究で、AS樹脂や容器包装リサイクル材(容リ材)を母材にラボレベルのコンパウンド実験を行い、複合素材を開発した。
  • PVBと汎用樹脂の組み合わせにより、弾性を維持しながら耐衝撃性を改質する物性を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名マスダ商事株式会社 株式会社ガラステクノシナジー
所在地滋賀県 野洲市
業種廃棄物処理業
技術分野複合・新機能材料
従業員数8人
資本金500万円
設立2011年

事業の背景

自動車・建築用合わせガラスの廃材や端材からPVBが大量に廃棄されている現状があった。株式会社ガラステクノシナジーが国際特許を持つ、合わせガラスからPVBを剥離する技術は市場で実績がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術機械的物性が劣化した樹脂リサイクルでは、弾性を補うために加えた無機素材を分離することが難しい。ガラス繊維を含んだまま成形すると機械の摩耗が激しくなるため、リサイクルされず廃棄されている。
  • その他自動車・建築用の合わせガラスから出るPVB(中間膜)が大量に廃棄されている。

やったこと

滋賀県との共同研究で、AS樹脂や容器包装リサイクル材(容リ材)を母材にラボレベルのコンパウンド実験を行い、複合素材を開発した。AS樹脂ではPVBとNBR(ニトリルゴム)をリアクティブプロセッシングでコンパウンドし、高弾性を維持したまま耐衝撃性を改質し、塑性域での高応力維持も確認した。容リ材ではPVBとブロック共重合SBRのコンパウンドで耐衝撃性を大きく改質した。機械メーカの設備で実機シミュレーションによる量産試作を行い、添加剤の量産試作とコンパウンド試作を購入機械設備で評価した。試作した複合樹脂材は各種条件下で強度評価を実施した。得られた技術は特許化し、国際出願を行い日本国移行で特許査定・登録された。

加工機混合(混練り)設備
加工機押し出し設備
加工機ペレット化設備

新しい製品・サービス:PVBを用いて改質したAS樹脂系およびリサイクル樹脂系の複合改質樹脂材(添加剤を含む)

事業の効果

PVBと汎用樹脂の組み合わせにより、弾性を維持しながら耐衝撃性を改質する物性を実現した。世界で初めて、廃棄されていたPVBを機械的物性の改質に使い再材料化できるようにした。無機材料を使わないため再度リサイクルできる高循環材料としても期待される。一方、容リ材の量産では計画生産能力が目標に届かず、温度管理などの課題が残っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    PVB廃材の再材料化という取組の方向性は示されているが、過去の事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国際特許の登録や欧州・米国への移行など技術面の強みは読み取れるが、市場動向や自社の経営資源との関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    量産試作で計画生産能力が目標に届かなかった課題と温度管理の原因が書かれており、課題認識はあるが、事業計画としての高付加価値化の道筋は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかに機械的物性の改質効果などの方向性がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    ガラステクノシナジーとの分担や滋賀県との共同研究は読み取れるが、従業員数8人と3人の体制を補助事業でどう遂行するかは書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    航空機積載用パレット、医療廃棄物保管庫、3Dプリンター用インクなど顧客ターゲットと用途が具体的に挙げられている。

  • 事業化までの道筋3

    容リ材への今後の取り組みや研究開発の進め方は示されているが、スケジュールや課題解決の方法は明確に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    PVBを使った改質で世界初の機械的物性改質効果を実現したと述べられ、既存の普及度が低い高付加価値分野であることがうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    産業廃棄されていたPVBの再材料化やパレットの軽量化への貢献が示され、廃棄削減という公的意義はあるが、経済波及や雇用への言及は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加に関する数値はなく、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献3

    無機材料を使わず再度リサイクル可能な高循環材料とする点は示されるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    航空機用パレットや3Dプリンター用インクへの展開がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県との共同研究は読み取れるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

PVBを使った多種の物性改質効果を目指して研究開発を進める。AS樹脂改質材は軽量化が求められる航空機積載荷物用パレット、耐衝撃性や低温特性が求められる医療廃棄物保管・運搬用ボックス、染色性・発色性が求められる3Dプリンター用インクへの展開を見込む。容リ材については今回の開発結果をもとに改めて取り組みたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。