ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

金型冷却システムによる高品位ダイカスト鋳造技術の開発

田中精工株式会社

成果ダイカスト製品の取数 2個取り→4個取り

この事例のポイント

  • 金型の冷却は勘と経験に頼って冷却水を単純に流し込んでおり、製品の形状・材質・取数に応じた細かな対応ができず、高いレベルでの品質管理が困難である。
  • 冷却水の流量、金型温度、給水加圧データを常時監視・可視化し、電磁弁6個を備えた水量調整バルブ装置により細かな冷却水調整を可能とする金型温度制御装置を開発した。
  • ダイカスト製品の取数 2個取り→4個取り。高い精度が要求される車載部品について、従来の2個取りから4個取りへの変更に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名田中精工株式会社
所在地京都府 宇治市
業種電気機械器具製造業
技術分野機械制御,情報処理,精密加工,立体造形
従業員数99人
資本金4,000万円
設立1969年

事業の背景

当社は設計から金型製作、鋳造、機械加工、外装までを一貫して行い、高い技術力により精密ダイカスト製品を短納期で提供してきた。しかし近年は同様の取組みを行う企業が増え、これまでの優位性が不動のものではなくなっている。今後の需要拡大が期待される車載ダイカスト部品では、さらに高い精度と一段の生産コスト削減が求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度金型の冷却は勘と経験に頼って冷却水を単純に流し込んでおり、製品の形状・材質・取数に応じた細かな対応ができず、高いレベルでの品質管理が困難である。
  • 生産能力冷却水の流量や金型温度など鋳造データの把握が不十分なため、収縮率や形状を正確にシミュレーションできず、上流工程の設計・金型製作が必ずしも最適ではない。
  • コスト・採算歩留まり改善など一段の生産コスト削減が求められている。
  • 品質・精度車載ダイカスト部品など今後需要が拡大する分野では、さらに高い精度が要求される。

やったこと

冷却水の流量、金型温度、給水加圧データを常時監視・可視化し、電磁弁6個を備えた水量調整バルブ装置により細かな冷却水調整を可能とする金型温度制御装置を開発した。冷却水の情報を取得するセンサー6個を取り付けた冷却水計測装置を設け、ダイカストマシンの鋳造ショット情報などを管理する金型冷却システムモニタを構成した。無線LAN環境を構築し、制御装置から出力される鋳造データを保存・モニタリングするダイカストマシンデータ連携システムを開発した。金型品名を管理する情報登録プログラムや鋳造作業実績を管理するプログラムなども開発した。

その他金型温度制御装置
その他水量調整バルブ装置(電磁弁6個)
検査測定冷却水計測装置(センサー6個)
ソフトダイカストマシンデータ連携システム

新しい製品・サービス:金型冷却システムによる高品位ダイカスト鋳造技術

事業の効果

  • ダイカスト製品の取数 2個取り→4個取り
  • 4個取りでの不良率が半減し、品質の安定も見られる

高い精度が要求される車載部品について、従来の2個取りから4個取りへの変更に成功した。4個取りでは不良品が多く発生していたが、不良率が半減し品質の安定も見られる。冷却制御によって鋳型内の高温状態が維持され、制御効果が確認できた。CO2削減やコストダウンにもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に他社に先駆けてCAD/CAMや生産管理システムを導入した経験があり、今回の制御技術もその延長と読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    精密ダイカストで高精度・短納期を強みとし、同様の取組企業の増加や車載部品の高精度要求を外部環境として認識している点が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    勘と経験に頼る冷却水の投入という課題を認識し、冷却水量を制御して不良率を半減させるなど、解決策が具体的に示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    4個取りへの変更や不良率の半減は示されているが、付加価値額や賃上げにかかる目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    プロジェクトチームを編成して取り組んだ旨はあるが、人材や事務処理能力の体制については詳しく書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    車載ダイカスト部品など高精度ニーズの裏付けがあり、お客様評価やECO・VC活動銀賞など選ばれる理由が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    現在は1台のみの運用で今後5台に拡大予定、流動解析への展開など中長期の課題と方向性は書かれているが、スケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    同様の取組企業が増えたとあり、高品位化を図る位置付けは読めるが、市場の普及度や価格水準の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    CO₂削減や省エネ効果に触れる程度で、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は読み取りにくい。

  • 費用対効果3

    不良率の半減や4個取り化、エコ効果によるコストダウンが示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    ダイカストマシンデータ連携システムという情報連携の取組は示されるが、サプライチェーン全体への貢献までは書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    車載部品など成長分野への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在は1台のみの運用だが、システムを取付け可能なダイカストマシンは他に5台あり、今後適用装置を拡大する予定である。流動解析を進めて金型形状改良などの課題解決に取り組み、さらに高熱かつ均熱化が可能な金型冷却システムを目指して改良を重ね、コスト競争力強化を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。