ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

レーザガルバノスキャナーによる高速・高品質な気密溶接品の試作開発

髙橋金属株式会社

この事例のポイント

  • 溶接で部品間の隙間や段差精度の余裕を確保し、所定の仕上がりと強度を得る必要があった。
  • ファイバーレーザー溶接の特徴を生かすため、レーザービームをオシレーション(揺動)させて溶接する方式に取り組んだ。
  • ファイバーレーザー溶接の採用により、すみ溶接で溶接フランジとすみ肉が不要となり、溶接後の構造体部品の重量を15%軽量化できた。

事業者のプロフィール

事業者名髙橋金属株式会社
所在地滋賀県 長浜市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数230人
資本金9,832万円
設立1958年

事業の背景

東日本大震災以降、ディーゼルエンジン発電機の非常用電源としての需要が高まっている。弊社はMAG溶接を駆使した高精度な溶接加工により、発電機の騒音性能に大きな影響を与える吸気チャンバー(吸気ダクト)の加工を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度溶接で部品間の隙間や段差精度の余裕を確保し、所定の仕上がりと強度を得る必要があった。
  • 生産能力発電機用構造体部品の高信頼性化・低騒音化・軽量化の要望に応えるため、溶接の高精度・軽量化・高生産性が課題だった。
  • 品質・精度大気中で高温になった金属表面に酸化スケールが過度に成長すると、耐食性を低下させるおそれがあった。
  • 新製品・新技術現行のMAG溶接では溶接フランジやすみ肉が必要で、構造体部品の軽量化と重ね溶接の貫通が難しかった。

やったこと

ファイバーレーザー溶接の特徴を生かすため、レーザービームをオシレーション(揺動)させて溶接する方式に取り組んだ。金属の材質・隙間・厚さに対して、レーザー出力・焦点・オシレーション径・送りピッチ・溶接速度を変えながら基礎データを取得し、レーザー溶接工法の最適条件を見出した。ファイバーレーザー溶接の高精度と微細加工、局部加熱による低歪みを活かし、すみ溶接では溶接フランジとすみ肉を不要にする設計を検討した。さらにレーザガルバノスキャナーヘッドを活用して、制御性と生産性を加味した高速・一貫レーザー溶接工法の試作開発を行った。

加工機ファイバーレーザー溶接機
加工機レーザガルバノスキャナーヘッド

新しい製品・サービス:レーザガルバノスキャナーヘッドを活用した高速・一貫レーザー溶接工法(試作開発)

事業の効果

ファイバーレーザー溶接の採用により、すみ溶接で溶接フランジとすみ肉が不要となり、溶接後の構造体部品の重量を15%軽量化できた。重ね溶接でも貫通溶接が可能となり、同様の軽量化を実現した。酸化スケールも大幅に抑えられ、信頼性の向上も期待できる。MAG溶接の2倍以上という溶接スピードの高速性も得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    MAG溶接中心の既存取組との連続性は示唆されるが、経営戦略上の位置づけは文章から明確に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ディーゼル発電機の需要増や高信頼性・低騒音化の要望に触れ、外部環境は読めるが、競争優位の根拠は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    課題として溶接の高精度・軽量化・高生産性を挙げ、ファイバーレーザー溶接で軽量化・高速化する対策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    溶接重量を15%軽量化、MAG溶接の2倍以上の溶接スピードという数値目標・成果が示されており実現性は読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    試作開発の取組主体や人材・事務処理体制に関する記述は少なく、わずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    発電機の騒音・軽量化という顧客ニーズと溶接の特徴の関係は整理されているが、顧客ターゲットの明確さは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    条件出し、オシレーション溶接の基礎データ取得、酸化スケール対策など課題と解決方法が段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    レーザー溶接の高精度化は示されるが、分野の普及度や高付加価値化の水準を裏付ける記述は限定的。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    船舶・農業機械・エネルギーシステム分野への展開に触れるが、波及効果や雇用創出への言及は具体性が薄い。

  • 費用対効果3

    軽量化率15%や溶接速度の倍増は読めるが、補助金投入額に対する付加価値増加の記載はない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザーガルバノスキャナーなど先端技術の活用はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    エネルギーシステムや非常用電源需要への対応はうかがえるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ファイバーレーザー溶接の高精度・軽量化と、MAG溶接の2倍以上の溶接速度を活かし、船舶、農業機械、エネルギーシステム分野への事業展開を図っていきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。