ものづくり補助金平成28年度製造業奈良県

業務用珈琲事業から消費者向け珈琲事業へ進出する経営革新事業

フジエダ珈琲株式会社

この事例のポイント

  • 多品種少量生産と異物混入等の品質保証に対応する体制が、現有の生産体制では整っていなかった。
  • コンシュマー向けの多品種小ロット生産を見越して、工程・在庫等の管理体制を整備した。
  • 工程・在庫管理の整備と分配機の更新により製造速度が向上し、計量・包装の処理時間が約17〜30%短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名フジエダ珈琲株式会社
所在地奈良県 大和郡山市
業種食料品製造業
従業員数17人
資本金2,000万円
設立1975年

事業の背景

主要取引先だった地域喫茶店が軒並み減少し、大手喫茶チェーンが台頭していた。このため業務用卸売・店舗事業は低成長か現状維持にとどまると考えられた。一方、コンシュマー市場ではレギュラーコーヒーの需要が増え、家庭での消費量も増加していた。大手には対応できない味覚のニーズに合った製品を多品種生産し、「奈良県産」のローカルブランドとして付加価値を高める方針をとった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力多品種少量生産と異物混入等の品質保証に対応する体制が、現有の生産体制では整っていなかった。
  • 販路・情報発信開発した商品は万人向けではなく付加価値と価格が高いため、製品のストーリー性を打ち出せる販路・販売チャネルが限られると考えられた。
  • 品質・精度異物混入を防ぐための検査体制が不十分で、食の安全を守る品質保証の仕組みが必要だった。

やったこと

コンシュマー向けの多品種小ロット生産を見越して、工程・在庫等の管理体制を整備した。構内の整理、品種・用途別の区分けと別管理、在庫・保管場所の確保を行った。分配機を更新し、振幅調整により分配速度を向上させた。ロードセル(計量器)の応答速度も向上させ、自動計測機を導入して計量の効率を高めた。食の安全を守るためにX線検査機を導入し、アルミ包装後に検査することで金属以外の異物にも対応できるようにした。新製品の開発では味覚をエビデンス化し、官能検査に加えて8項目の味覚を数値化した。

加工機分配機
検査測定自動計測機(NESR)
検査測定X線検査機

新しい製品・サービス:コンシュマー向け新ブランド「奈良藤枝珈琲焙煎所」の製品群

事業の効果

工程・在庫管理の整備と分配機の更新により製造速度が向上し、計量・包装の処理時間が約17〜30%短縮された。X線検査機の導入により異物混入検査が可能となり、計量時と包装後の2回の検査で異物混入率0%を実現した。味覚の数値化によって他社品との比較・差別化が容易になり、販売員が自社製品に自信と説得力を持てるようになった。生産性が大幅に向上し、品質・安全性も併せて向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    業務用卸売の低迷を背景に、本業の珈琲製造を強化しコンシュマー向け自社商品開発に進む方針が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大手NBへの対抗としてローカルブランド化し、セレクトショップや百貨店を狙う差別化戦略が書かれている。競争優位の数値根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    多品種小ロット対応と異物混入対策という課題を特定し、計量機やX線検査機導入で解決する計画が具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    今後5年後に初年度実績の約5倍の売上目標が示されている。付加価値・賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員17名の記載はあるが、補助事業を遂行する担当体制や事務処理能力の具体的な記述はうかがえない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    こだわり層をターゲットにし、味覚の数値化で他社との差別化や販売員の説得力向上を示している。

  • 事業化までの道筋3

    販路開拓の継続やブランド派生展開は示されるが、実施時期や各段階の具体的スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    大手に対応できない味覚の製品を多品種生産し、付加価値・価格を高く設定すると書かれている。味覚の数値化も示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    奈良県産のローカルブランドとして地域性を示すが、雇用創出や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果4

    計量・包装で約17〜30%、異物混入検査で約90%の処理時間短縮、異物混入率0%という具体的な効果が示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    X線検査や味覚のエビデンス化など新技術の活用は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    奈良県産のローカルブランドとして地域の特性を活かす点は書かれるが、地域経済の成長への影響は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

5年後に初年度実績の約5倍の売上を目標としている。一般消費者向けの販路開拓を継続し、ブランドの派生商品開発や純喫茶、インバウンド向けカフェなど新規チャネルの展開を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。