ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

野菜のうまさや栄養を活かした商品開発で市場の活性化を図る

株式会社真田・有限会社誠武農園(連携体)

成果残存生菌数 410個→50個

この事例のポイント

  • 人参をボイルする従来の殺菌方法では、水に成分が流出し、うま味や栄養価が減ってしまう。
  • 今回の補助事業では、蒸気殺菌器と連続バンド乾燥機を導入した。
  • 残存生菌数 410個→50個。導入設備により、ボイルせずに殺菌でき、人参の成分が水に溶け出すこともなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社真田・有限会社誠武農園(連携体)
所在地京都府 京都市東山区
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数70人
資本金4億円
設立1972年

事業の背景

株式会社真田は明治37年創業の乾物製造・販売業者で、本社工場での製造、自社店舗、全国のスーパーへの卸、インターネット通販を行っている。乾物市場の規模は、この30年間で大きく縮小している。主な理由は生活スタイルの変化と核家族化で、調理に手間のかかる乾物は敬遠されがちになっている。連携先の有限会社誠武農園は、TPPによる輸入農産品との競争や、高齢化と後継者不足という課題を抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度人参をボイルする従来の殺菌方法では、水に成分が流出し、うま味や栄養価が減ってしまう。
  • 品質・精度従来の乾燥方式では乾燥にムラが出て、人の手でかき混ぜる必要があり、異物混入の危険や品質面の懸念があった。
  • コスト・採算ボイルせず安全に殺菌できる設備は、従来設備の導入に比べて費用が事業予算の約3倍になる。
  • 新製品・新技術生の人参は長期保存ができず、従来製法の乾燥野菜ではうま味や栄養価が減るという欠点があった。

やったこと

今回の補助事業では、蒸気殺菌器と連続バンド乾燥機を導入した。導入した機械装置で人参の乾物を試作し、従来品と殺菌能力、栄養成分、食味を比較した。蒸し時間の調整で食材の食感を変えられ、従来より高い温度で熱処理するため殺菌能力も高まった。無人でムラなく乾燥でき、乾燥度も調整できるため、乾燥品に加えて水分を少し残したソフト乾燥品も試作した。

加工機蒸気殺菌器
加工機連続バンド乾燥機

新しい製品・サービス:京都産野菜を使った乾燥野菜(人参の乾物)

事業の効果

  • 残存生菌数 410個→50個
  • 食物繊維 0.4g→2.9g
  • ビタミンA 581mg→2,910mg
  • βカロテン 700μg→3,500μg
  • 戻し時間(水) 20分→4分

導入設備により、ボイルせずに殺菌でき、人参の成分が水に溶け出すこともなくなった。残存生菌数は大幅に減り、食物繊維、ビタミンA、βカロテンの含有量も大幅に改善した。戻し時間は短縮され、人参の強いうま味も残せるようになった。無人でムラなく乾燥できるため安全面も向上し、オリジナル商品として販売を始め、スーパーでの取り扱いも始まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    乾物製造・販売の創業110年超の事業を背景に、京都産野菜の乾燥野菜ブランド化を今回の取組として位置付けているが、経営戦略上の明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    乾物市場が30年で大きく縮小したという外部環境と、六次産業化認定、京都産野菜へのこだわりが書かれ、強みとの関連がうかがえる。具体的な競争優位の数値は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    従来製法でボイルすると栄養や味が流出する課題を認識し、殺菌能力向上と戻し時間短縮で解決する計画が、残存生菌数410個から50個などの数値で示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。ショップ販売やスーパー取扱い開始が示されるのみで、目標値の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    試作の実施や連携体による農園との協働はうかがえるが、人材や事務処理体制について具体的な記載はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットは健康志向の消費者で、戻し時間の短さ、栄養価、うま味が選ばれる理由として整理され、実験値で裏付けられている。

  • 事業化までの道筋3

    第2、第3の商品化に向けて複数の京都産野菜で試作を進める方針が示されるが、具体的なスケジュールや課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    乾燥野菜で生の人参に近い栄養価とうま味を保つ点が、従来製法と比較して数値で示され、同分野で高付加価値化を図る内容と読める。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    農園の後継者不足や規格外野菜の活用、地元産業への若者の雇用を課題として挙げ、地域経済への効果がうかがえるが定量的ではない。

  • 費用対効果3

    設備費用が事業予算の3倍になるとあり補助の必要性は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    蒸気殺菌器と連続バンド乾燥機による無人・ムラのない乾燥で異物混入リスクを減らす点は示されるが、サプライチェーンへの波及は具体的に書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    乾物の再評価と健康志向への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    京都産野菜や農園との連携による乾燥野菜のブランド化を掲げ、地域の特性を活かした付加価値創出が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

人参に次ぐ第2、第3の商品化に向けて、ごぼう、大根、万願寺とうがらし、トマトなど京都産の野菜の試作を進めている。今後は商品ラインナップを増やし、味と安全、健康にこだわった商品開発を進める。乾燥野菜や乾物の消費量を増やすため、ファンを育てていく必要があると考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。