ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

流れ分析法へ最適化された簡便迅速な自動試料導入装置の開発

有限会社倉橋技研

成果販売価格 1倍→0.5倍

この事例のポイント

  • 流れ分析法に特化した機器が少なく、特に自動試料導入装置は最適な機材がないため、これを開発して上市する必要があった。
  • 高知大学樋口慶郎特任教授の指導のもと、流れ分析法に最適なオートサンプラーの仕様を決定し、機械設計・電気設計・プログラミングのスタッフが連携してワンショットで製品開発を行った。
  • 販売価格 1倍→0.5倍。従来の HPLC 装置に比べて小型軽量化が図れ、持ち運びや設置場所の自由度が格段に高まった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社倉橋技研
所在地京都府 京都市南区
業種業務用機械器具製造業
技術分野測定計測
従業員数2人
資本金4,000万円
設立1986年

事業の背景

創業以来、各種分析機器及び周辺装置の開発・設計・製造を行ってきた。環境問題への関心の高まりを受けて、2011年に工場排水などを対象とした JIS 規格の水質試験方法として流れ分析法が制定され、2013年の法改正で環境計量証明に使用できるようになったため、流れ分析法採用のニーズが高まった。一方で多くの分析装置メーカーは環境計量の市場規模が大きくないと判断し、流れ分析法の専用装置開発を見送っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術流れ分析法に特化した機器が少なく、特に自動試料導入装置は最適な機材がないため、これを開発して上市する必要があった。
  • 生産能力HPLC装置は多機能であるため操作に熟練を要し、構造上も高価格になり、装置購入コストや複雑性に対するユーザーの不満が多かった。
  • 新製品・新技術流れ分析法に適合したオートサンプラーがなく、既存の HPLC 用オートサンプラーを転用すると不必要に高性能な部品を使うなど、流れ分析法に最適な機能や操作性が得られていなかった。

やったこと

高知大学樋口慶郎特任教授の指導のもと、流れ分析法に最適なオートサンプラーの仕様を決定し、機械設計・電気設計・プログラミングのスタッフが連携してワンショットで製品開発を行った。新たに開発したオートサンプラーは開口部分に設置する形状とし、試料を一度セットすれば検出が終わるまで追加や変更ができる構造とした。操作部には一般的なパネル盤ではなく Android 端末(タブレット)を使用し、Bluetooth で接続した。試料容器は開口部に置けるため大型化して洗浄も容易にした。半年余りで製品化にこぎつけた。

加工機オートサンプラー付き流れ分析法装置
その他Android 端末を使用したパネル操作部
その他開発ボード(基板)

新しい製品・サービス:オートサンプラー付き流れ分析法装置

事業の効果

  • 販売価格 1倍→0.5倍
  • 操作パネル部品コスト 1倍→0.333倍

従来の HPLC 装置に比べて小型軽量化が図れ、持ち運びや設置場所の自由度が格段に高まった。販売価格は HPLC 装置の1/2~1/3程度に抑えられ、既に研究機関やメーカーから数台を受注している。Android 端末による操作パネルは装置から取り外して使え、カラー表示で扱いやすく、部品コストも市販操作パネル盤の1/3程度に抑えられた。開発ボードの仕様を確立したことで、今後の新製品の開発コストを大幅に削減でき、周辺装置の開発スピードアップも期待できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の分析機器開発の経験を活かし流れ分析法装置へ進出する経緯が書かれており、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    HPLC装置の購入コストや操作の複雑さへの不満を市場の課題とし、装置価格を1/2〜1/3に抑えた点で強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    HPLCの弱点を踏まえ、流れ分析法の自動試料導入装置を開発して自動化を進める具体的な解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されておらず、販売価格1/2〜1/3や数台受注の記載にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    機械設計・電気設計・プログラミングのスタッフ連携と半年余りでの製品化が書かれており、体制の一端が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    HPLCより小型軽量で価格も抑えられ、研究機関やメーカーから数台受注している点で顧客と選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    開発ボードの仕様確立や自動サンプリング装置への着手など今後の展開が書かれているが、スケジュールは具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    HPLCが主流の中で流れ分析法の専用装置は少ないとされ、特化した新市場の開拓を狙う内容である。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    2011年の JIS規格制定や2013年の法改正で環境計量に使えるようになった点が書かれ、社会的な必要性がうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかにうかがえるだけである。

  • イノベーションへの貢献2

    Android端末による操作やWi-Fi遠隔操作の可能性に触れているが、サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    環境問題への親和性や環境計量の需要増が書かれており、わずかに成長分野への進出がうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はオートサンプラー付き流れ分析法装置の独自性をアピールして拡販するとともに、試料を自動で送り込む自動サンプリング装置の開発にも着手し、自動化の範囲を拡大することでユーザーの要望にきめ細かく応え、需要を拡大していく。30年を超える歴史を持つ分析装置専業メーカーとしての地位を不動のものにしたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。