ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

高付加価値つぶ綿の成形加工による他業種へ向けての資材開発

株式会社アライ

成果生産能力 1倍→2倍

この事例のポイント

  • 綿を使う製品は軽量だが容積が大きく、輸送コストが割高となり、在庫スペースの確保とも合わせて利益を圧迫していた。
  • 主体綿に、一定の温度で外側だけ溶けて固まる接着性のバインダー繊維を均等に混ぜ込んだ。
  • 生産能力 1倍→2倍。大型設備の導入により、幅広い顧客ニーズに対応できる体制が整い、生産能力は現在の2倍以上に拡大する予定である。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アライ
所在地京都府 京都市左京区
業種繊維工業
技術分野複合・新機能材料
従業員数14人
資本金4,032万円
設立1968年

事業の背景

創業当初は天然繊維の綿などを輸入・販売していたが、海外技術を利用した化学繊維製綿が普及したため、化繊製綿に事業を移し、枕などの寝装品の製造・加工を手がけるようになった。つぶ綿は性能面で評価されていたものの、粒状で扱いにくいという課題があった。主要製品はクッション・枕、インテリア小物、SP商品、防災備蓄用商品などで、主要取引先は丸紅インテックス、ユニチカ、田村駒などである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算綿を使う製品は軽量だが容積が大きく、輸送コストが割高となり、在庫スペースの確保とも合わせて利益を圧迫していた。
  • 新製品・新技術つぶ綿は直径5〜8mmの粒状でバラバラになりやすく取扱いが難しいため、内袋に詰める手間が必要で使用用途が限られていた。
  • 新製品・新技術つぶ綿をそのままシート状に成形した前例がなく、接着性のある繊維を混ぜて固め、一定の厚さに整える製法を確立する必要があった。

やったこと

主体綿に、一定の温度で外側だけ溶けて固まる接着性のバインダー繊維を均等に混ぜ込んだ。独自開発のエアトルテック製法で2種類の綿を三次元的に回転させ、均質な球形状の粒わた繊維を作った。その粒わた繊維を当社開発の積層成形機に投入し、適度な気圧をかけながら上方から柔らかく均等に堆積させ、横方向にローラーでシート状に押し出した。最後に専用オーブンで200℃強の熱風加熱し、圧力を加えて20〜50mmの均一な厚みのシートに成形後、冷却して強固な形状のマルーン・シートを完成させた。

加工機積層成形機
その他専用オーブン

新しい製品・サービス:つぶ綿シート(マルーン・シート®)

事業の効果

  • 生産能力 1倍→2倍

大型設備の導入により、幅広い顧客ニーズに対応できる体制が整い、生産能力は現在の2倍以上に拡大する予定である。成形シートは撥水性・疎水性・通気性を同時に保持し、360度どの方向にも曲げられる特長があり、医療・介護、土木建材、車両シート、衛生材、アパレルなど、寝装品以外の分野への活用が期待されている。国内に加えて海外からの引き合いも増加しつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業時の天然繊維輸入から化繊製綿、寝装品加工へと事業を転換してきた経緯は読み取れるが、つぶ綿シートを経営戦略上どう位置付けるかは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    つぶ綿は他社と違い一粒一粒が独立し弾力が保持される点、撥水・疎水・通気の特徴が具体的に示されており、競争優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    輸送コストや在庫スペース、つぶ綿のバラつきによる取扱いの難しさという課題認識は書かれているが、解決後の売上目標などの計画は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産能力は現在の2倍以上に拡大し、売上の50%以上を基幹事業に育てるとの目標が示されており、数値目標として読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    ベールオープナーや粒わた生産設備など保有設備は示されているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    枕・クッション、医療介護マットレス、建材、車両、衛生材、アパレルなど顧客分野と選ばれる特性が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    平成30年10月に滋賀県大津市の専用ラインが稼働予定と時期が示されているが、課題解決の方法や詳細な工程は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    つぶ綿をシート状に成形する前例がなかったと記され、撥水性と疎水性を同時に保持する点など高付加価値の特徴が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    医療・介護や土木建材など新たな分野への広がりと需要開拓の方向性は書かれているが、地域波及や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかに生産能力拡大がうかがえるのみである。

  • イノベーションへの貢献2

    独自の積層成形機や繊維密度の制御技術は示されるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    寝装品から医療・介護、建材、車両、衛生材へ進出する新市場開拓の方向性が示されており、構造転換への寄与がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    京都の企業が滋賀県大津市に新工場を建てる計画は示されるが、地域の雇用創出や経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製品はかさが高いため、コストをかけずに輸送を効率化することが喫緊の課題で、真空圧縮技術のさらなる向上を含めて検討が必要である。平成30年10月に滋賀県大津市の敷地1万㎡の専用ラインを持つ新工場が稼働予定で、需要を開拓し、最終的には売上の50%以上を成形シート事業とし基幹事業に育てたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。