ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

“装置内組み込み型大気圧プラズマ洗浄装置”の開発及び実用化

株式会社アクア

この事例のポイント

  • 大気圧プラズマは照射距離が短く(最大2mm程度)、立体的な被洗浄物全体に均一に照射することが難しかった。
  • 設備予算の少ない中小企業や大学、研究機関でも利用できる低価格で、製造装置に容易に内蔵できる小型の大気圧プラズマ発生システムを完成させた。
  • 大気圧中でプラズマを利用できるため、真空チャンバーなどの大掛かりな設備が不要となり、設備コストが大幅に下がった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アクア
所在地京都府 久御山町
業種プラスチック製品製造業
技術分野表面処理
従業員数10人
資本金1億円
設立2001年

事業の背景

当社は半導体や液晶画面のガラス基板の洗浄装置や関連する樹脂部品を手がけ、当初は純水や有機溶剤を使うウェット洗浄装置の設計・製作を主体としていた。平成24年頃から主要顧客であった大手弱電メーカーの業績低迷により設備投資環境が厳しくなった。新たな事業展開を模索する中で、大気圧プラズマ洗浄の可能性を見いだしたことが今回の取組みのきっかけとなった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大気圧プラズマは照射距離が短く(最大2mm程度)、立体的な被洗浄物全体に均一に照射することが難しかった。
  • 新製品・新技術大気圧プラズマ技術は研究事例が少なく、照射距離の短さ、装置内に組み込める小型化、感電や有害ガス漏洩を防ぐ安全性の確保などの課題が山積していた。
  • コスト・採算主要顧客である大手弱電メーカーの業績低迷により設備投資環境が厳しくなり、製造工場を閉鎖して移転した。

やったこと

設備予算の少ない中小企業や大学、研究機関でも利用できる低価格で、製造装置に容易に内蔵できる小型の大気圧プラズマ発生システムを完成させた。プラズマ生成では一般的な素材や部品を使い、効率が高く安価な装置を目指して検討と実験を繰り返した。電極には約1万ボルトの高電圧を使い、電極部周辺が約150℃まで上昇すると予想されるため、耐久性、絶縁性、耐熱性を考慮した材質選定や感電・漏電に対する安全設計を一から検討した。プラズマ照射面の発熱に対しては、装置小型化による容積縮小や外周部品との接近という制約の中で効果的に冷却できるユニット形状を開発した。さらに照射距離が長く段差や曲面にも対応できるジェット方式を開発し、ラジカル発光を利用してプラズマ処理の効果を確認するセンサーユニットも併せて開発した。

その他小型大気圧プラズマ洗浄装置(ダイレクト方式・ジェット方式)
検査測定ラジカル発光モニター(センサーユニット)

新しい製品・サービス:装置内組み込み型大気圧プラズマ洗浄装置およびラジカル発光モニター。卓上テスト機(HPJ-desktop型)は販売価格500千円で、ジェット方式など生産装置対応型、卓上型、ハンディー型、スポットジェット型など多彩な装置を取り揃えている。

事業の効果

大気圧中でプラズマを利用できるため、真空チャンバーなどの大掛かりな設備が不要となり、設備コストが大幅に下がった。窒素ガスを使うジェット方式は、アルゴンガス等を使う機種に比べ運用コストも下がる。卓上で扱える小型装置は通常のAC100V電源で使えるため、実験室や現場への持ち運びや手加工での使用、生産ラインへの組み込みも可能になり、応用範囲が大きく広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来のウェット洗浄装置の設計・製作が主体で、大気圧プラズマ開発は大学教授の助言を機に始めたとあり、過去からの一貫性は薄く読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    主要顧客の業績低迷で設備投資環境が厳しくなった状況を踏まえ、低価格で製造装置に内蔵できる小型大気圧プラズマ装置を開発したと具体的に述べている。

  • 課題の認識と解決4

    主要顧客の業績低迷と工場閉鎖という課題を認識し、ドライ洗浄への展開で打開をめざすと事業の方向性が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値や賃上げに関する数値目標は記載されておらず、所期の目標到達との記述のみで実現可能性はわずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    設計・製作は社内で行っていると記載があるが、従業員10人の体制や補助事業の遂行体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    卓上機の価格を500千円と示し、数百万円の真空式装置より低価格で、ガラス・金属・樹脂などの用途と親水性付与の効果を具体的に説明している。

  • 事業化までの道筋3

    耐熱性や放熱、安全設計などの課題を順に検証し所期目標に到達したとあるが、今後のスケジュールや遂行方法は詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    真空式より安価で小型の大気圧プラズマ装置を目指し、研究事例が少ない分野で認知度向上が課題と述べ、新分野での差別化がうかがえる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    半導体や液晶に関わる製造業の基盤技術を扱うとあるが、経済波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    真空式で数百万円の装置が卓上機500千円に下がり、窒素ガス使用で運用コストも下がるなど、費用面の効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    ドライ洗浄やジェット方式で多様な用途への応用を広げる点は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献としての記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    半導体・液晶の洗浄から樹脂や金属の精密メッキ、接着加工へ用途が広がるとあるが、日本経済の構造転換との関連は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    京都府久御山町の所在地は示されるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出についての記述はわずかにしか読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在は大学や大手企業研究室への納入も増えてきたが、製品の認知度向上が大きな課題である。現在最大100mmの照射対象幅のさらなる拡大など顧客ニーズに合わせた商品開発を進める。微細粉末の水溶化、有害ガスの分解、水質浄化等への利用も研究中である。

  • 目標:本格的な真空式装置はテスト用小型機でも数百万円以上が一般的だが、卓上テスト機の販売価格は500千円。
  • 目標:従来の大気圧プラズマの照射距離は最大2mm程度だったが、ジェット方式の開発により用途が大きく広がった。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。