デニム製品の制菌・抗ウイルス加工工程(薬剤利用、回収・再利用工程)の自動化による生産性向上

岡山県の製造業が、ものづくり補助金で抗ウイルス加工の水洗機と乾燥機を導入し、作業を1人でこなせるようになった採択事例です。

株式会社西江デニム

成果浸け込む加工の処理時間(100本あたり) 189分→149分

この事例のポイント

  • 抗ウイルス加工のマスク布地を、薬品に浸け込んで脱水・乾燥し、再度浸け込んで脱水・乾燥する工程を人手でこなしており、3人がかりの作業になっていました。
  • マスク布地の抗ウイルス加工を自動化・効率化するため、山本製作所(広島県尾道市)製の全自動水洗機を導入しました。
  • 浸け込む加工の処理時間(100本あたり) 189分→149分。導入した水洗機と乾燥機により、抗ウイルス加工の一連の作業が1人でこなせるようになり、作業の省人化が進みました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社西江デニム
所在地岡山県 岡山県井原市
業種繊維工業
技術分野製造環境,表面処理,複合・新機能材料,材料製造プロセス
従業員数100人
資本金9,900万円
設立1960年

事業の背景

西江デニムは1965年にデニム衣料の洗い加工を始め、岡山県から広島県東部にあった大手専業メーカーからの受託で業績を伸ばし、1982年には縫製にも進出しました。専業大手の勢いが薄れる一方、アパレルブランドがデニム衣料の品揃えを強めており、加工業者は商品知識を生かして事業領域を広げてきました。

2020年のコロナ禍でアパレル業界は大きな打撃を受けましたが、抗ウイルス・制菌効果のある特殊加工の特許実施権を取得していた同社には、大手製造小売業者からマスクへの加工の注文が寄せられました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能抗ウイルス加工のマスク布地を、薬品に浸け込んで脱水・乾燥し、再度浸け込んで脱水・乾燥する工程を人手でこなしており、3人がかりの作業になっていました。
  • 生産能力2020年には約1000万枚のマスクにこの加工を施す注文があり、手作業では対応に大きな負担がかかっていました。

やったこと

マスク布地の抗ウイルス加工を自動化・効率化するため、山本製作所(広島県尾道市)製の全自動水洗機を導入しました。この水洗機は改造して薬剤の回収・再利用装置を備え、液体に浸けずに加工を施せる自動スプレー加工機能を追加しています。

アイナックス稲本(東京都品川区)製の業務用乾燥機も改造し、時間に応じて乾燥温度を自動制御できるようにしました。これにより、浸け込みや乾燥といった一連の作業が3人がかりから1人でこなせるようになりました。

新しい製品・サービス:次世代消臭・防虫加工

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 全自動水洗機山本製作所製、薬剤回収・再利用装置と自動スプレー加工機能を追加改造設備の種類:めっき・表面処理
  • 業務用乾燥機アイナックス稲本製、時間に応じた乾燥温度の自動制御に改造設備の種類:熱処理・乾燥・炉

事業の効果

  • 浸け込む加工の処理時間(100本あたり) 189分→149分
  • 浸け込まないスプレー加工の処理時間(100本あたり) 588分→238分
  • 加工作業の人数 3人→1人

導入した水洗機と乾燥機により、抗ウイルス加工の一連の作業が1人でこなせるようになり、作業の省人化が進みました。浸け込む加工は100本あたり189分から149分に、浸け込まないスプレー加工は588分から238分へと大幅に短縮されました。

コロナ禍は収束しましたが、薬剤を変えれば別の加工にも応用でき、事業の幅を広げる効果もあります。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標100本あたり浸け込み加工189分を149分に、スプレー加工588分を238分に短縮と、数字で目標と効果が示され実現性が高い。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性コロナ禍でマスク約1000万枚の加工注文を受けた実績と、大手専業メーカーからの受託・特許実施権という強みが具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値抗ウイルス・制菌の特殊加工で特許実施権を持ち、次世代消臭・防虫加工にも展開する点で一般的でない高付加価値性がある。

もう一歩だった観点

  • 2
    波及効果・雇用地場特産品のデニム業界に関わる点は触れているが、経済波及や雇用創出への言及は薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    洗い加工から縫製・ODMへ事業を広げてきた経緯があり、抗ウイルス加工の自動化もその延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    コロナ禍でマスク約1000万枚の加工注文を受けた実績と、大手専業メーカーからの受託・特許実施権という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    3人がかりの手作業という課題を認識し、水洗機と乾燥機の導入で1人化する計画として解決策が示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標5

    100本あたり浸け込み加工189分を149分に、スプレー加工588分を238分に短縮と、数字で目標と効果が示され実現性が高い。

  • 事業を進める体制3

    工場での加工・乾燥作業を実際に担ってきた経験があり、装置を使う人員体制も示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    マスク加工や次世代消臭・防虫加工など応用先を示し、顧客の需要と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    薬剤回収・再利用装置や自動スプレー機能など、改造内容と遂行方法が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    抗ウイルス・制菌の特殊加工で特許実施権を持ち、次世代消臭・防虫加工にも展開する点で一般的でない高付加価値性がある。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用2

    地場特産品のデニム業界に関わる点は触れているが、経済波及や雇用創出への言及は薄い。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    自動化装置や薬剤回収・再利用装置を導入し、加工工程のイノベーションに踏み込んだ取り組みが示されている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    岡山・広島にまたがるデニム産地で地域の加工業として事業を続け、地域の特性を活かした事業であることが示されている。

今後の展望

新開発の次世代消臭・防虫加工にも応用できるとして、販路の開拓を進めています。

事業者の声

他に仕事がなくなった時期だったからよかったが、大変な作業だった

薬剤を変えればいろいろな加工に応用できる

公式の事例集より(原文のまま)

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。