ものづくり補助金平成24年度広島県

洗浄薬剤使用ゼロ及びCO2削減を可能にする染色システムの実用化開発

坂本デニム株式会社

この事例のポイント

  • 多品種・少量生産に伴い生産管理が求められ、ムダを排除してコストを削減する必要があった。
  • 電気分解水(強酸性水・強アルカリ水)を生成する電解水生成装置一式を導入し、前処理・後処理の洗浄水に使用した。
  • 電解水による常温での洗浄・色止めにより、洗浄薬剤使用ゼロとCO2削減を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名坂本デニム株式会社
所在地広島県 福山市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数75人
資本金9,500万円
設立1957年

事業の背景

1892年創業の備後織の綿糸先染め織物産地で、手染め和染色加工を123年続けてきた。ジーンズは紡績から縫製まで国内生産が保たれており、デニム生地の前工程である綿糸の染色を担う。環境配慮型の繊維製品として、オーガニックコットン製品市場が拡大している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力多品種・少量生産に伴い生産管理が求められ、ムダを排除してコストを削減する必要があった。
  • コスト・採算ボイラーによる温水供給や各種薬剤の使用によりコストがかかっていた。
  • その他前処理・後処理で90℃の温水や薬剤を使い、CO2の発生や工場排水による環境負荷をかけていた。

やったこと

電気分解水(強酸性水・強アルカリ水)を生成する電解水生成装置一式を導入し、前処理・後処理の洗浄水に使用した。強酸性水は漂白作用、強アルカリ水は油脂分などの洗浄作用があるため、常温で薬剤を使わずに処理できるようにした。染色糸は電解水で洗浄し、ボイラー燃料と洗浄薬剤の使用を減らした。広島県東部工業技術センターの試験で、従来以上の色相・堅牢度を実現できることを確認した。

新しい製品・サービス:電気分解水を用いた常温洗浄・色止めによる、洗浄薬剤ゼロの環境配慮型ロープ染色システム

事業の効果

電解水による常温での洗浄・色止めにより、洗浄薬剤使用ゼロとCO2削減を実現した。ボイラー燃料代と薬剤の排水処理にかかるコストも削減でき、加工コストの低減につながった。環境配慮型の繊維製品市場の獲得を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1892年創業以来123年の藍染め技術ひと筋と、2008年の大型炉から小型ボイラーへの更新を起点に環境取組を継続している点が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性オーガニックコットン市場の拡大に環境配慮型染色を提案し非価格競争力を強化する方針、自社開発の染色装置や5ラインの設備保有が書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決ボイラー燃料を10%削減、洗浄薬剤ゼロ、助剤15%削減、中和薬剤20%削減など課題に対応する数値目標が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    成長分野への進出環境配慮型繊維製品市場への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は書かれていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    1892年創業以来123年の藍染め技術ひと筋と、2008年の大型炉から小型ボイラーへの更新を起点に環境取組を継続している点が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    オーガニックコットン市場の拡大に環境配慮型染色を提案し非価格競争力を強化する方針、自社開発の染色装置や5ラインの設備保有が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ボイラー燃料を10%削減、洗浄薬剤ゼロ、助剤15%削減、中和薬剤20%削減など課題に対応する数値目標が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    コスト削減の数値目標はあるが、付加価値額の増加や賃上げを実現する目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    生産管理指導やひろしま産業振興機構、東部工業技術センターとの協力体制は書かれているが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ジーンズの国内生産とデニム多品種小ロット染色に特化する方針、環境配慮型提案という顧客価値が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2026年度に補助金を受け、サイジング速度自動制御と乾燥効率改善に取り組むという次段階の計画は書かれているが、スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    電解水による常温洗浄は従来の高温・薬剤処理と比べ差別化されており、高水準の付加価値化を狙う内容が読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    環境負荷低減や国内生産維持、日本メーカーの競争力分野という点から国内産業上の意義はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    ボイラー燃料・薬剤・排水処理のコスト削減目標はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加額などの費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    電解水による環境配慮型染色は新しい工程だが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献の記述は限定的。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    環境配慮型繊維製品市場への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    広島県福山市の地域企業として備後織の産地に立地することが書かれているが、地域経済への波及の記述は少ない。

今後の展望

エコ染色システムをさらに進化させ、糸の先染め工程全体で環境負荷を削減する。デニム生地の多品種小ロット染色加工に特化し、国内生産の強みを生かす。現在は2014年度の補助金を受け、デニム糸巻付機(サイジング)の速度自動制御と乾燥効率改善による生産性向上に取り組んでいる。

  • 目標:ボイラー燃料である重油を10%削減する目標
  • 目標:洗浄薬剤使用ゼロを目標とする
  • 目標:助剤の使用量を15%削減する目標
  • 目標:排水処理用の中和薬剤使用料を20%削減する目標

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。