ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

3D技術を利用した鋳物生産システムの構築による競争力の強化

洲崎鋳工株式会社

成果型から鋳造品を取り出す工程の配置人員 2人→1人

この事例のポイント

  • 複雑形状の鋳物は鋳型から砂を取り出す作業に大きな労力がかかり、砂に含まれる樹脂によるガス発生で空洞の不良品が生じていた。
  • 3D-CAD/CAEによる設計に加え、鋳造方案CAEシステムを導入し、事前にコンピュータ上で鋳型内部に流し込む鉄の流れ方や固まるときの冷え方をシミュレーションできるようにした。
  • 型から鋳造品を取り出す工程の配置人員 2人→1人。鋳造方案の精度が上がり、設計段階でのシミュレーションにより不良品の発覚がほとんどなくなり、作り直しの手間もなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名洲崎鋳工株式会社
所在地京都府 京都市
業種金属製品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境,立体造形
従業員数42人
資本金3.6億円
設立1947年

事業の背景

当社は鋳物の機械加工を手がけ、工作機械、ポンプ、医療機器メーカーを主な取引先としてきた。オートリールも製造販売している。比較的作りやすい鋳物は海外に発注されており価格競争が激しいため、国内で生き残るには高付加価値な鋳造品を作る技術力が必要とされた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度複雑形状の鋳物は鋳型から砂を取り出す作業に大きな労力がかかり、砂に含まれる樹脂によるガス発生で空洞の不良品が生じていた。
  • 品質・精度鋳造方案の決定を人の経験と実験の繰り返しに頼っており、出来上がった後に不良が発覚して作り直す無駄が多かった。
  • 生産能力複雑形状の鋳物製造では中子を多く組み合わせるため高い技能が必要で、作業の効率化と技能・技術の蓄積が課題だった。

やったこと

3D-CAD/CAEによる設計に加え、鋳造方案CAEシステムを導入し、事前にコンピュータ上で鋳型内部に流し込む鉄の流れ方や固まるときの冷え方をシミュレーションできるようにした。さらに砂再生装置を導入し、振動により複雑形状の鋳物内部の砂を効率よく鋳型から取り出し、再利用のため砕いて樹脂を取り除けるようにした。鋳造方案の管理と砂の管理の2つの工程の設備を導入した。

ソフト鋳造方案CAEシステム
その他砂再生装置

事業の効果

  • 型から鋳造品を取り出す工程の配置人員 2人→1人

鋳造方案の精度が上がり、設計段階でのシミュレーションにより不良品の発覚がほとんどなくなり、作り直しの手間もなくなった。砂の再処理で樹脂を取り除けるようになり、ガスによる不良品の発生も抑えられた。省力化、不良率の低減、試作回数の減少により生産性が向上し、納期も短縮され、確実にコスト削減が実現できている。売上は増加し、売上以上に利益は大幅に増加している。顧客からの信頼性も高まり、受注増につながっていると考えられる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    鋳物の複雑形状対応と高付加価値化を強みとし、設計段階から関与する方針が読み取れるが、事業計画上の位置付けの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    複雑形状の鋳物を海外生産より高付加価値で作る方針が示され、価格競争への対応と国内での競争力強化の必要性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業への依存や不良発生・再作り直しという課題を挙げ、鋳造方案CAEと砂再生装置で解決する計画が具体的に述べられている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上増や利益増は書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値や数値は示されておらず、目標設定の具体性はうかがえる程度。

  • 事業を進める体制4

    鋳造技能士1級5名・2級7名の資格取得者や3年以上経験者への受験支援など、人材体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    複雑形状鋳物を高付加価値で提供する価値と、設計段階からの参画による選ばれる理由は読み取れるが、ターゲットの数値的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    鋳造方案と砂管理の2工程を導入し、次段階として手作業工程の技能継承とデータベース化を課題として挙げているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    複雑形状の鋳物で1点ものや初めての形状にも対応し、同分野で高付加価値化を図る取組が具体的に書かれている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    国内での高付加価値製造と地元で働き続ける雇用の維持が述べられ、地域への貢献が読み取れるが、波及効果の数値はない。

  • 費用対効果4

    中子取り出し作業の人員が2人から1人になり、不良率低減や納期短縮によるコスト削減が書かれており、効果が具体的。

  • イノベーションへの貢献4

    3D-CAD/CAEによる鋳造方案シミュレーションと振動による砂取り出しなど、デジタル技術の活用が具体的に述べられている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    ものづくりの高付加価値化は書かれるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換への言及はうかがえる程度。

  • 地域経済への波及4

    京都の町中で地元ものづくりを続け、社員が地域で働き続けることが明記され、地域特性を活かす姿勢が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内で高付加価値で競争力のある鋳造製品を作り続けるため、手作業の部分が多い鋳造工程を現場で学び技能を蓄積・継承できるよう、社員育成が課題である。マニュアルやコツをデータベース化し、タブレットなどで視覚的に分かる現場管理ソフトを活用した人材育成・技術継承を考えている。

事業者の声

地元でものづくりを続ける会社

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。