ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

バイオプロセスを適用した白金族金属ナノサイズ粒子の試作開発

株式会社日高ファインテクノロジーズ

成果従来の触媒より製造コストが半減

この事例のポイント

  • 使用済み自動車の排ガス浄化装置から回収したパラジウム、白金、ロジウムを触媒として再利用する技術が未確立だった。
  • 超音波分散機、大気圧型グローブボックス、高速冷却遠心機など計20台の装置を用いて、自社でナノサイズ(1〜5nm)のPGM触媒を試作した。
  • 従来の触媒より製造コストが半減。自社で試作したナノサイズPGM触媒は市販品より約3倍の性能を示し、触媒使用量を約3分の1に減らせる見込みとなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社日高ファインテクノロジーズ
所在地大阪府 大阪市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野バイオ,材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数14人
資本金1億円
設立2003年

事業の背景

株式会社日高ファインテクノロジーズは平成15年設立で、セラミックスの精密加工を手がけ、主に半導体製造装置用セラミック部材の微細加工を強みとしている。従来は受託加工が中心で、半導体製造業界は景気に左右される面があった。そのため自社製品を作りたいという意向を持ち、4〜5年前からセラミックハニカム構造体の研磨技術を応用して使用済み自動車の排ガス浄化装置からPGMを回収し、触媒として再利用を検討してきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術使用済み自動車の排ガス浄化装置から回収したパラジウム、白金、ロジウムを触媒として再利用する技術が未確立だった。
  • 品質・精度従来の触媒は性能が不十分で、ナノサイズの粒子を自社で作る技術が必要だった。
  • コスト・採算業界で主流の触媒回収方法は製造コストが高く、ハニカムへのPGM付着時にガス除去設備が必要だった。
  • 集客・繁閑半導体製造業界は景気の影響を受けやすく、受託加工だけでは経営が安定しにくかった。

やったこと

超音波分散機、大気圧型グローブボックス、高速冷却遠心機など計20台の装置を用いて、自社でナノサイズ(1〜5nm)のPGM触媒を試作した。微生物をアルカリで溶かして細胞内のPGMを水中に分散させた細胞分散液と、粒子分散液の2形態の液体を試作した。細胞分散液は当初目標の濃度2%、純度99.9%を達成し、加熱乾燥した粉末も試作した。自社方法と現行の回収方法を比較し、製造コストを低減できる見込みを得た。開発したハニカム付着方法は900℃の加熱処理から100℃に下げることができた。

その他超音波分散機
その他大気圧型グローブボックス
その他高速冷却遠心機

新しい製品・サービス:パラジウム、白金、ロジウム各元素を含む細胞分散液と粒子分散液、およびPGMを乾燥させた粉末

事業の効果

  • 従来の触媒より製造コストが半減
  • 触媒性能 1倍→3倍
  • 触媒使用量 1倍→0.33倍
  • 加熱温度 900℃→100℃
  • 細胞分散液の濃度は目標の2%を達成
  • 細胞分散液の純度は目標の99.9%を達成

自社で試作したナノサイズPGM触媒は市販品より約3倍の性能を示し、触媒使用量を約3分の1に減らせる見込みとなった。製造コストは従来より低減でき、ハニカムへの付着加熱も低温で行えるようになった。細胞分散液と粒子分散液は、触媒市場や電子部品用導電性材料、食品・健康素材分野などでの販売を目指している。回収事業だけで約3億円の売り上げを目標としている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    受託加工が中心だった同社が、ハニカム内装研磨技術の応用や平成21年からのレアメタル回収開発を経て、廃触媒回収を第2の柱に位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    強みのセラミック精密加工を活かし、触媒性能が市販品の約3倍、製造コスト半減の見込みという競争優位を具体的な数字で示している。

  • 課題の認識と解決4

    製品アレンジの必要性を課題として挙げ、数年後に回収事業だけで約3億円の売上を目標とする具体的な計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    数年後に約3億円の売上という数値目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されておらず、実現可能性の根拠も薄い。

  • 事業を進める体制3

    従業員14名で社員育成に努め、大阪府立大学との共同研究で試作を進めた実績はあるが、事務体制や運営体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    触媒担体生産メーカー、自動車メーカー、化学装置メーカーなど販売先の顧客像と、VOC除去や電子部品用途という用途が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    製品の業界別アレンジ、量産化、展示会出展による用途開発という課題と方向性は示されているが、スケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    資本金1000万円のみ記載で、財務状況や資金調達の見込みは公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ナノサイズのシングルナノPGM粒子という高付加価値の触媒を試作し、濃度2%、純度99.9%の目標を達成した点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    廃触媒からの白金族金属回収という資源循環と環境改善への貢献が示されているが、雇用や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果4

    製造コストの半減、触媒使用量を約3分の1に減らせること、回収事業で約3億円の売上を目標とするなど、効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    微生物の力を活用した回収方法を大阪府立大学との共同研究で開発し、従来のガス除去設備を不要にする技術革新が示されている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    触媒市場や電子部品用導電性材料市場、VOC除去・脱臭処理など成長しうる分野への展開が示されているが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    大阪市福島区に本社があることは書かれているが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済への波及効果は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製品を業界や会社ごとにアレンジして提供する必要があるため、展示会へ積極的に出展し、他分野での用途展開を検討する。将来的には量産化も視野に入れ、数年後にはこの回収事業だけで約3億円の売り上げを目標に推進する。

事業者の声

製品を業界や会社ごとに自社でアレンジして提供する必要がある

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。