ものづくり補助金平成26年度製造業宮城県

三次元LSIの低価格生産技術開発

東北マイクロテック株式会社

成果TSVプロセスとバンププロセスを使用した積層に対し、約6分の1のコストで済む。

この事例のポイント

  • 三次元LSIの製造コストが従来LSIより大幅に高く、量産品として市場に流通させるにはコストを下げる必要があった。
  • コストが掛かるTSVを使わず上下チップを接合する乗り越え配線接続という新構造を開発した。
  • TSVプロセスとバンププロセスを使用した積層に対し、約6分の1のコストで済む。乗り越え配線接続により、TSVとバンププロセスを使う積層に比べてコストを約6分の1に抑えた。

事業者のプロフィール

事業者名東北マイクロテック株式会社
所在地宮城県 仙台市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野接合・実装
従業員数16人
資本金930万円
設立2010年

事業の背景

東北大学の研究成果を製品化するために設立された企業で、研究機関や医療機関に三次元LSIを納めている。取引先の95%は研究機関である。三次元LSIは微細化の物理的限界から需要が大きく伸びると見込まれるが、三次元化されたメモリは草創期で約1%程度にとどまっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術三次元LSIの製造コストが従来LSIより大幅に高く、量産品として市場に流通させるにはコストを下げる必要があった。
  • コスト・採算TSVプロセスとバンププロセスによる積層は工程が多く、絶縁膜形成とパターニングを含めた製造コストの削減が課題だった。

やったこと

コストが掛かるTSVを使わず上下チップを接合する乗り越え配線接続という新構造を開発した。ものづくり補助金により高温クリーンオーブンを導入し、従来はSiO2を使っていた絶縁膜を感光性ポリイミドに変えた。ウェハ上にチップを接合した後に全面へ絶縁膜をコートし、キュアベークによって絶縁とパターニングの工程を同時に行えるようにした。これにより工程を短縮し、低コスト化を実現した。

加工機高温クリーンオーブン

新しい製品・サービス:乗り越え配線接続による低コストの三次元LSI

事業の効果

  • TSVプロセスとバンププロセスを使用した積層に対し、約6分の1のコストで済む。
  • 従来LSIに比べて約88%増加となるところ、約5.5%のコストアップで抑えられる。

乗り越え配線接続により、TSVとバンププロセスを使う積層に比べてコストを約6分の1に抑えた。三次元LSIのコストアップは従来LSI比で約5.5%にとどまる見込みとなった。工程が短縮され、絶縁とパターニングを同時に行えるようになった。低コストでの製造実績を積み、研究用や医療用の実績を伸ばしていく段階にある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来のTSV方式からコスト削減を狙う乗り越え配線へ取り組んだ経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    研究機関との取引が95%、MEMSセンサ需要の見込みなど市場環境は書かれるが、競争優位の分析までは読み取れない。

  • 課題の認識と解決4

    TSVに対し約88%増、コストアップ約5.5%に抑えるなど課題と低コスト化の数字が示され、解決策も具体的に読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    モジュール単価100円以下を目標としクリアしたと書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    従業員16名、研究者兼務の技術者体制がうかがえるが、補助事業を遂行する事務体制までは書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    三次元LSIの小型・高速・省電力の利点や、研究用95%・医療用5%の顧客構成など、製品の価値と顧客が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    乗り越え配線の信頼性検証や、TSV形成・マイクロバンプ接合での当面の展開が書かれるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    三次元LSIは国内で普及が少なく、メモリの三次元化は約1%という草創期と書かれ、新市場性が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    MEMSセンサが医療や農業など広範囲に波及し、毎年1兆個規模の需要が見込まれると書かれるが、雇用や地域への波及は薄い。

  • 費用対効果4

    コストアップを約5.5%に抑え、従来比約88%増加の差を示すなど、補助金投入に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    東北大学との連携による乗り越え配線の新構造開発や、MEMSセンサ活用による技術革新への貢献が具体的に書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    三次元LSIとMEMSセンサの需要拡大による技術革新への貢献は読めるが、日本経済の構造転換との関連は具体的でない。

  • 地域経済への波及3

    みやぎ復興パーク内の拠点や東北大学との連携が書かれ、地域の特性を活かす面はうかがえるが、雇用や成長への効果は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

研究用95%・医療用5%の現状から小ロット生産にも対応し、医療用の実績を伸ばす。海外実績は2割程度で、欧米を中心に伸ばす予定である。MEMSセンサ1兆個需要の時代に備え、高性能化と低コスト化の技術を磨く。

  • 目標:複数の三次元LSIで構成されたモジュールの単価を100円以下で抑えることを目標としていた。

事業者の声

いいものを作っても、あまりにコスト高では量産品には使用してくれません。複数の三次元LSIで構成されたモジュールの単価を100円以下で抑えることを目標としてきましたが、クリアすることができました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。