ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

震災対策緊急遮断弁制御用感震器付制御盤の試作開発

株式会社カワデン

この事例のポイント

  • 非常用電源に使う鉛蓄電池やリチウムイオン二次電池は充放電を繰り返すと電解液が劣化して寿命が短く、制御盤のメンテナンスの手間や費用がかかっていた。
  • 緊急遮断弁の動力に電気二重層キャパシタを用い、その非常用電源として使う新たな制御盤を開発した。
  • 緊急遮断弁用制御盤は長寿命でメンテナンス性が高く、全国各地の貯水槽を中心に採用されることで年間1億~2億円の売り上げ増を見込んでおり、全社売上(平成27年度は10億円)を10~2…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社カワデン
所在地大阪府 大阪市此花区
業種電気機械器具製造業
技術分野機械制御,複合・新機能材料
従業員数34人
資本金3,600万円

事業の背景

同社は電動バルブを主力とし、特に地震などで配管が破裂した際に水の流出を防ぐ緊急遮断弁で独自製品を販売してきた。売り上げの30%を占める看板製品のゼンマイ式緊急遮断弁は一度閉めると開閉動作ができないという難点があった。一方、電気二重層キャパシタ式は国内に競合先がなく売り上げ比率が次第に高まっているが、電動弁業界全体では大きな伸びが望めない状況にある。近年は地震などの災害が増え、震災対策用の緊急遮断弁の需要が今後一層高まると見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度非常用電源に使う鉛蓄電池やリチウムイオン二次電池は充放電を繰り返すと電解液が劣化して寿命が短く、制御盤のメンテナンスの手間や費用がかかっていた。
  • 納期・工程試験には高価な検査機器が必要で、従来は公設の試験場に試作品を持ち込んで試験しなければならず、開発に時間がかかっていた。

やったこと

緊急遮断弁の動力に電気二重層キャパシタを用い、その非常用電源として使う新たな制御盤を開発した。地震が発生すると内蔵した感震器が震度を感知し、キャパシタに蓄えた電力で緊急遮断弁を作動させる仕組みである。キャパシタは数十万回の急速な充放電が可能で寿命が約10年と長く、メンテナンスも不要になる。屋外設置を想定して待機電力を抑えた制御基板と感震器を試作し、雷サージ試験機で基板や制御盤本体の破壊試験も実施した。補助事業で雷サージ試験機を購入したことにより、試験のために他の施設へ出向く必要がなくなった。

検査測定雷サージ試験機

新しい製品・サービス:電気二重層キャパシタを非常用電源に用いた緊急遮断弁用制御盤

事業の効果

緊急遮断弁用制御盤は長寿命でメンテナンス性が高く、全国各地の貯水槽を中心に採用されることで年間1億~2億円の売り上げ増を見込んでおり、全社売上(平成27年度は10億円)を10~20%押し上げる効果があるとみている。雷サージ試験機の導入により、社内で基板や制御盤の試験ができるようになり、試験のための外部施設への移動が不要になった。その結果、製品の開発期間が短縮され、技術力や品質をさらに高めることにつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    ゼンマイ式緊急遮断弁から電気二重層キャパシタ式への発展や、製品開発に注力する方針が事例に具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内に競合先はなく、売り上げの30%を占める看板製品や1,000ヵ所以上の納入実績から、競争優位性が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    制御盤の長寿命化・メンテナンス性改善という課題が示され、年間1億~2億円の売り上げ押し上げ効果も見込まれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間1億~2億円の売り上げ押し上げ、全社売上10億円の10~20%という目標が示され、根拠も比較的明確である。

  • 事業を進める体制2

    従業員34名の企業であることはわかるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記載は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    長寿命でメンテナンス性が高い制御盤、貯水槽での採用ニーズ、大阪府内数千ヵ所という市場規模が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作の最終段階、市場投入時期の見通し、海外展開の方向性は書かれているが、遂行スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    電気二重層キャパシタ式の緊急遮断弁は国内に競合先がなく、大型品も含め独自製品として市場を開拓している点が明記されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    震災対策需要の高まり、貯水槽やプール、中国の原発増設による需要など、社会的インフラとしての積極的な理由が書かれている。

  • 費用対効果3

    年間1億~2億円の売り上げ押し上げ効果は示されているが、補助金投入額に対する費用対効果の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    キャパシタの活用や制御基板の開発は書かれているが、サプライチェーンや地域のイノベーションへの貢献は明確ではない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    中国や東南アジアへの海外展開は書かれているが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    大阪市此花区の立地は示されているが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

緊急遮断弁用制御盤を主力製品に育て、貯水槽や化学プラント、学校のプールなど国内の様々な施設への普及を目指す。中国では原発向けの需要増が見込まれ、東南アジアへの展開も視野に入れている。

事業者の声

製品の開発期間の短縮につながっている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。