ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

日産ネジ株式会社

成果計測面の焦点深度 2mm→5mm

この事例のポイント

  • ねじの製品検査・計測は作業者が人手で行うため生産性が低い。
  • 平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。
  • 計測面の焦点深度 2mm→5mm。人手に依存せず同じ結果が得られる計測システムにより、検査精度と生産性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名日産ネジ株式会社
所在地大阪府 松原市
業種金属製品製造業
技術分野測定計測
従業員数134人
資本金10億円

事業の背景

高精度・高強度を強みとする工業用ねじを大量に製造しており、自動車、輸送機、産業・建設機械、電子・精密機器向けなどに供給している。熱処理工程は完全に内製化し、品質管理の徹底と保証体制の維持に努めている。多様化する製品と高付加価値化へのニーズに対応するため、多段式冷間圧造機などの設備投資も積極的に行ってきた。国内のねじ製造事業所は約1,800社あり、そのうち同様なねじを製造する約1,200社がマーケットと想定されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ねじの製品検査・計測は作業者が人手で行うため生産性が低い。
  • 品質・精度作業者の技能レベルによって計測結果にばらつきが出ることがある。
  • コスト・採算専任の作業者を多数育成し専用の検査室を備えるなど、計測に多くの時間とコストを費やしている。
  • 品質・精度汎用の画像投影機は単一画像での計測のため、計測の繰り返し精度が安定しなかった。
  • 品質・精度立体形状のねじは2次元カメラで焦点を合わせる位置が外輪のプロファイルだけで内側にぼやけ、寸法を確実に計測することも難しかった。
  • 人手・技能ねじごとに計測用レシピの設定が必要で、多品種生産では設定に大きな手間がかかっていた。

やったこと

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。ねじを回転させて360度全周の計測を可能にし、テレセントリック光源により光の回り込みをなくして、レンズの仕様(2mm)より焦点深度の深い範囲(5mm)まで安定した画像で実際の寸法を算出できるようにした。システムは2次元カメラ、テレセントリック光源(平行光源)、リニアスケール、サーボモーター、ロータリエンコーダーなどを組み合わせ、専用のソフトウェアも含めた専用装置として開発した。市販装置にはラインレーザーセンサを追加し、2次元カメラでは影に隠れて計測できなかったねじ頭部座面の傾きや表面の凹凸も計測可能にした。

検査測定ねじ寸法自動計測システム
検査測定2次元カメラ
検査測定テレセントリック光源(平行光源)
検査測定リニアスケール
その他サーボモーター
検査測定ロータリエンコーダー
検査測定ラインレーザーセンサ
ソフト専用ソフトウェア

新しい製品・サービス:ねじ寸法自動計測システム

事業の効果

  • 計測面の焦点深度 2mm→5mm

人手に依存せず同じ結果が得られる計測システムにより、検査精度と生産性が向上した。これまで困難だった立体形状のねじも、360度全周計測や焦点深度の拡大により寸法を確実に計測できるようになった。計測値は目標の繰り返し精度に近い数値となり、計画時に期待した成果をほぼ出せた。平成28年6月に1号機を同業者に納入し、事業化と販売増に向けて動き出している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去から検査・計測の課題を認識し、ものづくり補助金でシステムを開発した経緯が書かれているが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高精度・高強度が強みで、計測の課題を自社の技術蓄積で解決し、同業者へ販売する競争優位の方針が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    人手検査の生産性低下とばらつきという課題を認識し、自動計測の開発と同業者への販売で事業化する計画が述べられている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    2016年に1号機を販売済みで、2017年20台、2018年30台、2019年50台の販売計画が数字で示されている。賃上げや付加価値目標の記載はない。

  • 事業を進める体制2

    開発の技術蓄積や特許出願の記載はあるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力については読み取れる記述が少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    人手計測の課題に対し繰り返し精度や焦点深度の改善効果、対象は約1,200社の同様のねじメーカーと具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2017年以降の小型機開発計画や中国・韓国・台湾への展開が示されるが、スケジュールと課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の画像投影機では困難だった立体形状のねじ計測を可能にし、同分野で高精度な計測装置として差別化している。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内ねじ製造事業所約1,800社や輸出計画は触れられているが、雇用創出や波及効果への国の関与の必要性は明示されていない。

  • 費用対効果3

    人手検査で多大な時間とコストを要していた点と、自動化で同じ結果を得られる改善は示されるが、費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    2次元カメラとテレセントリック光源、リニアスケールなどを組み合わせた計測技術で業界全体の底上げに貢献する旨が示される。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    大阪府松原市の企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や地域経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成29年以降はより小型で軽量、低価格な研究開発向けの機種を開発し、小さなスペースでも座って検査できる新たなニーズを開拓する計画である。中国、韓国、台湾でも特許を出願しており、中国などへの輸出も計画している。

  • 目標:平成29年に20台、平成30年に30台、平成31年に50台の販売を計画している

事業者の声

当社は社会的役割・使命や重要性を認識し、信頼度の高い優れたねじ作りを心がけてきました。ニーズを先取りし、設備・研究・開発投資を惜しみません。品質保証体制の確立と、企業体質の強化・向上を目指すとともにねじ業界、ひいては産業界の発展に努力してまいります。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。