ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

高活性低温低圧プラズマを用いた粉体表面改質技術及び装置の開発

株式会社電子技研

この事例のポイント

  • 粉体の処理は手作業で攪拌しながらプラズマ処理しており、依頼に応じる量と均一性に限界があった。
  • 石英容器の内部に加工する粉体を投入し、回転させて攪拌しながら低圧プラズマで均一に処理する粉体表面改質装置を開発した。
  • 粉体のナノ粒子の表面不純物を薬液を使わずに除去できる点が利点として評価されている。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社電子技研
所在地大阪府 東大阪市
業種電気機械器具製造業
技術分野材料製造プロセス,表面処理
従業員数98人
資本金2.36億円
設立1999年

事業の背景

主な事業は、半導体デバイス・液晶・太陽電池メーカーの製造ラインの保守・メンテナンス業務で、売上の約60%を占めている。プラズマを主力とした装置の製造販売は約30%である。一方で、粉体、金属インクの低温焼結、フッ素樹脂のめっきなど、プラズマ処理の新分野で数件の依頼が寄せられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力粉体の処理は手作業で攪拌しながらプラズマ処理しており、依頼に応じる量と均一性に限界があった。
  • 新製品・新技術粉体に効率良く均一なプラズマ処理をするための機構と仕様を開発する必要があった。
  • 品質・精度プラズマ処理後の物性を評価する方法が標準化されておらず、評価技術の確立が必要だった。

やったこと

石英容器の内部に加工する粉体を投入し、回転させて攪拌しながら低圧プラズマで均一に処理する粉体表面改質装置を開発した。装置はコンクリートミキサーの要領で粉体を回転させる方式である。低圧プラズマは、エネルギー密度が高く気体温度が低いものを用いた。粉体に効率良く均一なプラズマ処理をする機構と仕様の開発に取り組んだ。あわせて、処理後の物性を評価する技術の開発に必要な設備を導入した。

加工機開発した粉体表面改質装置(バレルタイプのプラズマ処理装置)
検査測定物性の評価試験に必要な設備

新しい製品・サービス:粉体表面改質装置(バレルタイプのプラズマ処理装置)

事業の効果

粉体のナノ粒子の表面不純物を薬液を使わずに除去できる点が利点として評価されている。粉体の表面改質により、フッ素樹脂のめっきの乗りが良くなり、従来の表面粗し工程が不要になる見込みである。ユーザーとの評価試験も進んでおり、プリント基板や高周波デバイスの高性能化に役立つと期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業時からプラズマ処理の新用途を探索し、保守業務から装置開発へ段階的に広げてきた経緯が明記されている。過去の取組と今回の計画が一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    半導体・液晶の大手と視点を変えて新分野を開拓し、プラズマ攪拌粒子表面改質技術の特許申請中とある。自社の強みを活かした優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    粉体のナノ粒子の表面不純物除去や、フッ素樹脂のめっき乗り改善など課題が具体的に示され、装置開発で解決する計画になっている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    3年以内に自社製品の売上比率を50%程度に引き上げるという数値目標はある。付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員98名、設立17年で赤字は一度もないと書かれている。補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    めっき特性改善の需要先として薬品、化粧品など各種粉体の分野が挙げられ、顧客ニーズへの裏付けと選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    当面の注力分野と3年以内の売上目標が示されているが、条件割り出しや評価方法の標準化など課題の解決方法は手探りとされている。

  • 財務と資金の調達2

    資本金23,600千円と赤字がないことはうかがえるが、金融機関からの資金調達の見込みや財務の具体的数値は書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    粉体のプラズマ表面改質は「まだ世の中にない用途」とされ、先行によるトップシェアを目指すと明記されている。新市場性がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    医療分野の人工骨研究や電子基板の配線形成への期待は書かれているが、国が補助する波及効果や雇用創出の根拠は明確ではない。

  • 費用対効果2

    売上比率を3年で50%程度にする目標はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    高感度センサーや高周波デバイスの精度向上への可能性が述べられている。デジタル技術による地域やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    高性能デバイスの実現や自動運転向けセンサーなど成長が見込まれる分野への進出が書かれているが、構造転換への言及は限定的である。

  • 地域経済への波及2

    大阪府東大阪市に所在することは示されているが、地域の特性を活かした事業や地域経済への波及についての記述は見られない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

3年以内に自社製品の売上比率を50%程度に引き上げ、半導体・液晶に続く第3のプラズマ処理分野で装置メーカーとしての事業展開を目指す。

事業者の声

いずれもまだ世の中にない用途。先行のメリットを生かして、この分野のトップシェアをつかみたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。